アーカイブ

プレス発表 量子コンピューティング技術を活用する人材の育成事業 未踏ターゲット 1月10日から公募を開始

アニーリングマシン3環境、ゲート式2環境、国内で現在利用可能な全ての開発環境を提供予定

2020年1月10日
独立行政法人情報処理推進機構

IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:富田 達夫)は、2018年度から実施している未踏ターゲット事業の3期目、2020年度の公募を本日より開始します。

未踏ターゲット事業

量子技術をめぐる我が国の現状は政府の資料(脚注1)によれば、技術の実用化や産業(システム)化等に向けた取り組みに、諸外国の後じんを拝する分野・領域があると指摘されています。実際、国内で量子コンピューターの利用が現状可能なのは、特定の大学や企業などの在籍者に限られています。しかし、前述の実用化や産業化の実現には利用機会の一層の拡充が求められるところです。

突出したIT人材の発掘と育成を行うIPAの“未踏”事業は現在、3種類あります。その1つである未踏ターゲット事業は「量子コンピューティング技術を利用したい技術者」が対象です。組織への所属に関わらず誰でも個人で応募可能なことが特長です。既にこれまでの採択者(脚注2)の中には、ゲームや音楽作成といった自由な発想による意外な量子コンピューターの活用事例が出現しています。

公募プロジェクトは「量子コンピューティング技術を活用したソフトウェア開発」で、具体的には下記3区分です。国内で現在利用可能な、ほぼ全ての開発環境を提供する予定で、採択者は複数の開発環境を試した上で、利用環境を選び、無償で利用することができます。

  1. アニーリングマシン向けソフトウェア開発
  2. ゲート式量子コンピューター向けソフトウェア開発
  3. 上記2区分のいずれかを決めかねる開発
■ IPAが関係機関の協力を受け、提供する予定の開発環境
  1. アニーリングマシン向け
    1. (1)株式会社日立製作所 CMOSアニーリングマシン(クラウドタイプ)
    2. (2)富士通株式会社 デジタルアニーラ
    3. (3)D-Wave Systems Inc. D-Wave 2000Q 量子アニーリングシステム
  2. ゲート式量子コンピューター向け
    1. (1)慶應義塾大学 量子コンピューティングセンター IBM Q Network Hub
    2. (2)QISKit、Q#、Cirq などの量子ソフトウェア開発環境、もしくはC/C++/Pythonベースのシミュレーター

なお、応募者の選考は客観的な観点での評価とするため、外部有識者で構成される委員会での審議を経て、IPAが決定します。詳しい公募要領は上記URLからご確認ください。

脚注

  • 脚注1 令和元年11月27日 量子技術イノベーション戦略(最終報告案)イノベーション政策強化推進のための有識者会議
  • 脚注2 2018年度採択:19プロジェクト(33人)、2019年度採択:9プロジェクト(16人)