試験情報
公開日:2022年12月20日
Society 5.0の実現、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を社会が目指す中、IT人材が活躍する領域はますます拡大しています。IT人材は、サイバーセキュリティの確保から、既存の垣根にとらわれずにビジネスモデルやサービスのアイデアを発想してITで具現化する価値創造まで、経済・社会活動の発展に重要な役割を担う立場となっています。
そこで今般、情報処理安全確保支援士試験及び情報処理技術者試験(高度試験の組込み分野)について、人材ニーズやスキルニーズへの対応、及び受験しやすさの向上によるIT人材育成・確保の推進を目的として、出題構成等の変更を行いました。
セキュリティ関連業務、及びそのタスクは、経営層及び戦略マネジメント層寄りのものから実務者・技術者層寄りのものまで、多岐にわたってきています。近年は、DXの取組を通じたクラウド化、DevSecOps等の動きの中、各分野の境界は曖昧化の傾向にあります。
SC受験者が従事するセキュリティ関連業務の多様性の高まり、境界の曖昧化の傾向等を踏まえ、今回、午後Ⅰ試験と午後Ⅱ試験を統合して問題選択の幅と時間配分の自由度を拡大しました。また、午後Ⅰ試験と午後Ⅱ試験の統合によって、試験時間が短くなりSCの受験しやすさが高まりました。試験時間を短縮することによって受験のしやすさを高め、サイバーセキュリティの確保を担う情報処理安全確保支援士の育成・確保を一層推進していきます。
具体的な変更内容は次のとおりです。
午後Ⅰ |
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午後Ⅱ |
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午後 |
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今回のSCの改訂は、出題構成を変更するもので、試験で問う知識・技能の範囲そのものに変更はありません。
IoTソリューション領域における、「伝統的なIT投資(コスト削減や省力化といった守りのIT投資)」との対比の「新たなIT投資(新たな顧客価値の創出といった攻めのIT投資)」への対応の考え方として、人材の役割は「分業・専門分化」か「フルスタック・マルチロール」かを、開発手法は「ウォーターフォール」か「アジャイル、DevOps」かを状況に応じて使い分けることが重要です。また、ビジネス視点からのIoT技術の積極的な取込みも求められるようになってきています。
情報処理技術者試験は、高度試験の組込み分野(IoTソリューションの企画・要件定義・設計・開発等)について、ITストラテジスト試験(ST)、システムアーキテクト試験(SA)、エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)という三つの試験が、各人材像の役割に対応する工程をそれぞれ担う構成としてきました。今回、それらの試験の組込み分野を、一つの試験区分(ES)に集約する変更を行いました。この変更によって、IoTソリューションの企画・要件定義・設計・開発の工程ごとの専門家としてのスキル評価に加えて、複数の工程に横断的に関与し、仕様変更にも柔軟に対応しつつプロダクトの価値を最大化する、フルスタック・マルチロールな役割を担うスキルも評価できるようになります。
また、受験しやすさの面では、ST・SAの午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験の選択問題における組込み分野の問題選択割合は低く、応募者の属性を見ても、ST・SAにおける組込み・IoT系のエンジニアの受験は少ない状況でした。
今回、ESが対象とする工程を企画・要件定義まで広げる変更を行うことによって、IoTソリューションの企画・要件定義を担う人材や、ビジネス視点も意識してIoTソリューションの設計・開発を担う人材の育成・確保を一層推進していきます。
具体的な変更内容は次のとおりです。
システム化計画、要件定義(ユーザーニーズ調査、利害関係者要件の確認ほか)、調達計画・実施(調達リスク分析ほか) など
経営戦略手法(競争戦略、コアコンピタンスほか)、マーケティング、ビジネス戦略と目標・評価(ビジネス環境分析ほか) など
技術開発戦略の立案、技術開発計画 など
午後Ⅰ |
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午後Ⅱ |
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午後Ⅰ |
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午後Ⅱ |
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午後Ⅰ |
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午後Ⅱ |
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午後Ⅰ |
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午後Ⅱ |
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ST、SA、ES
SC、ST、SA、ES
ES
ST、SA、ES
ST、SA、ES
なお、出題範囲・シラバスについては今後も技術動向や環境変化等を踏まえ、内容の追加・変更・削除等、適宜改訂を行ってまいります。
SC、ESは令和5年度秋期試験(2023年10月)から
ST、SAは令和6年度春期試験(2024年4月)から
シラバス(試験における知識・技能の細目)
それぞれの試験区分の人材像に照らし、必要となる知識・技能の幅と深さを体系的に整理、明確化した資料です。学習の目標とその具体的な内容を記載していますので、試験の合格を目指す際の学習指針として、また、企業、学校の教育プロセスにおける指導指針として、有効にご活用ください。