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AI社会実装課題の調査と対策の方向性に関する報告書を公開

2018年12月11日更新
2018年6月19日公開
独立行政法人情報処理推進機構
技術本部 ソフトウェア高信頼化センター

概要

 独立行政法人情報処理推進機構 技術本部 ソフトウェア高信頼化センターは、AI社会実装推進調査報告書を公開しました。

なお、本報告書の内容は2018年12月11日に刊行した「AI白書2019」に反映しています。

調査の背景と狙い

 Society 5.0でも提唱されているように、経済発展と社会課題の解決を両立する新技術としてAIに対する期待が高まっており、自動運転やスマートホームなど海外での普及も進んでいます。AI技術の日々の革新、グローバルでの社会実装を受けて、日本の社会や産業もAIの恩恵を十分に受けられるよう、AIの社会実装をスピードアップすることが必要です。そこでIPAは、AIの利用状況およびAIに関する制度・政策を調査しました。また、東京大学 松尾豊氏を委員長とした産学官の有識者からなるAI社会実装推進委員会を設置し、調査結果を基にAIに関する期待、社会実装課題の抽出を行い、社会実装推進の方向性を検討し、まとめました。
 具体的な調査・検討・とりまとめ方法は以下のとおりです。

  • 調査の実施:AIの利用動向・制度政策動向に関する調査(文献/アンケート/ヒアリング)。
  • 調査結果の検討:AIの社会実装課題を抽出・整理・分類し、対策の方向性を策定。
  • 検討結果のとりまとめ:AI社会実装推進調査報告書としてとりまとめるとともに、2018年度内に発行予定のAI白書で活用。

調査結果の概要

 今回の調査では、文献調査、アンケート調査、ヒアリング調査を実施しています。文献調査では、AIと現行法との整合(自動運転に合わせた法制度など)、AI用学習データや学習済モデルの知的財産権などの法制度課題に関する各省庁の検討状況を調査し、整理しています。ヒアリング調査は、複数のAIベンチャーに対して行い、ユーザ企業側のAIの理解、人材育成や確保などの課題が出されました。課題のうち、「AIの理解」については、アンケート調査でも突出しており、適切な情報提供や人材育成の必要性がうかがえます(図1)。また、AI一般だけでなく、自動運転およびスマート工場の2分野について深掘りすることにより、具体的な実装課題の洗い出しを試みています。


図1 AIに関する課題(アンケート調査)


 これらの調査に基づき、AIの社会実装推進上の主な課題を以下のように整理しました。

■AIの社会実装推進上の主な課題
 ・ユーザや社会に係る課題(AIの理解、社会受容性、AIと人との協調)
 ・国際課題(国際競争力、データの流通)
 ・開発に係る課題(AI人材の育成、学習環境、学習データ・学習済モデルの流通)
 ・AIの特性に係る課題(AIシステムの検証性、AIシステムの安全性、AIの精度)
 ・法制度に係る課題(AIと法制度、個人情報・プライバシー)

 

 さらに、本課題に対する取組みとして、8つの「社会実装推進の方向性」を策定しました(図2)。下図の方向性については、実装をスピードアップする観点から、(相互の関係や全体像を念頭に置きつつ、)可能な部分から取り組むことが必要と考えています。


図2 AI社会実装推進の8つの方向性の関係



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2018年6月19日 公開
2018年12月11日 2018年12月11日 「AI白書2019」のご案内を追加しました。