最終更新日:2019年6月28日
2016年の日本人の健康寿命は男性が72歳、女性が74歳であり、平均寿命とは約10年の差がある。これは世界的にも共通の現象であり、つまり人間は人生最後の10年間を何かしらの介護が必要な状態で過ごす可能性が高いことを示している。
介護施設では要支援・要介護者を対象としてリハビリテーション(機能訓練)を実施している。しかし、多くの介護施設では、設備もノウハウも十分に整っておらず、リハビリテーションの最適化はおろか、利用者のデータ収集さえも十分にできていない。さらに、リハビリテーションの効果の質は現場の介護スタッフのノウハウに依存しており、組織として体系化することはできていない。そのため、どのような高齢者が、どのようなリハビリテーションをして、どのような生活をすれば、どの程度介護度が改善するか、データに基づいて明示できるリハビリテーションサービスが求められている。
本プロジェクトでは、高齢者それぞれの特徴に合わせたリハビリテーションの実施や、転倒事故などによる介護度悪化の未然防止のために、高齢者の歩行特徴を記録し、身体状況を把握するためのIoTデバイスを開発する。さらに、どのようなリハビリテーションをすれば、どの程度介護度が改善するかを定量的に評価するための、高齢者のバイタルデータやトレーニング内容などの臨床データを登録するウェブアプリケーションを開発する。これらの機能から収集、蓄積した情報を統合することで、高齢者それぞれの身体特性に最適化したリハビリテーションメニューの提供を実現する。
本提案は、靴などにセンサを仕込み、そのデータを適切に解析することで、高齢者の歩行機能を改善することを目的としている。申請者は本提案の早急な社会実装を目指しているため、ハードウェアの価格を極力抑えるために極めてシンプルなセンシング手法を用いている。
プロジェクト期間中に現場と協力しつつ試行錯誤を繰り返し、歩行データをどのように安定的に計測するか、解析データをどのようにリハビリと結び付けるかに関し、検証を行いつつ開発を進めて欲しい。
2019年6月28日
2019年度採択プロジェクト概要(田脇PJ)を掲載しました。