プレスリリース
独立行政法人情報処理推進機構
公開日:2025年5月7日
独立行政法人情報処理推進機構(IPA、理事長: 齊藤裕)は、日本企業におけるDXの現状や実態を把握することを目的に、企業が提出した1,349件のDX推進指標自己診断結果を分析した「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2024年版)」を公開しました。
IPAは2019年より、各企業が提出した「DX推進指標」の自己診断結果を分析し、その結果をレポートとして毎年公開しています。 2025年の崖を目前に控える本年は、2024年1月から12月までに提出された1,349件の自己診断結果を分析し、「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2024年版)」として取りまとめました。
本レポートでは、全体的な傾向に加え、中小企業や先行企業(注釈1)、 DX認定制度で認定された企業のほか、DX推進指標を2年連続で提出した企業の特徴についても分析しています。
DX推進の成熟度は「レベル0~レベル2未満」に偏っており、レベル4以上の企業は全体の1%と非常に少ないことがわかります。レベル3以上である「全社戦略に基づく実施」がなされている企業は少なく、多くの企業のDX推進は 「一部での散発的実施」にとどまっていることがわかりました。
全指標では、現在値が1.67、目標値が3.34で、その差は1.67に上ります。経営視点指標およびIT視点指標においてもほぼ同様の差があり、企業が目標を達成するためには「DX のための経営の仕組み」と「その基盤としての IT システムの構築」を両輪として、目標策定とアクションを実行する必要があることが分かりました。
指標 | 現在値 | 目標値 | ||
---|---|---|---|---|
平均値 | 中央値 | 平均値 | 中央値 | |
全指標 | 1.67 | 2.00 | 3.34 | 3.00 |
経営視点指標 | 1.66 | 2.00 | 3.35 | 3.00 |
IT視点指標 | 1.69 | 2.00 | 3.34 | 3.00 |
IPAでは、DX 推進指標による自己診断がより多くの企業に活用されることを期待し、今後も本レポートを通じて継続的な観測と分析を行い、適切なDX推進政策の構築につなげていきます。
2019年に248社だった提出企業数は、2022年にものづくり補助金の一部の申請においてDX推進指標の自己診断結果の提出が要件となったこともあり、4,047社にまで増加しました。その後、2023年に同補助金の申請要件から外れたものの1,349件の提出があり、引き続き多くの企業、さまざまな業種の企業から提出をいただきました。
企業のDX推進状況を自己診断するツール。DXの推進に際し、日本企業が直面している課題やそれを解決するのに必要な事項を明らかにすることを目的として設定した35項目の指標について、各企業が自社の成熟度を0から5の6段階で評価。成熟度レベルは「未着手」であるレベル0から、「デジタル企業として、グローバル競争を勝ち抜くことのできるレベル」であるレベル5までを定義しています。
成熟度レベル | 特性 | |
---|---|---|
レベル0 | 未着手 | 経営者は無関心か、関心があっても具体的な取組に至っていない |
レベル1 | 一部での散発的実施 | 全社戦略が明確でない中、部門単位での試行・実施にとどまっている (例)PoCの実施において、トップの号令があったとしても、全社的な仕組みがない場合は、ただ単に失敗を繰り返すだけになってしまい、失敗から学ぶことができなくなる。 |
レベル2 | 一部での戦略的実施 | 全社戦略に基づく一部の部門での推進 |
レベル3 | 全社戦略に基づく部門横断的推進 | 全社戦略に基づく部門横断的推進 全社的な取組となっていることが望ましいが、必ずしも全社で画一的な仕組みとすることを指しているわけではなく、仕組みが明確化され部門横断的に実践されていることを指す。 |
レベル4 | 全社戦略に基づく持続的実施 | 定量的な指標などによる持続的な実施 持続的な実施には、同じ組織、やり方を定着させていくということ以外に、判断が誤っていた場合に積極的に組織、やり方を変えることで、継続的に改善していくということも含まれる。 |
レベル5 | グローバル市場におけるデジタル企業 | デジタル企業として、グローバル競争を勝ち抜くことのできるレベル レベル4における特性を満たした上で、グローバル市場でも存在感を発揮し、競争上の優位性を確立している。 |
IPA デジタル基盤センター デジタルトランスフォーメーション部