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ソフトウェア工学分野の先導的研究支援事業(RISE:Research Initiative on Advanced Software Engineering)

本事業は、本事業は、2012~2016年度に実施しました。

事業の目的と概要

 ソフトウェアはあらゆる産業が供給する製品・サービスで新たな付加価値を生み出しており、見えないところで社会を支える重要な働きをしています。複雑化・大規模化・多様化するシステムへ対応や、それに伴うソフトウェアの高信頼化や開発プロセスの高度化へ対応するために、ソフトウェア工学やシステム工学が果たす役割は、ますます高まっています。
 本事業は我が国のソフトウェア工学・システム工学の振興およびその成果の産業界への移転を通じて、ソフトウェアの信頼性向上に貢献することを目的にしています。
 具体的には、2012年度から2016年度まで、大学・公的研究機関に対して研究分野を提示して研究提案を公募し、採択した研究テーマを委託により実施しています。採択にあたっては、提案のあった研究テーマを産業界の有識者から成るソフトウェア工学研究推進委員会が審査するとともに、同委員会が研究途中での助言や指導を行っています。研究の成果は成果報告書として取りまとめられるとともに、IPAが主催するセミナー等で発表されています。また、研究・開発されたツール類はフリーウェアとして公開されているものもあります。

事業の研究成果(概要の紹介)

 本事業の成果を広く知っていただき、実用化の促進、さらなる研究開発への発展の足掛かりとするため、これまでの成果を簡潔に取りまとめた成果集を作成いたしました。

ソフトウェア工学分野における産学連携事業成果の紹介 ~産業界での実用化の促進に向けて~[14.6MB]

事業の研究成果(各研究の詳細)

研究テーマをクリックすると詳細へ移動します。

ソフトウェア高信頼化

ソフトウェア品質評価

保証ケース

プロジェクト管理

システム工学

その他

事業の研究成果(詳細)

ソフトウェア高信頼化

実施組織名 芝浦工業大学
実施期間 2012年6月 ~ 2013年1月
研究テーマ名 要件定義プロセスと保守プロセスにおけるモデル検査技術の開発現場への適用に関する研究
研究概要  モデル検査技術を開発現場で用いるためには、開発現場での適用シナリオを想定して、検査対象システムのモデルとその検証したい性質の検査式を現場の開発者が容易かつ適切に定義できるようにすることが大きな課題である。本研究では、要件定義プロセス、運用時およびマイグレーションによる再構築を含む保守プロセスといった開発現場でのモデル検査技術利用のシナリオを想定し、開発現場の技術者が利用可能な検証方法とその支援ツールを研究開発した。
 具体的にはUMLを用いたモデル駆動要求分析手法とモデル検査ツールの一つであるUPPAALを用いたソースコードの欠陥抽出手法に基づいて、以下を研究開発した。
  1. 新規開発システムにおける要件定義で得られた仕様を客観的に評価する業務セオリーとその評価手法
  2. 想定外の使い方等による不具合を既存のソースコードから発見する業務セオリーとその評価方法
  3. 仕様書を喪失した稼働中のシステムの業務セオリーを抽出し評価する手法
報告書 概要[2.2MB]  成果報告書[7.3MB]
実施組織名 九州大学
実施期間 2012年6月 ~ 2013年1月
研究テーマ名 モデルを含む設計成果物の集積とその活用方法に関する研究
研究概要  ソフトウェア開発において、設計品質の向上や開発者間でのコミュニケーションを円滑にすることを目的にUMLなどのモデルの援用やモデリング技術を利用することが求められている。そのためモデリングやモデル駆動開発に関する研究やケーススタディが盛んに行われているが、モデルの編集履歴を収集できるツールがないこと、第三者に利用可能なデータを収集する場がないことにより、研究を実証的に遂行することが困難となっている。
 これらの課題を解決するために、モデルを利用した開発において、モデルとその編集履歴、バグ情報などの設計成果物を自動的に収集し、データベースに格納するツールを開発した。さらに、集積されたデータが有用であることを実証するため、ソースコードを対象として提案されているメトリクスを集積データに適用し、バグ密度の予測手法が適用可能かを評価した。
 モデルとその編集履歴などのモデルを対象とした実証的研究に必要なデータを集積する仕組みができることによって、モデルを対象としたリポジトリマイニングが推進され、従来であれば収集することのできなかったデータを組織横断的に収集・利活用できることができると期待される。
報告書 概要[1.11MB]  成果報告書[2.89MB]
実施組織名 法政大学
実施期間 2012年6月 ~ 2013年1月
研究テーマ名 実用性が高い形式工学手法と支援ツールの研究開発
研究概要  ソフトウェア開発に必要な要求分析とシステム設計は、その完成度と品質がプロジェクトの成功を左右する要因となっているが、それらを高めるための方法として非形式仕様、半形式仕様、形式仕様から成るSOFL(Structured Object-oriented Formal Language)三段階形式仕様記述技術がある。本研究では、仕様に記述された機能、データ項目、および制約を動的に表現する仕様アニメーション手法および形式仕様パターンに基づく操作の事前条件と事後条件を作成するアプローチを考案した。本アプローチとSOFL三段階形式仕様記述プロセスに統合することによって、漸進的な形式仕様作成手法を確立した。さらに、この手法を効率的に支援するソフトウェアツールのプロトタイプを開発した。これら成果により、理解しやすい形式仕様記述によるシステムアーキテクチャーと機能の設計を明確に表現できる。また、それぞれの仕様を仮想環境の中で動的に表現(アニメーション化)することによって、顧客からのフィードバックを素早く得ることができ、仕様を効果的に改善することが期待できる。
報告書 概要[2.58MB]  成果報告書[3.66MB]
実施組織名 広島大学
実施期間 2013年6月 ~ 2014年2月
研究テーマ名 次世代ソフトウェア信頼性評価技術の開発とその実装
研究概要  従来のソフトウェアの定量的信頼性評価を詳細なデータ(統計量)を扱えるソフトウェア信頼性モデルへと拡張を行うことで、開発現場で獲得し得る情報水準に応じて信頼性評価の方法を分類する次世代のソフトウェア信頼性評価技術の体系化を目指した。
 研究成果である信頼性評価技術はExcelのadd-inとして実装した。Excelインタフェースを利用しているため、企業でも手軽に信頼性評価を行うことができる。ソフトウェアメトリクス、テスト入出力情報、ソースコード情報からソフトウェアの信頼性を特徴づける情報を抽出し、精度の高い定量的信頼性評価を実現することが可能となっている。同様の信頼性評価技術を統計処理ソフトウェアRのパッケージとしても開発した。ユーザがR言語を用いて拡張することができるため、実験的なデータ解析や大量のデータ解析を行う研究者に向いている。
報告書 概要[1.57MB]  成果報告書[5.22MB]
ソフトウェア信頼性評価支援ツール 「ソフトウェア信頼性評価支援ツール」の紹介
http://www.rel.hiroshima-u.ac.jp/msrat/(広島大学)
実施組織名 岡山県立大学
実施期間 2013年6月 ~ 2014年2月
研究テーマ名 抽象化に基づいたUML設計の検証支援ツールの開発
研究概要  検証モデルの作成をツールによって支援することで、モデル作成の困難さならびに検証時間の増加といった問題を解決し、組込みソフトウェア開発現場へのモデル検査の導入が促進されることを目指した。
 研究成果は設計記述から検証モデルを自動的に作成するための検証支援ツールとして開発した。本ツールは、組込みソフトウェアの開発において広く利用されている形式仕様記法の1つであるUMLで記述された設計を対象として、モデル検査ツールであるNuSMVの検証モデルを自動的に作成する。本ツールを用いることで、大きな学習コストを要することなくNuSMVを用いた設計検証を実施することが可能となる。また、検査する性質に関連する部分の抽出や不要な部分の抽象化を自動的に行った上でモデルを作成することで、状態爆発による検証時間の増加を回避することが可能となっている。
報告書 概要[1.66MB]  成果報告書[4.4MB]
モデル検査導入支援ツール 「モデル検査導入支援ツール」の紹介
http://circuit.cse.oka-pu.ac.jp/tool.html(岡山県立大学)
実施組織名 情報・システム研究機構
実施期間 2013年6月 ~ 2015年2月
研究テーマ名 形式仕様とテスト生成の部分的・段階的な活用 ~探索を通したコード中心インクリメンタル型開発の支援
研究概要  アジャイル開発、形式手法、品質保証テストの3つの技術分野において、それぞれの特徴に起因する課題や、これらの相互補完や総合的な施策に対応するため、コードスケルトン(変数定義やメソッドシグネチャ定義)上に書き加えた断片的な仕様やテスト設計を基に、テストケースを探索、提示するツールを構築する。これにより、形式手法や品質保証のテスト生成ツールで求められる厳密・十分な記述を段階的かつフィードバック付きで行えるようになり、また、仕様やテストケース間の関係、基礎技術について、3つの技術分野にまたがった総合的な考えを行うきっかけになることが期待できる。
報告書 概要[1.15MB]  成果報告書[1.93MB]
実施組織名 芝浦工業大学
実施期間 2014年6月 ~ 2015年2月
研究テーマ名 保守プロセスにおけるモデル検査技術の開発現場への適用に関する研究
研究概要  システム開発時に、そのシステムが当初の「仕様」を満たしているかどうかの確認作業を高効率・高品質で実施することを目的に、モデル検査を用いたソースコード検証を、形式手法のスペシャリストでなくても実現できるような検査方法の構築に取り組んだ。これにより、仕様を満たしていることを低コストで確認でき、手戻りの少ない開発に貢献することが期待できる。
報告書 概要[1.22MB]  成果報告書[6.37MB]
実施組織名 広島大学
実施期間 2015年6月 ~ 2016年2月
研究テーマ名 データマイニング手法を応用した定性的信頼性/安全性解析支援ツールの開発
研究概要  FTA(Fault Tree Analysis)、FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)、HAZOP(Hazard and Operability Studies)などの定性的信頼性/安全性分析手法を支援するためのツール開発を行った。具体的には、設計や障害事例などの過去の情報を非構造型データベースとして蓄積し、FTA等に現れる故障モードやガイドワードなどのキーワードと、対象とするシステムの設計情報(UML / SysML)を手がかりに、蓄積したデータベースから関連する過去の障害シナリオを抽出できるようにした。さらに重要度に従ってランキングするシステム、ランキングを効率的に行うための学習アルゴリズムを開発した。
 このツールにより、経験豊富な分析者の知見を効率よく設計現場にフィードバックすることが可能となる。
報告書 概要[1.04MB]  成果報告書[2.91MB]
実施組織名 工学院大学
実施期間 2015年6月 ~ 2016年2月
研究テーマ名 要求定義の高品質化のための要求仕様の整合性の検証知識の形式知化と一貫性検証支援ツールの開発
研究概要  要求仕様の構成要素であるシナリオをとりあげ、要求仕様の品質特性である「一貫性」に着目し、ベテラン技術者が経験的に得たシナリオの整合性の検証知識を形式知化し、それら知識に基づくシナリオの一貫性検証支援ツールを実現した。
 知識の形式知化では、様々な組織で活用可能な知識と、組織毎に固有の拡張が考えられる知識に分類・構造化した。シナリオの一貫性検証支援ツールは、シナリオ内で言及されている、「アクター」「データ」「画面」「振る舞い」の記述が要求仕様書中の記述と整合していることを検証する。
 本知識とツールを業界全体で共有することで、要求定義に関わる人材のスキルレベルの向上と各組織の検証知識の充実を促進し、さらなる要求仕様の高品質化に貢献する。
報告書 概要[1.69MB]  成果報告書[2.79MB]
シナリオの一貫性検証支援ツール 「シナリオの一貫性検証支援ツール」の紹介
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~wwa1076(工学院大学)

ソフトウェア品質評価

実施組織名 奈良先端科学技術大学院大学
実施期間 2012年6月 ~ 2013年1月
研究テーマ名 ソフトウェア品質の第三者評価のための基盤技術-ソフトウェアプロジェクトトモグラフィの開発-
研究概要  本研究では、ソフトウェア品質の第三者評価の普及と高度化を推進する基盤として、品質評価に必要となるソフトウェアプロジェクトデータの提供、提供されたデータに基づくプロジェクト理解を容易にする技術の確立を目指した。具体的には以下の研究を実施した。
  1. ソフトウェアプロジェクトトモグラフィ技術の確立医療におけるコンピュータ断層撮影(CT: Computed Tomography)を、ソフトウェア品質の第三者評価に適したデータ構造を考える上でのモデルとした。ソフトウェア開発プロジェクト開始から終了までのいくつかの時点において、プロジェクトの状況を定量的に表すスナップショットを断面画像のように作成する技術を確立した。
  2. クラウド型開発管理環境の構築・評価ソフトウェア開発プロジェクトにおける構成管理、不具合管理、工程管理などは自組織内で行われることが主流で、プロジェクトデータは自組織内で収集・蓄積されている。プロジェクトデータをソフトウェア品質の第三者評価に利用するために、データを外部へ蓄積することが考えられることから、クラウド型の統合開発管理環境を実現し、その構成方式、運用方式の利点を実証し、課題を抽出した。
報告書 概要[4.56MB]  成果報告書[4.43MB]
実施組織名 大阪大学
実施期間 2012年6月 ~ 2013年1月
研究テーマ名 コードクローン分析に基づくソフトウェア開発・保守支援に関する研究
研究概要  潜在的な不具合の埋込み、一貫した修正への悪影響が指摘されているコードクローン(ソースコード上に存在する同一または類似したコード片)がソフトウェア開発、保守を阻害する問題の一つとなっている。本研究では、ソフトウェア開発や保守の様々な活動、状況に応じたコードクローン分析による支援策を研究した。
  1. ソースコード理解支援既存のコードクローン検出ツールと比較して、冗長なコードクローンをなるべく含まず、処理が高速で、検出したコードクローンの質が高い(再現率,適合率が高い)コードクローン検出手法を開発した。
  2. リファクタリング支援 コードクローンを除去するために、コードクローンとなっているコード片を1つのメソッドなどに集約する方法があり、そのためにコードクローンを検出し、いわゆるリファクタリングパターンを適用することが考えられる。コードクローンの特徴に応じた集約方法のガイドラインの作成やリファクタリングに適したコードクローンの自動抽出の手法を開発した。
  3. 再利用ライブラリ作成支援 品質の高いコード片については積極的にコードクローンとして利用している場合がある。そのようなコードクローンをライブラリとしてまとめておくために、大規模なソースコード群から適切な大きさ(メソッド、関数単位)のコードクローンをなるべく高速に検出するための手法を開発した。
  4. 違反流用コード発見支援 再利用されたソースファイルのライセンスと再利用先のソフトウェアのライセンス間で不整合が生じる等の問題がある。再利用されたソースコードは再利用元のソースコードのコードクローンとなっていることが考えられるため、大量のソースコードからのコードクローンを高速に検出するための手法を開発した。
報告書 概要[887KB]  成果報告書[2.6MB]
実施組織名 奈良先端科学技術大学院大学
実施期間 2013年6月 ~ 2015年2月
研究テーマ名 ソフトウェア品質の第三者評価のための基盤技術 -ソフトウェアプロジェクトトモグラフィ技術の高度化-
研究概要  ソフトウェア品質の第三者評価の技術基盤の確立を目指し、「ソフトウェアプロジェクトトモグラフィ」と呼ばれる新しい概念・手法を2012年度の委託研究で提案した。2013年度の研究では、研究成果をソフトウェアの品質評価方法、プロジェクトデータの解析やその可視化方法を高度化し、その妥当性・有用性をプロトタイプシステムの実装と実証実験を通じて示した。本手法では、プロジェクトを様々な観点で可視化し、ソフトウェアやその品質が実現される過程(プロセス)を表すことが可能となる。これによりソフトウェア品質の第三者評価で必要となる「ソフトウェアプロジェクトデータの提供」及び「提供されたデータに基づくプロジェクト理解」を容易に行うことができる。
報告書 概要[3.65MB]  成果報告書[5.62MB]
実施組織名 早稲田大学
実施期間 2015年6月 ~ 2017年2月
研究テーマ名 測定評価と分析を通じたソフトウェア製品品質の実態定量化および総合的品質評価枠組みの確立
研究概要  開発・運用・検討中のソフトウェア製品の品質を、定量的かつ総合的に評価可能とし、改善や選択に役立てることを目的として研究を行った。研究内容としては、研究チームが国際的にリードする国際規格群および品質測定法群を発展させ、日本の主要ソフトウェア製品群の品質の実態調査を通じて、ソフトウェアの内部品質、外部品質、顧客・利用者からの満足・評価を含む利用時の品質を定量的に測定評価し、異なる品質間の関係を総合的に明らかとする枠組みを確立した。

具体的には以下を行った
  • ソフトウェア内部品質の測定法を定義し、測定結果を集約する方法と評価基準を66のメトリクスとして定義した内部品質の測定評価方法の確立とツール化
  • ソフトウェア外部品質の測定法を定義し、測定結果を集約する方法と評価基準を定義した外部品質の測定評価方法の確立とツール化
  • ソフトウェア利用時の品質の測定法を定義し、利用者アンケートの設計およびユーザテストの設計方法を策定、測定結果を集約する方法と評価基準を定義した利用時の品質の測定評価方法の確立
  • ソフトウェア21製品を上記の方法で測定評価し、品質間の関係を分析するとともに、結果を関係モデルとしてとりまとめ
報告書 成果概要[1.8MB] 成果報告書[4.53MB]
ソフトウェア品質測定評価枠組み・ソフトウェア品質ベンチマーク(データセット) 早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所 鷲崎研究室
http://www.washi.cs.waseda.ac.jp/?page_id=3479

保証ケース

実施組織名 神奈川大学
実施期間 2014年6月 ~ 2016年2月
研究テーマ名 オープンシステム・ディペンダビリティのための形式アシュランスケース・フレームワーク
研究概要  システムがサービスを継続するだけでなく、目的や環境の変化に適応し、また障害時に説明責任を果たすといった対応力であるオープンシステム・ディペンダビリティを推進するために、具体的なシステムの安心・安全に関する議論(アシュランス議論)の記録文書であるアシュランスケースの作成が必要である。アシュランスケースの整合性を計算機によって検査することを可能とするため、形式言語により記述する形式アシュランスケース・フレームワーク(FFO:Formal assurance case Framework for Open systems dependability)を開発した。FFOは、アシュランス議論の記述に必要な用語定義を与える概念体系と、議論の部品や組み合わせ方のテンプレートライブラリから成り、本研究ではFFOを形式言語Agdaによる開発フレームワークとして提供した。
 FFOの利用により、「最初にケース内容を思い付くのが困難」「議論の仕方、品質が人によりけり」等のアシュランスケース導入時の問題を解決する。また、アシュランスケースの品質評価基準としての国際標準化活動につなげ、第三者認証の基盤を提供する。
報告書 概要[2.36MB]  成果報告書[4.25MB]
FFO Basic Pattern 1 ソースコード 神奈川大学 プログラミング科学研究所
http://lab.progsci.info.kanagawa-u.ac.jp/home/ffo/ffo-basic-pattern-1-gong-kaipeji
実施組織名 名古屋大学
実施期間 2015年6月 ~ 2016年2月
研究テーマ名 保証ケース作成支援方式の研究
研究概要  高い安全性が要求される複雑なシステムを実現するために、保証ケースの作成が必要とされるようになってきていることから、保証ケース作成支援に関して以下を研究した。
  1. モデル図の構造情報に基づいて保証ケースに関する活動プロセスを定式化し、支援ツールを試作することにより、自動化範囲と自動化による改善効果を明確化した。これにより多様なモデル図を用いている開発現場に対して統一的な保証ケース作成法を提供できる。
  2. コードの静的解析情報に基づく、コードに対する保証ケースの作成手法を定式化した。コードとして蓄積された膨大な既存資産に対して保証ケースを作成することができるため、保証ケースによる安全性の保証を効率化できる。
  3. 保証ケースの構成情報に基づき、レビュプロセスを定式化した。客観的なレビュ観点とプロセスにより、現場技術者が保証ケースを適切にレビュできるようになることが期待される。
  4. 1.統一的な保証ケース作成法および3.保証ケースレビュ手法に基づく開発技術者向け研修教材を試作するとともに研修を実施し、有効性を確認した。これらにより多様なモデルならびにコンポーネントに対する保証ケースの作成・レビュ知識の習得を効率化できる。
  5. 保証ケースの導入を計画している企業に対する保証ケースの導入可能性を判断するための適合性指標を開発するとともに、保証ケース作成法の必要性と試作した研修教材の妥当性を評価した。これにより業界で必要とされる保証ケース手法へのニーズを解明できる。
報告書 概要[1.43MB]  成果報告書[2.92MB]
保証ケース統合作成支援ツール、研修用教材、保証ケース導入適合性指標 名古屋大学 山本研究室
http://de-science.icts.nagoya-u.ac.jp/download.html(名古屋大学)
実施組織名 電気通信大学
実施期間 2015年6月 ~ 2017年2月
研究テーマ名 D-Caseに基づく議論構造可視化支援ツールの開発と、スマートコミュニティにおける合意形成の実証
研究概要  複雑化するスマートコミュニティ(人間系+リアルタイムセンシング)の要件定義から評価改善フェーズにおけるディペンダビリティ合意形成を支援する手法を開発、その有効性を実証し社会還元するため、(1)D-Case*に基づく利害関係者間のコミュニティ合意形成支援ツール「Smart Structure」(以下ツール)の開発、(2)実際のスマートセンシングコミュニティ「ポケットガイガー」への適用とツールの有効性評価、(3)利害関係者間が合意形成に至るインタラクションのモデル化、ツール・ライブラリのオープン化による社会実装を行った。

具体的には以下を行った
  • D-Caseにより複数の利害関係者間でコミュニティ合意形成を支援するためのツールであるSmart Structureの開発と公開
  • SNSコミュニティ上のコメントを解析するツールであるCrowd Talks、Crowd Talks+(機能強化版)の開発と公開
  • D-CASEを作成するための元データとなる新聞記事DBの構築と公開
  • 上記ツールを用いた3つの実験(プレ実験、Lab実験、SNS実験)による合意形成へのD-Caseの有効性検証
  • D-Caseを用いた3つのモデル(D-Case合意形成ゾーニング、相互理解インタラクション、合意形成ダイナミクス)の構築と公開
* D-Case:システムのディペンダビリティをシステムに関わる人たち(ステークホルダ)が共有し互いに分かり合い、そのディペンダビリティを社会の人々にわかってもらい、説明責任を果たすための手法とツール。
報告書 成果概要[5.67MB]  成果報告書[15.8MB]
研究成果・ツール 電気通信大学 田中研究室
http://www.tanaka.is.uec.ac.jp/wiki/pukiwiki2/index.php?IPA

プロジェクト管理

実施組織名 和歌山大学
実施期間 2013年6月 ~ 2015年2月
研究テーマ名 IPA EPM-Xの機能拡張によるプロアクティブ型プロジェクトモニタリング環境の構築 —次世代の定量的プロジェクト管理ツールとリポジトリマイニング研究基盤—
研究概要  定量的なプロジェクト管理の普及のため、IPAの成果物である「定量的プロジェクト管理ツール(EPM-X)(※)」の機能を拡張し、「リポジトリマイニング(品質予測・工数予測など)」及び「プロアクティブマイニング(異常・予兆の検出など)」を支援するツール(プラグイン)を作成した。これにより、これまで勘や経験に頼りがちであったソフトウェア開発を、客観的・定量的な形で行うと共に、プロジェクト内の異変や問題発生の予兆をリアルタイムに検出することで、プロジェクトや管理の見直しのための定量的な材料にすることができる。
報告書 概要[3.47MB]  成果報告書[4.69MB]

(※)EPM-Xにクロスサイト・スクリプティングおよび任意DLL読込みの脆弱性が存在することが判明したため、現在、EPM-Xの提供およびサポートは終了しています。
http://www.ipa.go.jp/sec/info/20170519.html

システム工学

実施組織名 慶應義塾大学
実施期間 2014年6月 ~ 2016年2月
研究テーマ名 システムモデルと繰り返し型モデル検査による次世代自動運転車を取り巻くSystem of Systemsのアーキテクチャ設計
研究概要  次世代自動運転車の導入に向け、それを取り巻く交通インフラ、各種情報システムを含む周辺環境、ドライバなどをSystem of Systems(SoS)として捉えた上で、安全性を考慮したアーキテクチャを構築した。このため、安全性を脅かす状態に遷移しないよう、FDIR(Fault Detection, Isolation and Recovery)の概念を取り入れたシステムモデリングと繰り返し型モデル検査を用いることにより、安全性を確保するSoSアーキテクチャの構築方法を確立した。
 アーキテクチャを示すことにより、企業において次世代自動運転車を中心としたSoSを明確に捉えられるようになり、次世代自動運転車用のソフトウェア開発・設計、周辺情報システムなどの開発・設計を行うことが可能となる。
報告書 概要[1.23MB]  成果報告書[4.9MB]

その他

実施組織名 福井大学
実施期間 2015年6月 ~ 2016年2月
研究テーマ名 携帯端末用アプリケーションソフトウェアが地方経済に与える効果の実証実験評価に関する研究
研究概要  地域の商店街に活力を与える携帯端末用アプリケーションソフトウェアを開発した。本ソフトウェアを利用した実証実験を実施し、参加ユーザが積極的に商店街に足を運び、各商店の来客数や売上高が増加することで、本ソフトウェアが地方の商店街に与える経済効果を明らかにした。開発するソフトウェアはすれ違い通信機能を利用したキャラクター育成ゲームであり、すれ違い通信を利用しているため、参加ユーザは外出して移動しないとゲームに参加することができない。したがって、参加ユーザの街歩きが期待でき、商店街の活性化につながる。
報告書 概要[2.27MB]  成果報告書[4.97MB]
アプリケーションソフトウェア 「ゆるキャラ商店街」
https://itunes.apple.com/us/app/yurukyara-shang-dian-jie/id983148529?mt=8
実施組織名 同志社大学
実施期間 2014年6月 ~ 2016年8月
研究テーマ名 日本のソフトウェア技術者の生産性及び処遇の向上効果研究:アジア、欧米諸国との国際比較分析のフレームワークを用いて
研究概要  日本のソフトウェア産業は生産性が低く、国際競争力が無いと言われる。また、その低い生産性を反映してか、日本のソフトウェア技術者は、国際的にも、また、国内の他の職種と比べても、長い労働時間にも関わらず低い処遇しか得ていない。いかにすれば生産性を向上させ、それ見合う処遇を実現し、意欲と高い能力を持つ人材を引き付け、21世紀の日本を牽引する産業とすることができるのか。その一助とするため、欧米およびアジア諸国のソフトウェア技術者の能力開発、職場環境、仕事意欲、そして生産性と処遇の実態と、日本と比べることにより日本のソフトウェア産業、ソフトウェア技術者の問題点を抽出し、その改善策を見出す。
報告書 成果報告書[1.89MB]
Appendix1:5ヶ国アンケート回答結果(設問別)[749KB]
Appendix2:ISBSGデータの分析によるソフトウェアプロジェクトの国別生産性比較の試み[692KB]
Appendix3:各国のソフトウェア産業分析[3.71MB]