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プレス発表「デジタル時代のスキル変革等に関する調査報告書(2021年度)」を公開

公開日:2022年4月14日

独立行政法人情報処理推進機構

IT人材の学びへの意識は向上、転職への志向も増加傾向

IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:富田達夫)は本日、IT人材(注釈1)の学び直しおよび流動の実態や、企業の変革および組織・人材マネジメントなどの実態把握を目的とした「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2021年度)」の報告書を公開しました。

IPAは、企業のDXへの取り組み状況や対応する人材の課題、IT人材の学び直しや転職に関する意識の実態把握を目的として2018年度に「DX推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」を公開して以来、IT人材の変革に関する調査を毎年実施しています。今回、過年度調査からの経年変化を追うとともに、IT人材の学びや学び直しの促進と適切な流動化に向けた具体施策を検討するための項目を追加し、「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2021年度)」を実施しました。

今回の調査の結果、先端領域のIT従事者(注釈2) が転職を志向する割合が増え、事業会社ではIT人材不足感が若干低下していることが分かりました。また、IT人材個人におけるスキル習得の必要性に対する認識は上がっているものの、新たなスキルを獲得しても非先端領域のIT人材はメリットを感じにくいことが分かりました。さらに、企業において先端領域のスキルを活かす場はあるものの、本人の意向を尊重した自己申告制度を持つ企業は多くなく、企業の事業戦略と個人のキャリア戦略のマッチングが課題であることが示唆されました。主なポイントは以下のとおりです。

1)IT人材が転職を志向する割合と、企業におけるIT人材不足感

転職に対して、「より良い条件の仕事を求めて積極的に行いたい」と回答した割合が先端領域のIT人材では30.3%で、昨年度(15.4%)からほぼ倍増しました(図1)。事業戦略上必要なIT人材の「量」は、事業会社において「大幅に不足している」「やや不足している」割合が73.5%で、昨年度(88.2%)より低下したもの、依然として不足感は高い状況です(図2)。

  • 図1:転職に対する考え方
  • 図2: 事業戦略上必要なIT人材の「量」の過不足

2) IT人材個人におけるスキル習得の必要性と、新たなスキルを獲得するメリット

新しいスキル習得の必要性について、「そう思う」「どちらかというとそう思う」と回答した割合は79.0%で、昨年度(69.2%)から10%増加しました(図3)。一方、直近1年においてスキルの向上や新たなスキルを獲得した人のうち、非先端領域のIT人材の23.6%がメリットを感じていないと回答しました(図4)。

  • 図3:活躍し続ける為の新しいスキル習得の必要性の認識
  • 図4: スキル向上・新たなスキル獲得をした人が感じたメリット

3) 企業における先端領域のスキルを活かす場と本人意向を尊重した自己申告制度

先端領域のスキルを活かす場は5割程度の企業で「かなりある」「多くはないがある」と回答したものの(図5)、本人の意向を尊重した自己申告制度(配置・職種転換)を持つ企業の割合は、23%で、「キャリアサポートを行っていない」割合が36.7%でした(図6)。企業においては自社の事業戦略と個人のキャリア戦略のマッチングをいかに整合させるかが課題であることが示唆されました。

  • 図5: 先端領域のスキルを活かす場の有無
  • 図6: IT人材に対して行っているキャリア形成支援

本調査ではこのほかに、適職度とエンゲージメント、ミドルマネジメントの役割など新たな視点での調査項目や、IT人材を先端領域への転換実績や志向の有無で5つの「転換タイプ」に分類して行った詳細な分析など、多様な考察を行っています。本調査報告書の全文はデジタル時代のスキル変革等に関する調査(2021年度)からダウンロードが可能です。 IPAは本調査の結果を踏まえて、IT人材の学びや学び直しが進み、自身のスキルや志向性がマッチする場へ流動して活躍する「適材化・適所化」に向けた施策の検討を進めていきます。また、本調査報告書が多くの企業・組織に参照されることで、IT業界のみならず産業界全体の活性化や各種政策立案に貢献することを期待しています。

調査概要:

  • 個人アンケート調査:
    • 調査期間:2022年1月7日~2022年1月28日
      調査先:企業に所属するIT人材2136人、フリーランスのIT人材482人
  • 企業アンケート調査:
    • 調査期間:2022年1月7日~2022年1月26日
      調査先:IT企業889社、事業会社1,046社、計1,935社

脚注

  1. (注釈1)
    IT人材:本調査のIT人材は、従来のIT人材(IT企業や事業会社の情報システム部門等に所属する人)に加えて、ITを活用して事業創造や製品・サービスの付加価値向上、業務のQCD 向上等を行うビジネス部門に所属する人も含んでいる
  2. (注釈2)
    先端IT従事者は、データサイエンス、AI・人工知能、IoT、デジタルビジネス/X-Tech、アジャイル開発/DevOps、AR/VR、ブロックチェーン、自動運転/MaaS、5G 、その他先端領域の各領域に関するサービスに従事する人材とし、それ以外を非先端IT従事者とする

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