プレスリリース
独立行政法人情報処理推進機構
公開日:2025年4月25日
独立行政法人情報処理推進機構(IPA、理事長: 齊藤裕)は、「自動車ライフサイクルアセスメントにおけるデータ連携の仕組みに関するガイドラインα版」を公開しました。本ガイドラインでは「2050年カーボンニュートラル」に向けた社会実装を促進することを目的として、自動車ライフサイクルアセスメント(自動車LCA)を実施する上で必要となるデータスペースの基本的な設計要件を定義しており、参照することで実現に向けた具体的な取組につながることが期待できます。
近年、気候変動問題への関⼼の⾼まりから、多様なステークホルダがカーボンフットプリント(CFP)の算出・開示を企業に求めるようになっています。我が国は、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、経済と環境の好循環を作っていく産業政策「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定、推進しています。
これらの政策を実現するデータスペースを活用した取組を促進するため、IPA デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)は、「自動車ライフサイクルアセスメントにおけるデータ連携の仕組みに関するガイドラインα版」を公開しました。
自動車LCAは、車両の原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでの全工程における環境負荷を評価する手法です。CO2排出量を可視化するCFP算出にはLCAの実施が不可欠であり、これによりサプライチェーン全体の脱炭素化、環境を配慮した設計や政策への取組に繋がることが期待されます。
本ガイドラインは、令和6年度に経済産業省が実施した「無人自動運転等の CASE 対応に向けた実証・支援事業(サプライチェーンデータ連携基盤の構築に向けた実証事業)」の成果を取りまとめたものであり、データスペースを活用し企業を跨いでサプライチェーン・バリューチェーン上のデータの共有と活用を促進することを目的としています。企業のトレードシークレットの保持やデータ主権の確保を実現しながら、拡張性や経済合理性も担保し、データを連携する仕組みを運用面・技術面から業務要件・機能要件を整理し、構想設計としてまとめています。
IPAでは、本書が活用されることで自動車LCAの社会実装に向けた取組が推進されることを期待しています。
今後、データスペースの開発や検証結果を踏まえ、開発結果を反映した協調領域の詳細設計版、基盤運用も踏まえた完成版のガイドラインを順次公開する予定です。
IPA デジタルアーキテクチャ・デザインセンター 住田・堀内・山川