最終更新日:2020年6月26日
近年、3Dプリンタを中心にレーザーカッターやCNCフライスといった自動造形機を使用するデジタルファブリケーションの分野は、PCの性能向上などのITの発展とともに大きな成長を遂げ、産業向けに限らず一般向けとしても広く普及している。今後は教育分野にも積極的に普及させ、誰もがデジタルファブリケーションを扱える社会を作ることが重要となる。しかしながら学校教育での導入においては、以下の3点の課題が存在する。
そこで本プロジェクトでは、「数分の加工時間」「数万円のコスト」「子供でも扱える手軽さ」を兼ねそろえたカット加工機を開発する。具体的には、紙に描いた形を撮影し、画像処理することで加工データを生成し、スチロールカッターのような線状加工手段とXYテーブルを用いて材料を切断する加工機を開発する。PCに依存しない独立したスキャナを開発することで、PCを持たない環境でも導入を可能にする。
本プロジェクトにより、学校教育に限らず建築模型製作など、これまで導入が困難だった多くの分野で、デジタルファブリケーションの活用ができるようになる。
本提案は、二次元データを取り込み自動加工できるスチロールカッター「Tiny Fabrica」をさらに発展させ、手軽に利用できるスマートデバイスを活用したソフトウェアを開発し、教育や小売向けポップ製作、建築模型製作の用途に展開しようとするプロジェクトである。
レーザーカッターや、3Dプリンタなど個人でも利用可能な造形ツールの登場で、個人のもの作りの幅が広がりその楽しさが見直されるなか、小学生であっても誰もが楽しめる造形ツールは多くない。本提案は、関根氏が一年以上かけて積み重ねてきた提案であり、誰もが楽しめるツールであり、かつ建築やポップ製作、手芸応用などビジネスへの発展性を秘めた内容となっている。
加えて、関根氏のプロダクトを世に出したいという、一貫した強い思いが感じられるプロジェクトであることを補足しておきたい。未踏プロジェクトを通して、ビジネスを含めたより多くの現場において、喜んでもらえ、価値を提供できるプロダクトへと発展してくれることを期待している。
2020年6月26日
2020年度採択プロジェクト概要(関根PJ)を掲載しました。