デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(本体):2009年度下期採択プロジェクト概要(杉山PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

石黒 浩(大阪大学大学院 基礎工学研究科 システム創成専攻 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    杉山 治(ATR知能ロボティクス研究所 インタラクションシステム研究室)

  • コクリエータ
    なし

3.未踏プロジェクト管理組織

  • オムロンソフトウェア株式会社

4.採択金額

  • 6,500,000円

5.テーマ名

  • 人とBotをつなぐチャット型コミュニケーションサービスBotSpaceの開発

6.関連Webサイト

  • なし

7.申請テーマ概要

BotSpaceは、人とBotが区別なくコミュニケーションできる会話空間(コミュニケーションスペース)を提供します。BotSpaceは基本的に、Twitterのように人やBotがつぶやくことでコミュニケーションをはかるツールです。

人同士のコミュニケーションの中に、簡単な受け答えを行うエージェントBotが新しく加わります。Botとは、一般的には、Robot(ロボット)の短縮形、WWWにおいては、ウェブサーバとのやりとりを自動的に行うプログラムのことを意味しますが、BotSpace内部においては、スペースに参加している様々なコンピュータ、Webサービスのフロントエンドエージェントを意味します。

既存のコミュニケーションツールと比べて新しい特徴として、

  • 人がBotに対して、チャット内で会話をするという形で指示を与える
  • Bot同士の機器通信、情報共有が、会話という形で視覚化、実現される

という2点が挙げられます。これらの新しい特徴を備えることで、BotSpaceは単に人同士のコミュニケーションを支援するだけに止まらず、人と周辺のコンピュータ・Web環境すべてがインタラクションする汎用なサポートツールとして機能します。

これまでにも機器やサービスのログを、ブログやTwitterに投稿して、ユーザに読みやすい形に可視化するソフトウェアは存在しました。これらのツールとBotSpaceの大きな違いとして、他のBotの出力を自身の入力とすることができる点が挙げられます。

BotSpace内のチャットログは、メンバとなっているBotの実行ログとなるだけでなく、機器が提供する機能のアクティベーションも行う役割を持つことになります。従って、Bot【A】の出力した文章がBot【B】の動作のトリガとなり、その出力が、また違うBotの動作に影響を与えるといった複雑な相関関係を定義することが可能になります。

このように、BotSpaceの開発を通じて、人の言動に連動して、各サービスが機能し、相互に連携していく一大生活ネットワークを構築することが可能になると考えます。本テーマにおいては、このようなネットワークを実現するため、以下のことを行います。

  • 人とBotをつなぐコミュニケーションツールBotSpaceの開発
  • Bot開発を通じたBot開発環境の立ち上げ
  • 開発キットであるSDKの公開

8.採択理由

インターフェースが今後さらに擬人化され、擬人化されたエージェント同士が情報交換する輪の中に、人間が介入していくという考え方は、未来の機械と人間の関わりを予見したもののように思える。

提案書では、エージェントとして、CGエージェントからロボットまで含めると言及しており、焦点が絞れていない感があるが、ヒアリングによって、本人がかなり確信的なイメージを持っていることが確認できた。開発するソフトウェアの機能を1年で可能な範囲にうまく限定する必要があるが、本人の能力も高く、未踏において育ててみたい人材である。