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DX促進に向けた文書を公開 企業ビジネスモデルの変革によるDX実現を後押し

最終更新日:2020年11月25日
2020年6月9日公開
独立行政法人情報処理推進機構
社会基盤センター

各企業がデジタル技術やデータ等を活用することで産業競争力を向上し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現していくために、IPAは企業がDXを進める上での実態と課題を分析し、システム構築のあり方などをとりまとめた文書を公開しました。

概要

あらゆる産業において、新たなデジタル技術を使ってこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起ころうとしています。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX)※1をスピーディーに進めていくことが求められています。

国内の企業では、自らDXを進めるべく、デジタル部門を設置するなどの取り組みが見られますが、Proof of Concept(PoC)※2を繰り返すなど、ある程度の投資は行われるものの実際のビジネス変革にはつながっていません。

このような背景のもと、IPAは、2019年度に大学の研究者や企業の関係者などの有識者、ITベンダー、行政(経済産業省)との連携による議論をもとに、DXを推進するための調査を進めてきました。

今般、その成果として、企業がDXを進める上での実態と課題を分析し、システム構築のあり方などをとりまとめた4つの文書を公開しました。

  1. 【1】DX推進指標自己診断結果分析レポート
  2. 【2】プラットフォームデジタル化指標
  3. 【3】プラットフォーム変革手引書案
  4. 【4】DXの実現に向けた取り組み

それぞれの文書の概要については、『今回公開した文書の概要』をご確認ください。

今後、これらの文書は企業からの意見も取り入れつつこれらを活用するための運用方法を検討し、企業内での課題認識の共有やITシステムの変革に活用されることで、各企業がデータやデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、DXの実現を目指していきます。

今回公開した文書の概要

【1】DX推進指標自己診断結果分析レポート

「DX推進指標自己診断結果分析レポート」は、経済産業省が公開したDX推進指標の自己診断結果を約300件収集し、その分析結果を説明した資料です。全体の傾向や企業間の項目の差について分析した結果、以下のようなことが分かりました。

  • 多くの企業で、全社戦略に基づくDX推進の変革を実施する段階への移行がこれから始まるとみられる
  • 全企業の成熟度が低い指標(「予算配分」、「事業部門の人材」、「人材の融合」など)の成熟度を向上させるためには、企業文化や人事評価制度の変革が必要であり、短期的な施策によって達成するのではなく、継続した活動の成果として定着させることが重要である
  • 経営視点の指標において、先行企業(平均現在値が3以上の企業)の「危機感共有」の成熟度は「経営トップのコミットメント」の成熟度より高く、一般企業が先行企業となることを目指す上では、参考にすべき特徴である
  • IT視点の指標において、先行企業の「廃棄」の成熟度が高く、レガシー問題への対応力が表出している可能性がある

「DX推進指標自己診断結果分析レポート」については以下のWEBページでも公開しております。
DX推進指標 自己診断結果 分析レポート

なお、IPAでは、今後もベンチマークの詳細なデータを希望する企業向けに、DX推進指標の自己診断結果をIPAにご提出いただくことで、希望する法人に提供しますので、以下のウェブサイトからお問い合わせください。

自社で考えよう!DXの今とこれから

ご提供するベンチマークデータの構成や全体像については「DX推進指標ベンチマークデータ説明資料」をご参照ください。

【2】プラットフォームデジタル化指標

企業の経営者やIT責任者がITシステムの技術的負債を把握するため、企業のITシステムを評価するための項目をまとめたものです。本指標は、以下の要件に関する項目から構成されています。

  1. ITシステム全体に関する要件
  2. DX対応に求められる要件
  3. 基礎的な要件

【3】プラットフォーム変革手引書案

企業のIT責任者や担当者がシステムを構築する際に参照する文書として、システム構築の効果的な方法論や構築するシステムのあり方などをまとめたものです。本手引書案は、以下の章から構成されています。

目次

  1. プラットフォーム変革プログラムマネジメント手法
  2. 現状システムの分析整理手法
  3. 新たなITシステムのあるべき姿
  4. 新たなITシステムの設計開発手法

【4】DXの実現に向けた取り組み

上記の一連の文書について、DX推進指標を分析した結果から導かれた技術的課題に対する「プラットフォームデジタル化指標」と「プラットフォーム変革手引書」の活用イメージをまとめました。


【注釈】

※1 デジタルトランスフォーメーション(DX)
<参考:「DX推進指標」における「DX」の定義>
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
※2 Proof of Concept(PoC)
原理のデモンストレーションによって、ある概念や理論の実用化が可能であることを示すことです。
※3 DX推進指標
2019年7月31日に経済産業省が公開した、企業の経営者や社内の関係者がDXの推進に向けた現状や課題に対する認識を共有しアクションにつなげるための気づきの機会を提供するための指標です。

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関連リンク

本件に関するお問い合わせ先

その他、ご意見・ご要望・ご質問などがございましたら、以下のメールアドレス宛にご連絡をお願いします。

IPA 社会基盤センター
DX推進部 運営・経営DX推進グループ
E-mail:メールアドレス

※この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものです。

更新履歴

2020年11月25日 「DX推進指標ベンチマークデータ説明資料」を2020年速報版に差替え
2020年6月9日 公開