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2020年1月14日
独立行政法人情報処理推進機構
IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:富田 達夫)は、国内の産業用制御システム保有事業者のセキュリティ対策を促進するために「産業用制御システムのセキュリティ10大脅威と対策」を発表しました。これはドイツ連邦政府 情報セキュリティ庁が作成したものをIPAが許可を得て翻訳したものです。
産業用制御システムは、電力、ガス、水道、鉄道等の社会インフラや、石油、化学、鉄鋼・自動車・輸送機器、精密機械、食品、製薬、ビル管理等の工場・プラントにおける監視・制御や生産・加工ラインにおいて用いられています。
IPAでは、2017年10月「制御システムのセキュリティリスク分析ガイド(脚注1)」を発刊。制御システムの資産や事業被害のリスクレベルを明確化するリスクアセスメント手法を解説しています。また、2019年7月には、過去のサイバー攻撃の事例をもとに、その概要と攻撃の流れを紹介する「制御システム関連のサイバーインシデント事例(脚注2)」シリーズを公開しています。
現在の制御システムは我々の社会や産業の基盤を支えており、サイバー攻撃等で稼働が阻害された場合、社会的な影響や事業継続上の影響が大きいため、セキュリティ対策の向上が急務です。
本日発表した「産業用制御システムのセキュリティ -10大脅威と対策2019-」はドイツ連邦政府 情報セキュリティ庁(BSI)が作成したもの(脚注3)を、IPAが許可を得て翻訳したものです。
ランクインした脅威は、日本国内でも共通の事項が多く、事業者にとってこれらの脅威とその発生要因、具体的な手口、および対策を体系的に理解することに役立ちます。
2019年の順位は、2016年に比べて、制御システムにおける利用増加に伴い、クラウドコンポーネントや外部ネットワークへの攻撃の脅威が上昇しています。一方で、ソーシャルエンジニアリングやフィッシングの脅威は、相対的に降下しています。
1位 | リムーバブルメディアや外部機器経由のマルウェア感染 | 2016年は2位 |
2位 | インターネットおよびイントラネット経由のマルウェア感染 | 2016年は3位 |
3位 | ヒューマンエラーと妨害行為 | 2016年は5位 |
4位 | 外部ネットワークやクラウドコンポーネントへの攻撃 | 2016年は8位 |
5位 | ソーシャルエンジニアリングとフィッシング | 2016年は1位 |
6位 | DoS/DDoS攻撃 | 2016年は9位 |
7位 | インターネットに接続された制御機器 | 2016年は6位 |
8位 | リモートアクセスからの侵入 | 2016年は4位 |
9位 | 技術的な不具合と不可抗力 | 2016年は7位 |
10位 | スマートデバイスへの攻撃 | 2016年は10位 |
なお、資料には、制御システムを保有する事業者のセキュリティレベルの自己評価に役立つ、セルフチェックリストを用意しています。また、チェックリスト実施後に得られたスコアに対して、実施すべき推奨事項を示しています。これらを材料に自組織の現状把握ができ、対策の方針検討の着手が可能です。