プレスリリース
公開日:2023年4月21日
独立行政法人情報処理推進機構
IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:齊藤裕)は、スマートビルの社会実装に向けたアーキテクチャ設計の前提となるビジョンやコンセプト、アーキテクチャ、データモデル、構築・運用プロセスなどをまとめた「スマートビルガイドライン」の案を本日公開しました。本年5月末以降に初版を公開するにあたり、本日から5月18日までの期間で意見募集を行います。
IPAはSociety5.0(サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会)の実現を目指し、2020年5月にデジタル・アーキテクチャ・デザインセンター(DADC)を設立しました。DADCは、政府や民間からの依頼に基づき、Society5.0を形成する基盤となるシステム全体のアーキテクチャを産官学連携のもと設計・提案する組織です。
DADCでは主なプロジェクトの一つとして、民間からの依頼に基づき2022年4月からスマートビルプロジェクトを開始しました。さらに政府のデジタル田園都市国家構想基本方針でスマートビルに関するアーキテクチャ設計に取り組む方針が示されたことを踏まえ、関係省庁・民間企業・教育機関といったステークホルダーと連携してアーキテクチャ設計を進めてきました。本プロジェクトはスマートビルの社会実装および普及を目指しており、今回、第一弾の成果物として、業界の共通理解を促すガイドラインの案を公開しました。
本ガイドラインは、スマートビルに関わるステークホルダーが参照すべきアーキテクチャ、データモデル、構築・運用プロセスなどを整理するとともに、スマートビルの設計・建設にあたって考慮すべき事項を提言しています。具体的には、「総合ガイドライン」の中で、以下のようなビジョン、定義を示しています。
そして、ビジョンを基に、スマートビルの主な連携先として(1)人、(2)モビリティ・設備・AI、(3)街、を注力領域としてスマートビルの活用シーンを示しています。また、スマートビルの設計要求事項としては、「体験価値を考慮すること」「協調領域を持つこと」「データドリブンであること」を挙げ、それらを満たすシステムの基本的な論点について整理しました。さらに、ステークホルダー間で共通的に検討・実装すべき領域である「協調領域」を設定し(図1)、各ステークホルダーに具体的に求められる要件、活用される代表的なデータについても整理しました。ガイドラインは、上記のほかに、「システムアーキテクチャ」「構築・運用」「データガバナンス」の4部で構成しています(表1)。
ガイドライン名 | 記載概要 |
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スマートビル
総合ガイドライン
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スマートビルを取り巻く背景やガイドライン発行の目的、スマートビルのビジョン、定義、また実現に向けての設計原則などを記載。全てのステークホルダーがまず理解しておくべき前提事項を解説している。 |
スマートビル
システムアーキテクチャ
ガイドライン |
スマートビルのシステム構成図の他、構成要素とそれに紐づく要求機能、協調領域などを記載。スマートビルの設計を進めるうえでのポイントや、データモデル・インターフェースの考え方を解説している。 |
スマートビル
構築・運用ガイドライン
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構築や運用における標準プロセス、ステークホルダーの役割などを記載。スマートビル構築において、実施すべきタスクやコミュニケーションの取り方などのポイントを解説している。 |
スマートビルデータ
ガバナンスガイドライン
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スマートビルにおけるデータのガバナンス、特にデータポリシーの考え方を記載。データを利活用するステークホルダーが理解すべき内容を解説している。 |
IPAは、本ガイドラインがスマートビルに関わる設計業者、施工業者、アプリ開発事業者に参照されることで、協調領域の構築や拡大に貢献することを目指しています。今回のガイドライン案では、多様なステークホルダーからの意見を広く募集し、5月末に公開予定の初版に反映します。
IPA デジタルアーキテクチャデザインセンター
プロジェクト部 プロジェクトグループ
担当
粕谷・中村
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