デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(ユース):2010年度採択プロジェクト概要(吉牟田PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

増井 俊之(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    吉牟田 陽平(慶応義塾大学大学院)

  • コクリエータ
    なし

3.採択金額

  • 1,792,000円

4.テーマ名

  • セレンディピティを生み出す情報プラットフォームの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

本提案は、Twitterの公開情報を利用して、ユーザの興味を反映したユーザプロファイルを生成するInterest Profiling、生成されたユーザプロファイルに基づいてTwitterのホームタイムラインと検索タイムラインをフィルタリングするInterest Filtering、フォロー関係を飛び越えてユーザの知的好奇心を満たすTweetで構成されたタイムライン(情報のパイプライン)を自動生成するInterest Recommendingで構成される。情報の受容に知的好奇心が満たされた時に感じる、セレンディピティの醸成に最適化された新たな情報プラットフォーム”Interest Pipeline”の開発を目的とするものである。

Twitterなどのミニブログはユーザが情報を生成、共有して拡散するための主要な情報プラットフォームとなっており、ユーザは、自らの知的好奇心を満たす目的で利用している。しかしながら、Twitterなどのミニブログは、特定の人間をフレンドとして登録する現行の共有手法は、興味深い人間が常に一面的な興味に基づく情報を発信するわけではない点、また、興味に基づく登録関係に補正しようと思っても、感情的な人的つながりに依存するために簡単につながりを更新することが出来ない点で、持続的なユーザの知的好奇心の最大化という達成目標に対して最適な仕組みとはいえない。

本提案は、オンライン上に存在する大量の情報を利用可能な形に位置づけ利益を享受し管理する推薦システムを利用している。推薦システムは、興味の意識が検索クエリの形になるほどには顕在化していないが興味を持つかもしれない場合や、既存の興味あるものと関連性があるために興味を持つに違いない場合の情報の発見に対して有用である。

しかし、既存の推薦システムは、ユーザの興味に対する精度が上がるほど、提示情報に新鮮味や意外性などの面白み(Interest)がなくなるという欠点がある。そこで、本提案では、ミニブログが抱える上記問題点を解決するために、ユーザがセレンディピティを感じる(このシステムでなければ出会えなかった、意外に良い等)推薦システムを備えた情報プラットフォームを開発する。

7.採択理由

twitterが爆発的に流行しているが、自分が欲する面白い情報を効率的に取得するのは簡単ではない。投稿される記事の中には確かに有用な情報はあるのかもしれないが、大量の情報の中から有用な情報を発見する「セレンディピティ」を発揮する効果的な方法はわかっていない。

吉牟田君は、twitter上の人間関係のグラフや発言テキストから自分が本当に面白いと感じる情報を抽出するシステムを提案している。twitterはシステムも使われ方も進化中であるが、それに加えて簡単で適切なフィルタリング手法を導入することによってセレンディピティを支援する方法はいろいろ考えられそうである。

現在はユーザの発言からユーザプロファイルを抽出して検索システムと融合させることを提案しているが、その他いろいろな手法を組み合わせる実験をすることによりtwitterを大きく改良する方法を発見してもらいたいと思う。