試験情報

情報処理技術者試験の海外との相互認証について

最終更新日:2024年3月27日

ソフトウェア技術及び市場のグローバル化に伴い、国境を越えた質の高いIT人材の確保、流動化を図るため、特にアジア各国(ASEAN加盟国、中国、韓国、インド等)との連携を強化するために、我が国の試験制度との相互認証を行っています。

現在、インド、シンガポール、韓国、中国、フィリピン、タイ、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、台湾、モンゴル、バングラデシュのアジア12か国・地域と協定を結び協力関係を構築しています。相互認証協定に基づき、2006年4月から、フィリピン、タイ、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、モンゴルの6か国において、日本の情報処理技術者試験をベースにした「アジア共通統一試験(IT Professionals Examination)」が実施されています。また、2014年10月から、バングラデシュにおいてもアジア共通統一試験が実施されています。

1. 制度の概要

平成12年(2000年)10月に開催されたASEAN+日・中・韓経済閣僚会合において、日本が「アジアITスキル標準化イニシアティブ」を提唱し、採択されました。これは、わが国の30年以上にわたる情報処理技術者試験の経験・ノウハウを活かして、アジア地域でIT技術者を対象とする試験制度を創設し、出題範囲等が同等レベルであることを相互認証することを通じてアジア各国のIT人材育成を支援し、IT人材の流動性の向上・有効活用を図るという施策です。

この施策に従って、IPAでは、これまでインド、シンガポール、韓国、中国、フィリピン、タイ、ベトナム、ミャンマー、台湾、マレーシア、モンゴル、バングラデシュの12か国・地域との間で相互認証を行い、覚書を取り交わしました。これは、日本と各国のIT試験実施機関との間で、相互認証の対象となる出題範囲等が同等レベルであることを認証するものです。

2. 相互認証を行うための要件

(1) IT試験が国家試験として既に存在し、実施されている場合

  • 日本の情報処理技術者試験の出題範囲等と当該国家試験の出題範囲等が同等レベルであること。
  • 試験実施機関に対して継続して当該国政府の財政的支援が確約されている、又は試験実施機関の財政基盤が強固であること。
  • 継続して試験が実施可能であると見込まれること。

このケースとして、インドシンガポール韓国中国台湾と相互認証を締結しました。

(2) IT試験が国家試験として存在していない場合

  • 当該IT試験について政府が国家試験と認めること。
  • IT試験を実施する機関が存在し、試験実施を担当する部門と問題作成部門が組織化されていること。
  • 日本の情報処理技術者試験と当該国のIT試験出題範囲等が同等レベルであること。
  • 試験実施機関に対して継続して当該国政府の財政的支援が確約されている、又は試験実施機関の財政基盤が強固であること。
  • 当該IT試験についての国内でのニーズが継続的に見込まれ、安定的に試験が実施できること。
  • トライアル試験を行い、公正な試験が実施可能であると見込まれること。

このケースとして、フィリピンタイベトナムミャンマーモンゴルバングラデシュと相互認証を締結しました。

注 マレーシア:2017年9月まで試験実施。2017年9月以降は活動を停止しています。

3. 相互認証のねらい

  1. 各国(例えば日本)が、アジア各国のIT技術者を受け入れる際の客観的な能力評価の判断基準となります。
  2. 海外に進出している企業(例えば日本企業)にとっては、現地のIT技術者の採用のコスト・リスクを軽減できるようになります。
  3. アジア各国の企業がソフトウェア開発する際に業務提携しやすくなります。
  4. 各国のIT技術者にとっても、海外での就職や自国に進出している外資への就職の際の能力を示す指標となります。

4. 相互認証の効果

情報処理技術者試験は、各国のIT技術者の流動性を高めることができるよう、法務省告示として制度化されています。日本の情報処理技術者試験並びに相互認証をしている各国の試験及び資格のうち、法務省告示(注釈1)に定められているものの合格者及び取得者に対しては、本邦での就労に必要な「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に係る基準(上陸許可基準 注釈2)の特例が適用されます。

具体的には、基準のうち、
(1)「当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等の教育を受けたこと」、又は
(2)「当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了したこと」、又は
(3)「10年以上の実務経験を有すること」という、上陸のための基準についての要件を満たすことになります。

また、インドの資格についても同様に、在留資格に係る基準(上陸許可基準)についての要件を満たすことになります。

  1. 注釈1
  2. 注釈2

(表中の「技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」の欄をご参照ください。)

また、高度人材に対してポイント制を活用した出入国管理上の優遇措置を講ずる制度(注釈3)に関して、上記告示に定められた試験の合格者及び資格の取得者は5ポイント(2以上の試験に合格又は資格を取得している場合は10ポイント)の点数(最大10ポイント)が加算されます。

  1. 注釈3
    高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度

高度人材ポイント計算表(高度専門店技術分野)の資格の項のIT告示とは、上の特例を指します。

インド

覚書締結日

2001年2月9日
2005年8月4日(改訂)
2013年2月14日(改訂)

試験実施機関

National Institute of Electronics and Information Technology (NIELIT)

覚書締結対象となった日本の試験区分

AP,FE,SA

シンガポール

覚書締結日

2001年8月24日
2011年11月19日(改訂)

試験実施機関

Singapore Computer Society
(SCS)

覚書締結対象となった日本の試験区分

PM

韓国

覚書締結日

2001年12月21日
2011年1月11日(改訂)

試験実施機関

Human Resources Development Service of Korea
(HRD Korea)

覚書締結対象となった日本の試験区分

AP,FE

中国

覚書締結日

2002年1月31日
2005年3月3日(改訂)
2011年5月13日(改訂)

試験実施機関

China Education and Examination Center of MIIT, PRC
(EEC)

覚書締結対象となった日本の試験区分

NW,DB,AP,FE,PM,SA

台湾

覚書締結日

2003年12月2日
2005年4月25日(改訂)
2006年11月8日(改訂)
2013年1月21日(MCA締結)注1

試験実施機関

Institute for Information Industry
(III)
Computer Skills Foundation
(CSF)

覚書締結対象となった日本の試験区分

NW,AP,SC

フィリピン

覚書締結日

2002年4月17日
2012年2月14日(改訂)

試験実施機関

Philippine National IT Standards Foundation
(PhilNITS)

覚書締結対象となった日本の試験区分

AP,FE,IP

タイ

覚書締結日

2002年6月25日
2012年2月14日(改訂)

試験実施機関

National Science and Technology Development Agency
(NSTDA)

覚書締結対象となった日本の試験区分

AP,FE,IP

ベトナム

覚書締結日

2002年7月4日
2005年1月18日(改訂)
2012年3月27日(改訂)

試験実施機関

Hi-tech Incubation and Training Center
(HITC)
(旧Vietnam Training and Examination Center
(VITEC))

覚書締結対象となった日本の試験区分

AP,FE,IP

ミャンマー

覚書締結日

2002年11月13日
2012年2月14日(改訂)

試験実施機関

Myanmar Computer Federation
(MCF)

覚書締結対象となった日本の試験区分

AP,FE,IP

マレーシア

覚書締結日

2005年1月5日
2012年2月14日(改訂)注2

試験実施機関

Multimedia Technology Enhancement Operations Sdn Bhd
(METEOR)

覚書締結対象となった日本の試験区分

AP,FE,IP

モンゴル

覚書締結日

2007年8月28日
2012年2月14日(改訂)

試験実施機関

National Information Technology Park
(NITP)

覚書締結対象となった日本の試験区分

AP,FE,IP

バングラデシュ

覚書締結日

2014年9月1日

試験実施機関

Bangladesh Computer Council
(BCC)

覚書締結対象となった日本の試験区分

AP,FE,IP

  1. 注1
    台湾の試験制度については、2012年末をもって台湾経済部からCSF/IIIに移管されました。これに合わせて、相互認証の覚書に代わり、試験に係る両国の協力を定めた相互協力協定(Mutual Cooperation Agreement, MCA)を2013年1月21日に締結しました。これにより、台湾の試験に係る就労ビザの取得緩和措置は、台湾経済部が承認した2012年末までの試験合格者が対象となります。
  2. 注2
    マレーシアは2017年9月以降活動を停止しました。
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