2020年度実施の大峠・千北プロジェクトについて、概要を掲載しています。
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2020年度実施の大峠・千北プロジェクトについて、概要を掲載しています。
原田 達也
・東京大学 先端科学技術研究センター 教授
大峠 和基(筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科)
千北 一期(筑波大学大学院 システム情報工学研究科)
10,000,000円
非クリエータが簡単にテロップを製作できるモバイルアプリ
本プロジェクトでは、非クリエータが簡単にテロップを製作できるアプリ「telorain」を開発する。
現在、テロップ付き動画を作るためには(1)PCと(2)専門技術と(3)作業時間を要する。そのため、若者の間で投稿される動画のほとんどにテロップがついていない。
本プロジェクトでは(1)スマホで(2)簡単に(3)作業時間なしでテロップを製作できるアプリ「telorain」を社会実装し、新しい動画コミュニケーションの文化を創成することを目指す。
テロップをアプリで簡単に作れるようにするためには(1)煩雑なテロップ製作の工程の自動化アルゴリズム(2)スマホに適したユーザインタフェースの設計の2点が必要である。
2019年度未踏IT人材発掘・育成事業を通じて、上記2点を満たすプロトタイプを開発し、ユーザ検証によりプロトタイプの有効性を確かめた。また、インタビューやアンケートを重ねることでアルゴリズムやユーザインタフェースの改良を続けた。その結果、アプリリリース1週目の継続率として20~29%を達成し、ユーザがSNSにテロップ付き動画をアップロードしている姿も見受けられた。これはアプリが継続して使われており、実用的であることを示唆している。
未踏アドバンスト事業では、検証したプロトタイプを社会実装していくために(1)自動生成アルゴリズムの多言語化(2)インタラクティブにテロップが描画される描画エンジン実装(3)アプリとサーバのアーキテクチャの一新による自動生成リクエスト処理能力の向上・セキュリティ強化・DX(Developer Experience)向上を実施する。
本プロジェクトは、動画像に含まれる音声を認識して自動的にきれいなテロップを動画像に付与するアプリ開発を目的としている。動画像に自動的にテロップを付与するサービスは様々あるが、魅力的なテロップ表示にするためのノウハウを提案者らは保有するために、本アプリケーションにアドバンテージがある。
すでに公開しているアプリを利用したユーザからのフィードバックをもとに、本プロジェクトではリアルタイムテロップ表示に注力することになるが、膨大な動画像のリアルタイム処理はエッジサイドとサーバサイドの処理の配分等を計算負荷に合わせて適切に行わなければならないために、未踏性が高いと考える。従って、本プロジェクトは未踏アドバンストに相応しいと考え採用と判断する。