2018年度採択の須藤・谷道プロジェクトについて概要を記載しています。
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2018年度採択の須藤・谷道プロジェクトについて概要を記載しています。
藤井 彰人(KDDI株式会社 理事 ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部長)
須藤 海(東京大学 大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 広域システム科学系)
谷道 鼓太朗(東京大学 大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース)
2,304,000円
ファブリケーション指向の折紙設計支援ツール
なし
折紙は折り鶴などの伝統的な遊びとして国内だけでなく、世界各地で親しまれている。
折紙は
などの点で様々な領域に応用可能である。
しかし、実際に折紙技術を具体的な製品にする際には様々な制約があり、現状実用化に至っている例は非常に少ない。通常、折紙の動きを考える際には厚みが無いものとして理想化したモデルを用いるが、家具や建築などの製品レベルに落とし込む場合、厚い板材をヒンジでつなげて作るため通常のモデルが適用できない。現状ユーザが使えるソフトウェアでは厚みを処理することができず、製品化への大きな障害となっている。また、厚みのある板材をデジタル加工機器で加工する際には加工用のデータを生成する必要があり、手軽にプロトタイピングができない状況となっている。
本プロジェクトでは、建築事務所やデザイン事務所で多く使われるCADソフトウェア上に、建築家やデザイナが簡単にデザインでき、かつ紙だけではなく厚みのある板材をCNC加工機や3Dプリンタでファブリケーションできるデータを出力する、ファブリケーション指向の折紙設計支援ツールを開発する。また建築事務所やデザイン事務所とのワークショップを通してフィードバックを得ながら、ツールの改善及び折紙構造の応用可能性を模索していく。さらに、折紙ファブリケーションに適したより一般的な入出力の形式、仕様を考案し、第三者の開発者がその仕様に基づいて本ツールを発展、開発できるような土台づくりを目指していく。
本提案は、日本の伝統文化ともいえる折紙技術を、デジタルファブリケーションで、実装活用するためのソフトウェア開発を目指している。提案するソフトウェアが実現すれば、自由度制御、平面の立体化、剛性設計など、既存工業製品や建築材への多方面への展開が考えられ、デジタルファブリケーションの普及とともに、その可能性は今後さらに拡大するものと考えている。
提案者自らが折紙技術への深い情熱を持っており、本プロジェクトの推進を通して、具体的な製品サービス、またはビジネスへの発展へと結びつけてくれることを期待している。