プレスリリース

プレス発表 日英両国間で「JC-STARと英国PSTI法の相互承認に関する協力覚書」に署名しました

公開日:2025年11月6日

独立行政法人情報処理推進機構

経済産業省と英国・科学・イノベーション・技術省(DSIT)は、11月5日、ロンドンにて、「IoT製品のためのサイバーセキュリティ制度の相互承認に関する協力覚書」に署名しました。

本覚書は、サイバーセキュリティ分野での協力を前進させていきたいという日英両国の意向を踏まえて、両国間のIoT製品のためのサイバーセキュリティ制度の相互承認に合意したものとなります。具体的には、英国PSTI法(Product Security and Telecommunications Infrastructure Act)が要求する技術基準(3要件すべて)と我が国のJC-STAR(「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度」)「★1」適合ラベル取得に必要な技術基準のうち該当する3要件が同等であるとみなす旨に合意したものであり、これを踏まえ、今後、英国にて法改正に必要な国内手続が行われる予定です。年内に手続きが完了しますと、2026年1月1日以降、JC-STAR★1を取得した製品はPSTI法の技術要件に適合するとみなされます。これにより、日英両国間でのIoT製品のサイバーセキュリティ対策の向上や、英国向け輸出におけるIoT製品の製造業者の負担軽減に貢献すると期待されます。

日本では、経済産業省の制度構築方針に基づき、2025年3月から独立行政法人情報処理推進機構(IPA、理事長:齊藤裕)が「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR)」の運用を開始しています。

IPAとしても、さる10月23日に発足した「グローバル・サイバーセキュリティ・ラベリング・イニシアティブ(GCLI)(注釈)」参加国をはじめとする様々な関係機関との基準調和のための情報共有を通じて将来的な相互承認を見据えた検討を引き続き進めるとともに、経済産業省などの関係省庁、JC-STAR賛同団体などとも連携して、適切なセキュリティ対策が施されたIoT製品の普及に向けた取り組みを進めてまいります。

  1. (注釈)GCLI:
    IoT製品のサイバーセキュリティ・ラベリング制度の推進と国際協力を目的とした世界的な枠組みであり、11ヶ国が参加

背景

近年、IoT製品の脆弱性を狙ったサイバー脅威が増加しています。こうしたリスクに備え、2020年以降、世界各国でIoT製品のセキュリティ対策に関するラベリング制度の検討が進められ、一部の国ではすでに制度運用が始まりました。
日本でも、2024年8月に経済産業省が公表した「IoT製品に対するセキュリティ適合性評価制度構築方針」に基づき、IPAが「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR)」の運用を2025年3月25日から開始し、★1の申請受付を行っています。
経済産業省とIPAは、従来からJC-STARと類似の制度を運用・検討している関係国との間で相互承認に向けた交渉を進めてきました。この度、英国との合意に達し、2025年11月5日、武尾伸隆経済産業省商務情報政策局サイバーセキュリティ課長及びロッド・ラサム科学・イノベーション・技術省(DSIT)サイバーセキュリティ課長との間で「IoT製品のためのサイバーセキュリティ制度の相互承認に関する協力覚書」への署名が行われました。

本覚書に基づき、英国にて法改正に必要な国内手続が完了しますと、日英両国のサイバーセキュリティ規格の調和によって、2026年1月1日以降、JC-STAR★1適合ラベルを取得した製品は、英国PSTI法が要求する3つすべての技術基準(1. Passwords、2. Information on how to report security issues、3. Information on minimum security update periods)に適合しているとみなされます。
製造者向けの具体的な適合証明の方法や運用は、詳細が決定次第、JC-STARのサイトにて公表します。

JC-STAR制度の概要

本制度は、インターネットとの通信が行える幅広いIoT製品を対象として、共通的な物差しで製品に具備されているセキュリティ機能を評価・可視化することを目的としています。IoT製品共通の最低限の脅威に対応するための基準(★1)やIoT製品類型ごとの特徴に応じた基準(★2、★3、★4)を定め、求められるセキュリティ水準に応じた適合性評価レベルを設定することとしています。
2025年10月31日時点で、42社93件の「★1適合ラベル」が交付されています。

今後の予定

IPAでは、今回の英国との相互承認を第一弾として、類似制度をもつ諸外国との相互承認に向けて、引き続き経済産業省とともに、グローバル・サイバーセキュリティ・ラベリング・イニシアティブ(GCLI)参加国を含む様々な関係機関との情報共有などを進めてまいります。

参考資料

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IPA セキュリティセンター 技術評価部 JC-STAR(プロモーション)担当

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