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プレス発表 社会全体でのデータ連携・共有の基盤づくりを担うデジタルアーキテクチャ・デザインセンターを設立

多様なステークホルダー間のデータ連携等による新たな価値創造を促進

2020年5月15日
独立行政法人情報処理推進機構

IPA(独立行政法人情報処理推進機構、理事長:富田 達夫)は本日、社会全体でのデータ連携・共有の基盤づくりを行うデジタルアーキテクチャ・デザインセンターを設立しました。

デジタルアーキテクチャ・デザインセンター

新たなデジタル技術や多様なデータを活用して経済発展と社会的課題の解決を推進していくSociety 5.0の実現を目指し、関連する業務をIPAに追加することを盛り込んだ「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」が本日、施行されました(脚注)。これを受けIPAは本日、社会全体でのデータ連携・共有の基盤づくりを担う「デジタルアーキテクチャ・デザインセンター」(Digital Architecture Design Center: DADC)を設立しました。

同センターは、産官学が連携した体制を構築するため、IPAの社会基盤センターと有識者会議が連携した組織として設置され、多様なステークホルダーに参画いただきながら透明性・公平性・中立性が確保されたアーキテクチャ設計を行います。また、この活動を通して日本の産業におけるアーキテクチャ設計力の強化を目指します。

センター長には、ファナック株式会社取締役副社長執行役員で一般社団法人システムイノベーションセンター長の齊藤裕氏が就任しました。また、今年度後半に、アーキテクチャに関する政策の方針について議論し同センターで取り組むテーマの決定を行う政府会議と、アーキテクチャ設計の具体的な方向性について技術的・専門的な知見から助言を行う有識者会議を編成予定としています。その有識者会議の座長として慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の白坂成功教授が就任し、アーキテクチャ設計における学術的知見を活かして議論を取りまとめていきます。

同センターは以下の機能を有しています。

  1. アーキテクチャ設計: 政府や事業者の依頼に応じて、異なる事業者間や社会全体でのデータやシステムの連携を容易にするために必要な全体の設計図である「アーキテクチャ」を設計する
  2. 専門家の育成: 設計を主導できる専門家の育成を担う
  3. 調査および国際連携:将来的にアーキテクチャ設計が必要となりうる領域に関する実現可能性調査、および国内外の関係機関との連携方法の検討・情報交換等を行う

アーキテクチャ設計では、

  1. デジタル化に伴い新たな規制体系の確立や規制手法の高度化が求められる規制分野、
  2. より効率的で無駄のないシステム構築が求められる政府・公共調達分野、
  3. 業種横断で多様なプレイヤーが関与するため中立的な全体整理が求められる産業基盤分野
について、 優先的に取り組んでいきます。

まずは昨年度NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの受託で調査を行ったスマート保安、自律移動ロボット、モビリティサービスの3テーマから設計に着手します。第一線で活躍する多様な人材が能力を発揮できるよう、今後、各テーマのプロジェクトリーダーや主要なアーキテクトについて公募を行う予定です。さらに、将来的にアーキテクチャ設計が必要となりうる領域については、Soceity5.0の実現に資する提案を今夏にも民間等から公募する予定です。

また同センターでは、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染拡大防止にもアーキテクチャの観点から貢献していきます。具体的には、内閣官房「新型コロナウイルス感染症対策テックチーム」と連携して、GPS等から提供される人流データを分析し、内閣官房「新型コロナウイルス感染症対策」ウェブページで結果を公開する事業を今月から開始するとともに、その他の必要な業務についても政府・産業界等と連携しつつ進めていきます。IPAは当事業にアーキテクチャの方法論等を活用しつつ、社会課題解決のためのデータ利活用や各種ルール等に関する知見を蓄積し、アーキテクチャの設計に役立てていきます。

同センターでは、活動予定や調査報告書、成果物、アーキテクチャに関する教育資料などを本日開設したWebサイトで公開していきます。

デジタルアーキテクチャ・デザインセンター

脚注