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プレス発表 日米企業におけるDX動向を解説した「DX白書2021」を発刊

公開日:2021年10月11日

独立行政法人情報処理推進機構

日米比較調査により、DX推進のための戦略、人材、技術の現状が明らかに

IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:富田達夫)は、日米企業におけるDX動向を比較調査し、戦略、人材、技術の面からDX推進の現状や課題などを包括的に解説する「DX白書2021」を発刊しました。

IPAは2009年から「IT人材白書」、2017年から「AI白書」を発行し、IT人材や新技術の動向について情報を発信してきました。昨今、デジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、ITとビジネスの関係がさらに密接となってきたことを背景に、IPAは人材、技術、そして戦略の要素を統合し、新たに「DX白書」を発刊しました。本白書は日米企業におけるDXの現状、推進への課題と対策などを包括的に解説することで、日本企業のDX推進を支援することを目的としています。

「DX白書2021」の最大の特徴は、日米企業のDX動向について比較調査を行ったことです。DXに関する戦略・人材・技術について、アンケート調査を行い、日本企業の現状や課題を考察しています。調査で明らかになった主なポイントは以下のとおりです。

戦略面では、DXへの取組状況を尋ねた結果、日本企業は「全社戦略に基づき、全社的にDXに取組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取組んでいる」の割合が合わせて45.3%であるのに対し、米国企業は71.6%でした(図1)。また、経営者・IT 部門・業務部門が協調できているか尋ねた結果、日本企業は「十分にできている」「まあまあできている」が合わせて39.9%に対し、米国企業は8割以上と、2倍の差がついています(図2)。DXの推進にあたっては、経営者・IT 部門・業務部門などの関係者が対話を通じて共通理解を形成し、ビジネス変革に向けたコンセプトを共有したうえで、推進施策に取組むことが重要です。

  • 図1. DXへの取組状況
  • 図2. 経営者・IT部門・業務部門の協調

人材面では、事業戦略上の変革を担う人材の「量」について、日本企業では、「大幅に不足している」と「やや不足している」が合わせて76%に対し、米国企業は43.1%と不足感に開きがありました(図3)。また、社員のITリテラシー向上に関する施策状況について、日本企業は「社内研修・教育プランを実施している」が22%に対して、米国では54.5%と大きな差がありました(図4)。企業は、まず社員のITリテラシーの現状を把握することで、適切な研修プログラムや施策を実施することが重要となります。

  • 図3. 事業戦略上、変革を担う人材の「量」の確保
  • 図4. ITリテラシー向上施策

技術面では、日米におけるAI技術の活用状況について、日本企業では「導入している」が20.5%であり、米国企業(44.2%)との差は大きいものの(図5)、AI白書2020の調査(4.2%)と比較すると5倍に増加している状況も明らかになりました。また、DX推進に有効な開発手法の活用状況については、「デザイン思考」「アジャイル開発」「DevOps」を導入している日本企業はそれぞれ14.7%(米国は53.2%)、19.3%(米国は55%)、10.9%(米国は52.6%)と、米国の利用が上回っています(図6)。顧客に新しい価値提供をするためには、適切な開発手法の活用が極めて重要です。IT部門と業務部門が連携することによって「デザイン思考」などの利活用促進が望まれます。

  • 図5. AI技術の活用状況
  • 図6.開発手法の活用状況

 本白書では、アンケート調査のほか、ユーザー企業へのインタビュー調査による事例紹介や、有識者によるコラムなどを掲載しています。また、戦略面ではデジタル戦略の全体像と立案のポイントや成果評価やガバナンスのあり方について解説し、人材面ではデジタル時代のスキル変革について深掘りしています。技術面ではITシステム開発手法や開発技術、データ利活用技術として、デザイン思考、アジャイル開発、クラウド、コンテナ、マイクロサービス/API、AI、IoT技術などの概要も含め包括的に説明しています。さらに、要点を20ページにまとめた「エグゼクティブサマリー」を同時公開し、経営層にも手に取りやすくしています。
IPAは、本白書を経営者・IT部門・業務部門のあらゆるビジネスパーソンが参照し、協調して組織的にDXに取り組んでいくことで、日本企業のDX推進が加速することを期待しています。本白書は、本日からIPAウェブサイト(DX白書2021)でダウンロードが可能です。

  • 表1. アンケート調査実施概要

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