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プレス発表 現行ITシステムのDX対応状況を評価するツールを提供開始

公開日:2021年9月27日

独立行政法人情報処理推進機構

「プラットフォームデジタル化指標」でITシステムの問題点を可視化

IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:富田達夫)は本日、DX実現の基盤となるITシステムについて、企業がDX対応状況を詳細に評価するためのツールを提供開始します。本ツールは「プラットフォームデジタル化指標」としてIPAが策定した評価項目に対し、各企業が回答を記入すると点数化してグラフ表示するエクセル形式の評価表で、現行ITシステムにおける問題点の可視化を支援します。

背景と目的

日本企業全体でDXへの取組みが加速するなか、ビジネス変革の成果が出るレベルまで到達する企業はまだ多いとは言えない状況です。IPAが本年6月に公開した「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2020年版)」では、対象企業305社のうち「全社戦略に基づいて部門横断的にDXを推進できるレベルに達していない企業が約9割あることが明らかになりました。IPAは経済産業省が作成したDX対応状況の自己診断ツールである「DX推進指標」について、各企業による自己診断結果の収集・分析・ベンチマーク提供の業務を2019年10月から担っています。DX推進指標では、DX推進のための経営のあり方や仕組みといった経営戦略面と、DXを実現する上で基盤となるITシステム面の両方から、企業のDX対応状況を可視化します。この指標などでITシステムに問題があることを把握した企業や、現行システムが足かせとなってDX対応が困難となっている企業が、ITシステムをより詳細に評価して問題点を可視化することを支援するために、IPAは「プラットフォームデジタル化指標」の策定を進めてきました。このたびIPAは、「プラットフォームデジタル化指標」の評価項目76項目について、企業がその評価結果を集計・分析する作業を省力化するための「評価表」を提供開始します。

プラットフォームデジタル化指標(評価表)につい

本日公開した評価表は、企業の現行 IT システム全体や、業務・部門レベルのシステムである「機能システム」単位に設定された評価項目に対し企業が回答を記入すると、点数が集計され、結果がレーダーチャートなどのグラフで表示されるエクセル形式のツールです。ITシステム全体では財務・組織の状況や全社でのデータ共有状況など、機能システム別では各システムの特性やDX対応に求められる要件、ITシステム品質やIT資産の健全性などの設問を設定しています(図1)。例えば、DX対応に求められる要件としては、「取得データをAIやデータ分析のシステムに容易にインプットできる仕組みになっているか」といった設問があります。ユーザーは、実施状況、効果それぞれの設問に「〇」「△」「×」の3段階で回答します。企業の状況にあわせて各項目の配点や重みづけを修正することもできます。

評価結果は、ITシステム全体、機能システム別にそれぞれ4種類のグラフで表示されます。ITシステム全体の評価結果は、機能システム間の独立性、データ活用の仕組み、運用の標準化、プロジェクトマネジメント/品質、セキュリティ/プライバシー、CIO/デジタル人材からなる6つの軸のレーダーチャートで表示されます。機能システム別の評価結果は、データ活用性、アジリティ、スピード、利用品質、開発品質、IT資産の健全性からなる6つの軸のレーダーチャートで表示され、問題箇所を可視化します(図2)。配点に対して点数が低い箇所などについてユーザーが分析を行い、必要に応じてコメント欄に分析結果を記 入するなど、一次分析に利用することができます。

得られる効果・その他の利用方法(簡易的な利用法等)

これらの可視化された分析結果により、ITシステム全体の問題点や、どの機能システムが問題箇所となっているのか、DXに求められるITシステム要件としてのデータ活用の度合や、デジタル技術の活用の度合、現在のITシステムの技術的負債の度合などが明確になります。そのため企業は、ITシステムの再構築・廃止・機能凍結の対象の明確化や優先順位、再構築の場合は非競争領域の共通化を業界内に働きかけるといった実装方式を含めた経営判断に役立てることができます。

本評価表は全76の評価項目のうち、問題のありそうな機能システムのみ、さらに「DX対応に求められる要件」など特定の評価項目に絞って実施することも可能です。

本評価表の対象ユーザーは、DXを推進する企業の情報システム部門や、コンサルティングファーム・ITベンダーのコンサルタント、SEなどです。コンサルティングファーム・ITベンダーなどの既存の評価指標での評価と組み合わせて利用することも可能です。

IPAは企業がDX対応の定期健康診断として「DX推進指標」を毎年実施し、問題が見つかった際には精密検査として「プラットフォームデジタル化指標」を活用することで、DX実現に向けた IT システム構築が効率的に進み、DX推進が加速することを期待しています。

プラットフォームデジタル化指標(評価表)および、あわせて公開した紹介資料や説明動画は、本日から以下のページで利用できます。

  • 図1:プラットフォームデジタル化指標の構成
  • 図2:機能システムの評価結果の例

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