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公開日:2022年4月4日
独立行政法人情報処理推進機構
IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:富田達夫)は日本企業のDX推進をめざし、昨年11月に公開した「DX実践手引書 ITシステム構築編」を改訂しました。今回の改訂では、DX実現のためのあるべきITシステム「スサノオ・フレームワーク」とクラウド、IoT、APIといった技術要素との関連を追記したほか、自社DXの規模および現状に応じたDXの進め方や外部サービスの活用方法など、より具体的なヒントを提供しています。
IPAは昨年11月、DX未着手・途上企業の担当者を技術的側面から支援するため「DX実践手引書 ITシステム構築編」を公開しました。その後も23社へのヒアリング調査を継続し、今回の改訂では、各社がDXでめざす変革規模や現時点の成熟度を指標化する仕組みや、DXとセキュリティの関係、外部サービスの活用方法などを新たに紹介し、具体的なヒントを提供しています。今回の改訂の主なポイントは次のとおりです。
第2章において「DXを継続的に進めるための考え方」として、DXでめざす「変革規模」と「組織成熟度」の指標を定義しました。「変革規模」は、変革や効果の波及範囲の大きさを示すものとして、既存事業における社内を中心とした変革を目指すオプティマイゼーション(3段階)と、新商品や新サービスを通して、市場や社会の変革を目指すトランスフォーメーション(4段階)を合わせた7段階を設定しました(図1)。 「組織成熟度」は、DXを実現していく上で必要と考えられる経営体制・環境準備・IT人材や技術力などの個別要素を集約し、その達成度を組織成熟度として定義しました。その上で、変革規模を高める、あるいは継続して変革をし続けるために、各組織の成熟度指標を高めていく際に有効となる施策を紹介しています。
第4章の4.1.4では、DX実現のために組織内で独自に構成するITシステムについて、各要素の設計・実装にあたり必要となるセキュリティの考え方を説明しています。独自アプリケーションのクラウド上での構築や、外部サービスとの連携、API連携、活用するデータの重要性などDXに必要となるセキュリティの考え方を次の4点にまとめて紹介しています。
第4章の4.6では、外部サービスをうまく活用してITシステムを構成することで、割り勘効果によってITコストを最適化し、各社のビジネス競争力につなげる「社会最適」を実現するための外部サービスの活用方法を紹介しています。割り勘効果が期待できる外部サービスの種類と特徴や、メリット・デメリット、外部サービスの活用方針を決定するための事業・技術の競争性の考え方など、企業が外部サービス活用の検討を進める際のヒントを提示しています。
このほか、DX実現のためのあるべきITシステム「スサノオ・フレームワーク」とクラウド、IoT、APIといった技術要素との関連も追加しています。今回改訂した章・項目は以下のとおりです。
また、ITシステムのDX対応状況を評価する「プラットフォームデジタル化指標(PFデジタル化指標)」と、「DX実践手引書 ITシステム構築編」を関連付けて、対策検討の際に参照すべき箇所を示した「PFデジタル化指標 ITシステム構築ノウハウ参照ガイド」も併せて改訂しました。
IPAは、本手引書が企業のDX担当者にとって経営層を説得するための材料として活用されることで、日本企業のDXが進んでいくことを期待しています。
「DX実践手引書 ITシステム構築編」暫定第2.0版および「PFデジタル化指標 ITシステム構築ノウハウ参照ガイド」は、IPAのウェブサイトからダウンロードできます。
IPA 社会基盤センター 鎌田/溝口