試験情報
公開日:2016年5月27日
端山毅さん
株式会社NTTデータユニバーシティ 代表取締役社長
1992年NTTデータ通信株式会社入社、開発本部でソフトウェア工学の研究に従事。NTTデータにおけるCMMI適用を推進した他、品質マネジメントシステムの整備、プロジェクトマネジメントや見積り、プロセス改善に関する全社施策を推進した。2010年に同社品質保証部長。2015年6月に株式会社NTTデータユニバーシティ代表取締役社長に就任。 日本SPIコンソーシアム理事、PMI日本支部副会長、PM学会理事、博士(工学)、PMP。
NTTデータは、情報システム全般のサービスを提供している会社です。お客様の要望に合ったシステムをつくるだけではなく、独自の情報インフラを開発して提供したり、運用サービスやその他付随する業務を請負ったりするなど、情報システムに関わるあらゆるビジネスを展開しています。
IT業界においては、常にお客様のニーズや世の中の動きをつかみ、新たな価値を創造し続けなくてはなりません。そこでNTTデータでは、高度な専門性と変化への対応力はもとより、独自のノウハウや付加価値を備えた人材育成を目指し、さまざまな研修を行っています。そのための教育、研修を行っているのが、NTTデータユニバーシティです。
社員教育において、長い歴史と伝統があるだけでなく、広く普及し、IT業界の標準となっている情報処理技術者試験を有効活用しない手はありません。そのため、NTTデータでは、IT企業としての基礎知識は「基本情報技術者試験(FE)」の学習を通じて身に付けることを前提としています。入社後の配属先が営業や総務、経理などのスタッフになるとしても、全新入社員に、FEに合格することを推奨しており、内定者には通信教育の受講を支援しています。
NTTデータでは、Professional Career Development Program(略称P-CDP)制度を設けて専門分野ごとに人材像や成長の道筋を示し、知識、経験、技量の3方向から評価して社内資格認定を実施しています。この制度を通して、社員一人ひとりの自律的な成長を支援しています。この社内認定に際して、エントリーレベルの知識面の評価に「応用情報技術者試験(AP)」や「高度試験」を活用しています。標準的な基礎知識の習得には情報処理技術者試験を利用し、NTTデータのノウハウはOJTと独自の研修メニューで伝達するのが、人材育成のベースとなっています。
世の中には、多くの産業が存在し、時代とともに栄枯盛衰があります。一方、IT業界は、まだまだ発展途上にあり、大きな成長性を秘めた産業です。コンピュータの処理能力など基盤技術の進歩によって、既存の技術の応用分野が広がり、社会の変化が更なる技術の発展を呼び起こして、新たな可能性と応用分野が生まれてきます。個々の技術が新技術に置き換わることはあっても、IT業界全体を見れば、100年後も成長し続ける業界ではないでしょうか。
そこで重要となるのが、基礎知識をしっかり押さえ、変化に対応できる人材を育てていくことです。基本的なことを正しく理解している技術者は、新たな技術が登場しても素早く理解できるはずです。なぜなら、一見大胆な変化に見えても、実は、従来から存在する要素や理論を組み合わせたり、改善したりしたものに過ぎないことが多いからです。過去と現在を知り、基本を理解していることが、未来と成長に向けた最良の準備になります。そうした基礎知識の習得には、情報処理技術者試験が非常に役立つと思います。
IT社会の発展に伴い、1社だけで情報システムを構築することはほとんど不可能になっています。お客様をはじめ、様々な会社のエンジニアと協力し合いながら仕事を進めないと、システムは動きません。アプリケーションをつくる場合も、ネットワークやデータベースのエンジニアの協力が必要です。異なる専門分野のエンジニアが緊密に連携して仕事を進めるには、知識や概念、用語を共有する必要があります。そのような知識の共通基盤として、情報処理技術者試験は重要な役割を担っています。
高度な専門性を備え、変化に対応していけるプロフェッショナルへと成長していくためには、標準的な知識を身に付けた上で、様々な技能や価値観を持つエンジニアとの協力を通して、現場で経験を積んでいくことが不可欠です。エンジニアの成長こそが、事業の発展の前提条件です。人と会社の成長の土台として、「情報処理技術者試験」の活用をご検討されてはいかがでしょうか。