デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(本体):2009年度上期採択プロジェクト概要(倉知PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

夏野 剛(慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特別招聘教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    倉知 孝好(フリーランス)

  • コクリエータ
    なし

3.未踏プロジェクト管理組織

  • コシキ・バリューハブ株式会社

4.採択金額

  • 5,918,000円

5.テーマ名

  • 1/f ゆらぎ信号による手書き風模様生成Webシステムの開発

6.関連Webサイト

  • http://www.yuragilabo.com/

7.申請テーマ概要

人間にとって快適と感じるゆらぎと言われている「1/f ゆらぎ」をもった信号を発生するアルゴリズムをソフトウェアとして具現化し、いくつかのパラメータを選択するだけで人に心地よさを感じさせるさまざまなパターン模様を自動的に生成できるシステムを開発する。

これにより、コンピュータを使った大量生産システムの中に、機械化によって失われつつある「手書きの温かさ」や「手作りの味」を取り入れることができ、デザイン作成のローコスト化と人間にとっての心地よさを同時に実現できる。

本提案のシステムにより生成できるパターン模様は、生成の度に異なるものとなり、一つのパターンについても毎回ユニークなものが生成される。パターンの種類としては自然の中に見られる年輪や木目模様なども含まれ、アイデア次第でさまざまなパターンを追加していくことができる。生成した模様は、家具、文具、衣類、タイル、壁紙、ホームページやコンピュータデスクトップの壁紙などさまざまな用途に利用できる。

「1/f ゆらぎ」でデザインされた商品が身のまわりに増えることで、現代のストレス社会をより豊かなものに変えることができる。
さらに、Webサーバ上で動作するクライアント・サーバシステムとして実現することで、当ソフトウェアの機能をサービスとして提供でき、利用者側とビジネスとして提供する側の両者でさまざまな利便性を享受できるようにする。

本提案のシステムのコアとなる1/f ゆらぎ信号を発生するアルゴリズムは、模様のデザイン以外にも、音声変換、自動作曲、工業製品の形状デザイン、都市開発における植樹などのデザイン、生体医工学の研究などさまざまな分野への応用が可能となるものであり、本プロジェクト終了後も日本発の技術として多くの応用可能性を秘めた貴重な資産となる。

8.採択理由

コンピュータグラフィックスの普及により、パターン画像や幾何学模様の生成に関する手段は多く存在し、広く一般に普及しているが、一方でアート作品に求められるような、手書きの風合い、人工物を感じさせない親しみやすい柄、心地よい模様といった感覚的な描画像を生成する手段は普及していない。

本提案は、1/f ゆらぎ理論を応用した描画ロジックをシステム化し、原模様に揺らぎを与えるソフトウェアを開発し、一般公開するというもので、独創性が高く評価するものである。