プレスリリース

プレス発表 データスペースの技術コンセプト「Open Data Spaces」の共同推進を合意

公開日:2025年10月15日

独立行政法人情報処理推進機構

共同発表:
一般社団法人データ社会推進協議会
ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会
東京大学大学院情報学環

我が国の主要なデータスペースの技術的取組が連携され、国際相互運用性確保に前進

独立行政法人情報処理推進機構 (IPA、理事長:齊藤裕)は、データスペースの技術コンセプト及びそれを構成する技術仕様として、新たに「Open Data Spaces」を我が国におけるデータスペース取組の共通仕様と位置付け、共同で持続的に改善、推進することを、一般社団法人データ社会推進協議会(DSA、代表理事:奥井規晶)、ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI、会長:東原敏昭)、東京大学大学院情報学環(学環長:目黒公郎)と合意しました。今回の合意を踏まえ、経済産業省が推進するウラノス・エコシステム関連の取組だけではなく、DSAが推進するDATA-EX、RRIにおける産業データ連携に関する国内外活動等を含む、我が国における主要なデータスペースの取組は、Open Data Spacesの技術的コンセプトのもと連携されることになります。

IPAは、関連する団体と連携しながら、Open Data Spacesの推進と発信を円滑に実施するための事務局機能を設置し、産官学の協力のもと本技術コンセプトの取りまとめと普及・推進を担います。また、IPAではOpen Data Spacesを広く周知、推進し、世界規模で産業・技術コミュニティを巻き込んでいくための国際イベント「Open Data Spaces Summit(仮称)」の開催を予定しています。なお、今後のOpen Data Spacesに関する情報発信は、この度新たに公開したOpen Data Spaces公式ウェブサイトにて掲載される予定です。

経緯

IPAは、産業イニシアティブであるウラノス・エコシステムの下、データスペースの社会実装を実現する技術コンセプトとして、「ウラノス・エコシステム・データスペーシズ」を推進してきました。(注釈1)「Open Data Spaces」は、ウラノス・エコシステム・データスペーシズの位置付けを整理し、International Data Spacesをはじめとするデータスペースの技術仕様との国際相互運用性の確保に向け、よりオープンで中立的な技術コンセプト及びそれを構成する技術仕様として再定義するものです。

本決定を踏まえ、経済産業省が推進するウラノス・エコシステム関連の取組だけではなく、DSAが推進するDATA-EX、RRIにおける産業データ連携に関する国内外活動についても、共通仕様としてOpen Data Spacesのリファレンスアーキテクチャモデル(ODS-RAM)及びプロトコル(ODP)を参照することが、組織間で合意されました。これにより、我が国における主要なデータスペースの取組は、Open Data Spacesの技術的コンセプトのもと連携されることになります。

  1. (注釈1)

Open Data Spacesの概要


表1 Open Data Spacesの概要

取組名称

Open Data Spaces(略称:ODS

推進主体/
事務局機能

独立行政法人 情報処理推進機構

公式ウェブサイト

https://www.ipa.go.jp/digital/opendataspaces

提供アセット

アーキテクチャ

Open Data Spaces Reference Architecture Model(略称:ODS-RAM

プロトコル

Open Data Spaces Protocol(略称:ODP

リファレンスオープンソースソフトウェア(OSS

Open Data Spaces Middlewareシリーズ(略称:ODS Middleware

 

また、Open Data Spacesにおけるアセットの関係性は図2に記載のとおりです。産業界がデータスペースの社会実装を早急に進めるためのサービスライフサイクルに焦点をおいたアーキテクチャモデルであるODS-RAMをベースに、その技術仕様を具体化したODPが技術仕様として定義されます。
ODS Middlewareは、民間商用サービスを開発・提供するデベロッパーのプロトコル準拠のためのコスト低減を目的に、参照実装したオープンソースソフトウェア及びSDK(ソフトウェア開発キット)等です。

  • 図2 Open Data Spacesにおけるアセットの関係性

Open Data Spacesとウラノス・エコシステム、関連する取組の関係性

Open Data Spacesは、経済産業省が推進する産業イニシアティブであるウラノス・エコシステムにより推進される、オープンで中立的な技術コンセプトで、技術仕様(標準化推奨案)で構成されます。今回のウラノス・エコシステム・データスペーシズの改称による発展的な位置付け及び関係性の変更は、以下の図3及び表2のとおりです。

  • Ouranos Ecosystem と Open Data Spaces の関係図。経産省とIPAが連携し、関連団体や活動(DATA-EX、RRI WG1)と技術仕様ODS-RAM・ODPを示す。
    図3 Open Data Spacesの位置付け
表2 Open Data Spacesの位置付けに係る新旧対応表

 

技術コンセプト名称

ウラノス・エコシステム・データスペーシズ(ODS

Open Data SpacesODS

アセット名称(注釈)

アーキテクチャ名称

ウラノス・エコシステム・データスペーシズ リファレンスアーキテクチャモデル(ODS-RAM(注釈2)

Open Data Spaces リファレンスアーキテクチャモデル(ODS-RAM

プロトコル名称

ウラノス・エコシステム・データスペーシズ プロトコル(ODP

Open Data Spaces プロトコル(ODP

技術コンセプトを参照/準拠するプロジェクト

経済産業省 ウラノス・エコシステム関連の取組

・経済産業省 ウラノス・エコシステム関連の取組
・DSA DATA-EX関連プロジェクト
・RRI WG1 産業データ連携関連活動

(参考)技術コンセプトを推進する産業イニシアティブ

ウラノス・エコシステム

(変更なし)

  1. (注釈)
    アセットの取扱については、関係機関と調整中です。
  2. (注釈2)

Open Data Spacesの共同推進体制

IPAは、Open Data Spacesの共同推進と発信を円滑に実施するための事務局機能を設置し、関連する団体と連携を進めます。また、Open Data Spacesの設計統括は、ウラノス・エコシステム・データスペーシズの体制(注釈1)を承継し、IPAデジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)が担います。(Open Data Spaces Chief Architect(最高設計責任者):津田通隆)

Open Data Spacesの今後の方針

今年度はOpen Data Spacesの産業界、開発者コミュニティへの更なる展開・普及に向け、ODS-RAMの改版及びODPの策定を実施するとともに、Open Data Spaces参加者に向けてデータスペースの構築及び参加を手引きするガイドブックの取りまとめ等の実施を予定しています。デベロッパー向けのアセットとして、ODS-RAMV1.0を参照し、DADCのアドバイザリを踏まえた国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「ウラノス・エコシステムの実現のためのデータ連携システム構築・実証事業」(NEDO事業)で開発されるプロトコルの参照実装ソフトウェア及びSDK等についても、今年度末を目途にオープンソースで公開される予定です。

さらに、今後Open Data Spacesを国際的な技術コンセプトとして広く周知、推進し、世界規模で産業・技術コミュニティを巻き込んでいくための国際イベント「Open Data Spaces Summit(仮称)」の開催を予定しています。

また、今回の共同推進体制の確立により、先行するIEEE(米国電気電子学会)、IOFDS(International Open Forum on Data Society)などの国際連携を進め、ODS-RAMを参照とした国際展開を進めます。

関係団体概要

独立行政法人情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(IPA DADC)について

独立行政法人情報処理推進機構はデータとデジタル技術の力でより良い社会と暮らしの実現を目指す、経済産業省の政策実施機関です。産学官をつないでデータと人材が連携・循環するエコシステムを創出し、デジタル社会の発展を支えるために、「デジタル基盤の提供」「デジタル⼈材の育成」「サイバーセキュリティの確保」の3つの事業を柱に取り組んでいます。デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)は、ウラノス・エコシステムにおける活動の一環として、Open Data Spacesを主導する中立的な機関として、特定個社へのベンダーロックインを回避し、国際的な相互運用性を担保するため、ODSに係るアーキテクチャ設計を統括するとともに、NEDO事業において実施されるプロトコル設計及びデータスペースに係るミドルウェアの開発等について、採択事業者に対するアドバイザリ活動を実施しています。

一般社団法人データ社会推進協議会(DSA)について

2021年4月設立。産官学の連携により分野を超えた公正、自由なデータ流通と利活⽤による豊かな社会(データ社会)を実現し、国内はもとより世界と連携し貢献を図ることを⽬的として、データ社会を実現する連携サービス(DATA-EX)の提供の実現等に向けた活動を行っている。また、IEEE SA DTS (Data Trading System) Working Group およびIOFDS(International Open Forum on Data Society)の活動を主導し、国際標準化、国際連携の枠組みを推進しています。

ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI)について
  • ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会は、「ロボット新戦略」(2015年2月10日日本経済再生本部決定)に基づき、同戦略に掲げられた「ロボット革命」を推進するために、民間主導で設立された組織的プラットフォームです。「ロボット新戦略」においては、デジタル化及びネットワーク化を活かしつつ高度のセンサーや人工知能を駆使して作業を行うシステム全般(製造業並びに産業IoTを含む)を新たな「ロボット」の概念として広く位置づけ、以下を目指すこととされています。本協議会は、これらの目標の実現に向け、広く関係者が連携し、具体的なアクションを起こしていくための、オープンなイノベーションプラットフォームとして、活動しています。
    1. 世界のロボット・イノベーション拠点としての日本-ロボット創出力の抜本的強化
    2. 世界一のロボット利活用社会
    3. IoT時代の到来を見据えたロボット新時代への世界の中でのイニシアティブの発揮
東京大学大学院情報学環について

東京大学大学院情報学環は、部局内センターであるユビキタス情報社会基盤研究センター(センター長:越塚登)を中心に、データスペース技術国際テストベッドやIDSA Japan Hub、xIPFコンソーシアム(仮称)、東京大学オープンデータセンターなど、データ社会推進に関する研究教育等の取組を推進している。秋にはデータスペースに関する複数の国際イベントを実施する「データスペースウィーク」というイベントの主催も行っている(データスペースウィーク2025は、2025年10月14日〜17日に開催)。近年は、データスペースとAI-Agentを融合した新しいデータ駆動型知能(DDI: Data-Driven Intelligence)に関する研究に取り組んでいる。

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IPA デジタルアーキテクチャ・デザインセンター

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    dadc-infoアットマークipa.go.jp

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IPA 経営企画センター 戦略コミュニケーション部 戦略コミュニケーション室 渡邉・九嶋・鴨田・藤田