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3.企業・個人の「学び」を支援する国の施策とは?

デジタル人材育成プラットフォームについて

経済産業省商務情報政策局情報技術利用促進課 課長補佐 冨永 賢吾 氏

デジタル田園都市国家構想では、デジタル技術の活用による社会課題の解決を進めることとしていますが、その担い手となるデジタル人材を確保するため、国としては各種施策の推進により5年間で230万人のデジタル推進人材の育成を目指しています。その取り組みの一つに、デジタル人材育成プラットフォームがあります。これはデジタルスキルの学びの場であり、利用者が1層、2層、3層へと学び進めることで、より実践的な学習ができるものとなっています。

  • デジタル人材育成プラットフォームの図

1層では、オンライン教育サイト「マナビDX(デラックス)」上に、スキル標準に対応した、民間企業や大学等の教育コンテンツが提示されています。2層では、受講生同士が学び合い、課題解決のプロセスを疑似体験するオンライン教育プログラム「マナビDX Quest」が、3層では現場研修プログラムが提供されています。

参考1:DXリテラシー標準
デジタルリテラシーのスキル標準として公表。働き手一人ひとりがデジタルトランスフォーメーションに参画し、その成果を仕事や生活で役立てる上で必要となるマインド・スタンスや、知識・スキルを示す学びの指針として策定しています。これに関連する教育コンテンツが「マナビDX」に掲載されています。

  • DXリテラシー標準の全体像の図

参考2:第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)
IT・データを中心とした将来の成長が強く見込まれ、雇用創出に貢献する分野において、社会人が高度な専門性を身につけキャリアアップを図る、専門的・実践的な教育訓練講座として経済産業大臣の認定を受けたものです。厚生労働大臣の指定を受けたものは、厚生労働省の支援制度の利用が可能になります。この講座も「マナビDX」に掲載されています。

教育訓練給付制度及び人材開発支援助成金について

厚生労働省人材開発統括官付 若年者・キャリア形成支援担当参事官室 室長補佐 引田 茂 氏

  • 教育訓練給付の概要

「教育訓練給付制度」は、個人の主体的なスキルアップを支援するための制度です。雇用保険に加入している、または加入していた方が、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練講座を受講し、修了した後ハローワークに申請することで、受講費用の2割~最大7割の費用が支給されます。教育訓練給付制度については大きく分けて、「専門実践」「特定一般」「一般」の3つの制度があります。取得する資格やカリキュラムによって制度が分かれ、受給の要件や給付割合が異なります。

3つの教育訓練給付金制度について

教育訓練の種類と給付率

専門実践教育訓練給付
最大で受講費用の70%[年間上限56万円・最長4年]を受講者に支給

対象講座の例

業務独占資格等、一般レベル以上のデジタル関係資格、経済産業省の第四次産業革命スキル習得講座、また文部科学省の職業実践専門課程など7つの類型を対象としている

教育訓練の種類と給付率

特定一般教育訓練給付
受講費用の40%
[上限20万円]を受講者に支給

対象講座の例

専門実践教育訓練給付の対象とならない業務独占資格等やITSSレベル2相当の資格などを対象としている

教育訓練の種類と給付率

一般教育訓練給付
受講費用の20%
[上限10万円]を受講者に支給

対象講座の例

業務独占資格等に限らず、一定の要件を満たした国家資格・民間資格や大学の修士を対象としている

本図は例示です。対象となる資格や講座の詳細は厚生労働省HPよりご確認ください。
講座指定申請手続きについて

  • 人材開発支援助成金についての図

「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」は、大学・高専の教育プログラムのうち、一定の要件を満たしたものを政府が認定する制度です。
主な要件としては、正規の課程で学生に広く実施される教育プログラムとなっていることや、自己点検・評価の実施、公表を行っていること等が認定の要件となっており、令和4年8月時点で、リテラシーレベル217件、応用基礎レベル68件が認定されています。また、大学等の特性に応じた特色ある取り組みが実施されているなど、特に優れたプログラムを「プラス」として選定しています。

企業におかれましては、このプログラムを受講した学生を積極的に評価いただければと思います。また、全国展開事業である「数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアム」について、ウェブサイトにおいて活動内容等を公表しておりますので、是非ご覧ください。