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2020年12月24日
独立行政法人情報処理推進機構
IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:富田達夫)は本日、「ニューノーマルにおけるテレワークとITサプライチェーンのセキュリティ実態調査」の一部を中間報告として公開しました。
2020年4月に新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が出され、テレワークやオンライン会議など新しいワークスタイルに取り組む企業が急速に増加しました。一方、急速なICT環境の整備は、業務継続を優先したことにより、セキュリティ対策が十分とは言えない状況にあります。
そこでIPAは、こうしたICT環境の変化について、特にITシステム・サービスの業務委託におけるセキュリティの取り決めに与える影響を調査する目的で、個人および企業へのアンケート調査を行いました。本日は、個人へのアンケート調査結果の一部を中間報告として公開します。本調査では、回答者2,372人のうち約7割が取引先の行動の変化を感じており、さらに取引先企業がテレワークを実施している回答者1,986人のうち約5割が取引先のセキュリティ対策に何らかの不安を感じていることが明らかになりました。
本調査で明らかになった主なポイントは次のとおりです。
1. 回答者の約75%がテレワークを経験し、そのうち約60%が緊急事態宣言後にテレワークを導入したことが分かりました。また、会社業務にWeb会議ツールを利用している人の割合は、緊急事態宣言前は45.7%だったのに対し、緊急事態宣言中に73.7%、緊急事態宣言後は77.4%と急速に拡大しています。
設問:あなたの会社では現在(2020年10月31日時点)テレワークを実施していますか、またはしたことがありますか。(n=2,372)
設問:あなたの会社ではいつテレワークを導入しましたか。(n=1,800)
設問:あなたは、会社業務にWeb会議ツール(Skype、Zoom、Microsoft Teams、Webex等)を利用していますか(いましたか)。(n=2,372)
2. 回答者の約7割が取引先の行動に変化を感じており、取引先企業がテレワークを実施している回答者の約5割がセキュリティ対策に不安を感じていると回答しました。不安に思っている内容としては、情報漏えい発生時の経路判別や、取引先のテレワーク環境のセキュリティ対策に懸念を持っていることが分かりました。
設問:あなたが業務で取引先企業とやり取りする際、一年前と比べて取引先企業の行動が変化したと感じることはありますか(複数回答)。(n=2,372)
図4:取引先の行動変化(一年前との比較)(左)と具体的な行動変化(右)
オンライン会議の増加(52.3%,1240人) 、テレワークの導入(37.4%,887人)に伴い、
取引先からの訪問回数が減少(37.1%,879人)し、働き方が大きく変化していることがうかがえる。
設問:あなたの会社の取引先企業がテレワークを実施している場合、不安に思っていることはありますか(複数回答)。(n=1,986)
図5:取引先がテレワークを実施することの不安の有無(左)と具体的な不安の内容(右)
情報漏えい時の経路の判別しにくさに不安を感じている人が27.1%(538人)で最多。
テレワークの普及に伴う脅威として対策を強化していく必要がある。
IPAでは企業へのアンケート結果についても来年1月以降、中間報告として公開する予定です。また本調査の結果をもとに、ITサプライチェーンにおけるセキュリティ脅威やリスク、および課題などの観点から分析、有識者、企業へのインタビューを行い、最終調査報告書を2021年春に公開する予定です。IPAは本調査の結果を踏まえ、テレワークを前提としたセキュリティ対策の検討や、取引先とのセキュリティ対策の取り決めが進むことを期待しています。