デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(ユース):2010年度採択プロジェクト概要(大島PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

原田 康徳(日本電信電話株式会社 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 主任研究員)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    大島 孝子(公立はこだて未来大学)

  • コクリエータ
    本間 卓司(公立はこだて未来大学大学院)

3.採択金額

  • 1,792,000円

4.テーマ名

  • 人に優しい骨動作可視化ソフトウェアの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

身体を怪我して診察を受けるとき、レントゲンやCTスキャンを行うことがある。例えば「スキップをすると、膝が痛い」といった症状の診察をするため、計測中にスキップ動作を行うことは身体を拘束されるため極めて難しく、また放射線を人体へ走査することにより内部画像を撮影するため、僅かではあるが被ばくしてしまう。また、専門家が数値やグラフを用いて膝の状態を解析し、患者のような専門家ではない人間に理解しやすく説明することは難しい。この問題に対し、私たちは人体を拘束せず、さらに放射線を一切使用しない安全かつ誰もが理解しやすいソフトウェアを開発し、地元の病院へ実際に導入し、フィードバックを反映させた成果物を世の中へ送り出す。

本プロジェクトでは、精度の高いシステムを実現するために測定部位を膝関節周辺の下肢骨(大腿骨・脛骨・腓骨)に限定する。また、Andriacch氏によるPoint Cluster Methodという計測方法を用いて皮膚の動きから骨の動きを推定し、その結果を0.1秒ごとに骨のコンピュータグラフィックスとしてリアルタイムに表示する。

このソフトウェアが実現すると、専門家は、より自然な人間の動作を容易に解析することが可能となり、軽度の怪我の診察においてはレントゲンやCTスキャンなど身体に負担がかかる機器を用いずに済むため、発ガン率を抑えることができる。また、インフォームド・コンセントが普及している現代の臨床において、専門家以外の人間が専門知識を理解することへの一助となる。

本プロジェクトでは、「拘束されない・放射線の心配がない・誰もが理解しやすい、人に優しいソフトウェア」を実現する。

7.採択理由

モーションキャプチャーから骨の動作を推定し、3次元表示をし、それを医療現場で実用化するもの。医療機関との開発の準備も進んでおり、マーカーの貼り付け方など、実際に使用する際に生じそうな問題についての考慮もされている。安価なハードウェアを用いたシステムのため、スポーツや家庭用への応用も期待できる。

現場で使ってもらうシステムには想定外のことが山のように起こるであろう。その困難を、持ち前の元気さで乗り越えていって欲しい。