デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(ユース):2009年度上期採択プロジェクト概要(竹岡PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

安村 通晃(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    竹岡 義樹(東京大学大学院 学際情報学府)

  • コクリエータ
    塩田 陽介(東京大学大学院 学際情報学府)

3.未踏プロジェクト管理組織

  • 株式会社オープンテクノロジーズ

4.採択金額

  • 2,960,000円

5.テーマ名

  • 2.5次元操作によるヒューマンフレンドリーインタフェースZ-touchの開発

6.関連Webサイト

  • なし

7.申請テーマ概要

従来のインタフェースであるマルチタッチディスプレイは、「画面に手を触れている指先の位置」を検出していた。一方、本プロジェクトで提案するZ-touchは、マルチタッチディスプレイに「画面のそばにある指先の検出」という機能を付加したものである。すなわち、「指先が画面に触れていない状態」でも指先の座標を得られるというのが、従来のインタフェースと大きく異なる点である。

Z-touchを利用すれば、指先の画面までの距離と指の3次元姿勢を同時に認識できるため、マルチタッチディスプレイを用いたユーザインタフェースよりユーザの入力の多様性は高くなる。

アクリル板の表面すれすれに、ラインレーザを放射状に広がらせることにより、マルチタッチを実現した手法がすでに提案されている。本プロジェクトで開発するZ-touchでは、表面すれすれのラインレーザに加え、いくつかのラインレーザを重ねることにより、レーザによる層を用いて、ディスプレイ表面付近の指先の位置に加え、高さを加味した2.5次元的認識を可能とする。

これにより、指の傾きや指先の姿勢を認識できるため、従来のマルチタッチではできなかった「ものをつかむ」「持ち上げる」「近づける/離す」「指の姿勢の認識」など、指先がディスプレイから離れている状態の動作を利用した多種多様なインタラクションが可能になる。そのため、より実世界に近いような操作方法をユーザに提供することができる。

Z-touchの操作は実世界操作と類似しているため、ユーザは短い学習時間で使いこなせるようになると考えられる。また、応用ソフトウェアが開発されれば、現代のデジタルデバイド問題の解消につながる。そしてZ-touchがパネルからの高さを認識できることを利用すると、さまざまなジェスチャ認識による新しいインタラクションが考えられる。

8.採択理由

最近、タッチパネルに対する関心が高まっており、特に、マルチタッチや接近検知などが話題を呼んでいる。この提案も、接近とマルチタッチを含むという点だけ見れば、よくありがちなものの一つと見えるかもしれない。

しかし、この提案では複数のレーザービームを用いることにより指などの接近の速度と角度までが取れる、ということを狙っている。このことにより、単なる接近(ホバリング)や、マルチタッチ以上に、ジェスチャーや動かし方もインタラクションとして抽出できる可能性が出てくる、非常に画期的なものとなる。

どういうジェスチャーやインタラクションがこの方式で可能なのかを明らかにすると同時に、典型的なアプリケーションを未踏期間内にぜひ作って欲しい。