プレスリリース

プレス発表 「デジタル時代のスキル変革等に関する調査報告書(2022年度)」を公開

公開日:2023年4月24日

独立行政法人情報処理推進機構

半数以上のIT人材がキャリアアップを志向するも育成や評価などに課題

IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:齊藤 裕)は本日、IT人材(注釈1)の学びおよび労働移動の実態や、企業の変革および組織・人材マネジメントなどの実態把握を目的とした「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2022年度)」の報告書を公開しました。

IPAは、企業のDXへの取り組み状況や対応する人材の課題、IT人材の学びや労働移動に関する意識の実態把握を目的として2018年度に「DX推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」を公開して以来、IT人材の変革に関する調査を毎年実施してきました。今回、IT人材1897人を対象とした個人調査と企業2017社を対象とした企業調査を踏まえ、「デジタル人材のスキル変革等に関する調査(2022年度)」の報告書を公開しました。

今回のアンケート調査において、企業に所属するIT人材1500人を先端IT従事者と、非先端IT従事者(注釈2)に分類して分析したところ、いずれも半数以上がキャリアアップに前向きなことが分かりました。その半面、所属企業においてキャリアアップのための計画的な配置・育成がされていないことが課題として浮き彫りになりました。さらに企業調査では、IT人材のスキルを適切に評価できていない現状も明らかになりました。本調査の主なポイントは以下の通りです。
 
(1) 先端IT・非先端ITの会社員いずれも半数以上がこれまでよりも大きなキャリアチェンジや高いレベルの職務・役割を志向している。
企業に所属するIT人材1500人のうち、「これまで担ってきた職務・役割に囚われず、大きくキャリアチェンジしたい」と回答した割合は、先端IT従事者で20.4%、非先端IT従事者で18.1%でした。また、「これまで担ってきた職務・役割よりも高いレベルであったりこれまでの職務・役割に近しい別の職務・役割を担いたい」と回答した割合は、先端IT従事者で39.3%、非先端IT従事者で32.2%でした。いずれも半数以上の会社員がこれまでよりも大きなキャリアチェンジや高いレベルの職務・役割を志向していることが分かりました。(図1)

  • 図1キャリアの志向性(将来)

(2)キャリア形成上の悩みとして、キャリアアップのための計画的な配置・育成がされていないと感じている。
キャリア形成上の悩みに関する質問では、先端IT従事者の32.2%、非先端IT従事者の28.5%が所属企業に対して「キャリアアップのための計画的な配置・育成がされていない」と回答し、最も多い割合となりました。(図2)また、新たなスキル獲得に有効な方法としては、先端ITの会社員の28.9%が「社外兼業・副業における経験」を挙げたほか、同19.7%が「組織外の勉強会やコミュニティ活動等への参加」を挙げています。(図3)従来からのコンテンツ学習に加えて、キャリアアップの場として越境学習や社外のコミュニティの活用が指向されてきていると考えられます。

  • 図2キャリア形成上の悩み
  • 図3新たなスキル獲得に有効な方法

(3)IT人材のスキルを適切に評価できていない
事業会社では、社内のIT人材を評価・把握する基準についても「ない」と回答した企業が80%を超えており、IT人材のスキルを評価する基準を整備して適切に評価することが求められます。(図4)

  • 図4社内のIT人材を評価・把握するための基準

上記のほかに、個人の学習を支援・推奨する組織風土を指す「ラーニングカルチャー」の浸透度合いについて、IT企業と事業会社、DX成果の有無、など複数の観点で分析した結果なども報告書では詳細に掲載しています。

IPAは、本調査結果で示された課題を踏まえ、施策の方向性を8つに整理し、施策体系としてとりまとめました。経済産業省とIPAが昨年12月に公開したデジタルスキル標準の活用を推進するとともに、個人には自立・自律的な学びを、企業には個人を惹きつけて学びを促すラーニングカルチャーの醸成にむけて、施策内容の具体化等について継続的に検討していきます。

調査概要

個人アンケート調査:
調査期間:2022年11月27日~2022年12月13日
回答者数:企業に所属するIT人材:1,500名
特定の企業に属さないIT人材(フリーランス):397名

企業アンケート調査:
調査期間:2022年12月9日~2023年1月10日
回収企業数:IT企業:792件、事業会社1,225件、合計:2,017件

脚注

(注釈1)IT人材:本調査のIT人材は従来のIT人材(IT企業や事業会社の情報システム部門に所属する人)に加えてITを活用して事業創造や製品・サービスの付加価値向上、業務のQCD向上等を行うビジネス部門に所属する人も含んでいる。

(注釈2)先端IT従事者は、データサイエンス、AI・人工知能、IoT、デジタルビジネス/X-Tech、アジャイル開発/DevOps、AR/VR、ブロックチェーン、自動運転/MaaS、5G、その他先端領域の各領域に関するサービスに従事する人材とし、それ以外を非先端IT従事者とする。

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