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システムズエンジニアリングの推進

本事業は、2016~2018年度に実施しました。

近年、第4次産業革命をもたらすと言われているIoTの進展や、独立したシステムが互いに関係し合って価値を提供するSoS(System of Systems)のような複雑なシステムの増加、また、システムに対する要求の多様化、高度化、複雑化、予測できないリスク、関連する分野の調和や統合の欠如など、システム開発を取り巻く課題も難しくなってきており、解決が困難になってきています。IPAでは、このようなシステム開発における課題の効果的かつ包括的な解決方法として、既に宇宙・航空分野を中心に実績があり、欧米では一般的な製品やシステムへの適用が進み、有効性が認知されているシステムズエンジニアリングが日本においても有効と考え、産業界に普及・展開する活動に取り組んでいます。

システムズエンジニアリングとは

複数の専門領域にまたがる多様な価値を考慮しつつ全体最適を実現するためのアプローチです。具体的には、以下のような点に特徴があります。

1.目的指向と全体俯瞰

目的指向と全体俯瞰

  • 解決策を考える前に本来の目的を明確にし、常に目的を意識しながら考えます。
  • 視点と視野を変えながら俯瞰して捉えます。視点としては、時間的視点、空間的視点、意味的視点があります。時間的俯瞰の例:初期から利用終了後の廃棄まで、さらに世代交代までのライフサイクル全体。

2.多様な専門分野を統合

多様な専門分野を統合</

  • 多様な分野(技術、事業、領域、環境、文化、社会など)の知見を統合します。

3.抽象化・モデル化

抽象化・モデル化</

  • 抽象化の視点を柔軟に設定し、多視点から対象を構造化し、システムに関する様々なネットワークを通じて、システムを明らかにします。
  • モデルを利用することによって異なる分野の人たちの間での概念共有、情報共有による共通理解の促進を図ります。

4.反復による発見と進化

反復による発見と進化</

  • 適切に再評価とフィードバックを反復して、新たな解決方法を発見し、段階的に明確化・進化させます。

システムズエンジニアリング導入の薦め

国内外の事例を参考に、システムズエンジニアリングの効果や有効領域について検討を行い、2016年度にシステムズエンジニアリングの認知と重要性の認識を促すための2つの啓発書を公開しています。経営者向けの啓発書では、システムズエンジニアリングの適用事例や有効性の紹介をしています。また、開発者向け啓発書には更に、導入に向けたポイントや、活かすための考え方の説明をしています。

経営者のためのシステムズエンジニアリング導入の薦め
開発者のためのシステムズエンジニアリング導入の薦め

成功事例に学ぶシステムズエンジニアリング

IoT(Internet of Things)システムの設計・開発・運用に携わる開発者を対象にした「成功事例に学ぶシステムズエンジニアリング~IoT時代のシステム開発アプローチ~」を公開しています。本書は、日本国内5社の成功事例を基に、システムズエンジニアリングの問題解決のアプローチを解説したものであり、現場での適用を促進する「入門書」として活用できます。

成功事例に学ぶシステムズエンジニアリング

ドイツ・欧州企業におけるシステムズエンジニアリングの実践に関する調査・分析結果報告

システムズエンジニアリングの実践に関する調査・分析結果報告

本調査・分析結果の詳細な解説書で、システム開発(作業プロセス、手法及びツール)に関する課題とその取組みに重点を置いて、ドイツとヨーロッパ企業におけるシステムズエンジニアリングの実践状況と分析結果から見えてきた共通する課題と推奨事項を解説しています。

システムズエンジニアリング 実践課題とベストプラクティス

本書では、IoT時代到来に伴い、システム開発がシステムズエンジニアリングへと進む傾向について議論し、この分野でこれまで実施された調査について取りまとめています。また、今回実施したドイツとヨーロッパの先進企業でのシステムズエンジニアリング実践調査・分析から得られた課題とその取組みから抽出したベストプラクティスを解説し、それらを実践している企業での事例を取りまとめています。

日本語版ダウンロード

調査・分析結果報告
実践課題とベストプラクティス

原文ダウンロード

調査・分析結果報告(英文タイトル:“Study Results”)
実践課題とベストプラクティス(英文タイトル:“Systems Engineering Study: Challenges and Best Practices”)

関連情報

掲載日 事業成果(報告書等)
2018年3月1日 IoTシステム開発にシステムズエンジニアリングの考え方を導入するパイロット活動を三菱重工グループと共同で実施
システムズエンジニアリング導入実施の一事例 報告書
SEC journal
第48号
(2017年3月発行)

【特集】システムズエンジニアリング
【所長対談】IoT時代におけるシステムズエンジニアリングの重要性
 ※IESEウェブサイトに所長対談の記事が掲載されました。

詳細
公開日 公開資料
2020年3月13日
システムズエンジニアリングに関するグループ演習実施の手引き

システムズエンジニアリングに関するグループ演習資料を作成しました。

それぞれの企業・団体において自主的に演習ができるように実施のための手引きを公開しました。

資料リスト システムズエンジニアリング演習実施のための資料一式(ZIP形式)
  • 演習実施のための手引き(研修企画部門向け)
  • 演習実施のための手引き付録_進行表と準備物(雛形)
  • 投影用資料(ノートに解説を掲載)
    • 資料(1) システムズエンジニアリング概説
    • 資料(2) 演習例題 電子お薬手帳システム事例
    • 資料b グループ演習にあたって(資料bはサンプルとして提供する)
    • 資料(3) ケースの説明と演習課題(投影用)
    • 資料(5) 事後解説用サンプル
  • 印刷配付用資料
    • 資料a 本日の演習について (資料aはサンプルとして提供する)
    • 資料(1) システムズエンジニアリング概要   ※投影用資料(1)と同じ
    • 資料(2) 演習例題 電子お薬手帳システム事例 ※投影用資料(2)と同じ
    • 資料(3) ケースの説明と演習課題(印刷用)
    • 資料(4) ケースの説明と演習課題 付帯条件
    • 資料(5) 事後解説用サンプル         ※投影用資料(5)と同じ
    • 付録  事例にみるシステムズエンジニアリングによる問題解決
  • 想定QA集
    • システムズエンジニアリング演習におけるQA対応(企画部門、講師用)