アーカイブ

プレス発表 中小企業向け「サイバーセキュリティお助け隊事業」15事業者の採択決定

サイバーセキュリティ対策支援サービスのビジネス化に向けて全国で実証実施

2020年8月28日
独立行政法人情報処理推進機構

IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:富田 達夫)は、令和2年度中小企業サイバーセキュリティ対策支援体制構築事業(以下、「サイバーセキュリティお助け隊事業」)の採択事業者15社と実証対象地域・産業を発表しました。

サイバーセキュリティお助け隊サービス制度

経済産業省とIPAは、企業間サプライチェーンにおける中小企業のサイバーセキュリティ対策の強化を目指し、昨年度、サイバーセキュリティお助け隊事業を開始しました。全国8地域で8事業者が中小企業1,064社の参加を募り、セキュリティに関する課題や対策のニーズ、サイバー攻撃被害の実態などを把握するとともに、サイバーインシデント発生時の支援体制構築に向けた実証を行いました。延べ1716件のアンケートや簡易診断、延べ128件のインシデント対応支援などを通じ、中小企業が業種や規模を問わずサイバー攻撃を受けている状況や、検知・防御のための対策や体制が整っていない企業が多いことが確認されました。また、導入コストやリソースの観点から、中小企業のニーズに合った製品、サービスが提供されていない状況が明らかになりました。

本年度はこうした中小企業の実態・ニーズを踏まえ、中小企業に定着する持続可能なセキュリティ対策支援体制の構築を目的として、実証をさらに進めるため15事業者が採択されました。実証の対象は、北海道から沖縄まで13地域に加え、セキュリティ対策の必要性が高い「防衛・航空宇宙産業」「自動車産業」の 産業分野を予定しています。各事業者は、損害保険会社、ITベンダー、地元の団体等と連携し、地域特性・産業特性を考慮しながら、コストや導入負荷を低減した、中小企業が利用しやすいサイバーセキュリティ対策支援サービスを検討・実証します。

例えば、自前での調達が前提となる島しょ地域の特性をもつ沖縄では、沖縄県を本拠地に活動する組織で実証体制を整備し、実証段階から県内で完結するモデルを作るなどの工夫をします。防衛・航空宇宙産業サプライチェーンでは、防衛装備品や航空機の部品を製造する企業が多数あることから、工場のネットワーク、IT機器に関する管理方法のヒアリングを行うなどして、対策につなげる予定です。また、複数の地域で、インシデント発生時の初期対応をリモートで行う仕組み、セキュリティリスクを低減するためのテレワークツールの提供といった、新しい働き方に対応した実証内容も予定されています。

各事業者は今後、実証内容をIPAとの協議のもと決定し、各地域で説明会を開催して参加企業を募ります。各地域・産業における実証内容の詳細や、説明会の日程などについては9月以降、以下のウェブサイトで公開していきます。

今回採択された事業者と実証地域、産業分野は以下のとおりです。

実証対象(地域/産業分野) 実施主体
(1)北海道 東日本電信電話株式会社
(2)宮城、山形、秋田、青森 東北インフォメーション・システムズ株式会社
(3)岩手 富士ソフト株式会社
(4)岩手、宮城、福島 株式会社デジタルハーツ
(5)千葉、埼玉 富士ゼロックス株式会社
(6)千葉 SOMPOリスクマネジメント株式会社
(7)岐阜を中心とする中部エリア MS&ADインターリスク総研株式会社
(8)愛知、岐阜、三重 名古屋商工会議所
(9)滋賀、奈良、和歌山 大阪商工会議所
(10)香川 高松商工会議所
(11)福岡を中心とする九州圏(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎) 株式会社BCC
(12)熊本 西日本電信電話株式会社熊本支店
(13)沖縄 沖電グローバルシステムズ株式会社
(14)防衛・航空宇宙産業(関東、中部、関西地方) 株式会社PFU
(15)自動車産業(静岡県、広島県等) 東京海上日動リスクコンサルティング株式会社

IPAはこれらの実証を通じて、中小企業におけるサイバーセキュリティの意識向上を図るともに、中小企業の実態に合ったセキュリティ対策が定着していくことを期待しています。