デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(本体):2009年度上期採択プロジェクト概要(吉崎PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

藤井 彰人(Mashup Awards 1-4 主宰、 グーグル株式会社 エンタープライズ プロダクト マーケティング マネージャー)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    吉崎 航(奈良先端科学技術大学院大学 学生)

  • コクリエータ
    なし

3.未踏プロジェクト管理組織

  • 株式会社ゴーガ

4.採択金額

  • 5,500,000円

5.テーマ名

  • 人型ロボットのための演技指導ソフト

6.関連Webサイト

  • なし

7.申請テーマ概要

本ソフトウェアは、ロボットに詳しくないユーザが、あたかも人間に指導するような感覚で、ロボットに演技指導を行うための支援ソフトである。たとえば「ロボットで野球をするとき」投球フォームを教えるのは工学博士ではなく野球選手のほうがよいに決まっている。しかし、ロボットの構造は複雑であり、野球選手にロボットの関節パラメータを直接設定してもらうのは困難である。同様に、舞踊や格闘技の演武など、全身を複雑に動かす動作をロボットに行わせる場合、せっかく各分野にそれを教えるエキスパートがいても、動作の設定には多大な時間や手間がかってしまうのである。その上、正確に人間の関節の動きを設定しても、実際のロボットで動かすとサーボの動作が追いつかなかったり、バランスを崩して転倒してしまうことも多い。ロボットを思い通りに動かすためには、サーボや物理学、マイコンに関する高度な知識や経験が必要となるのである。

これらの問題点をモーションキャプチャなどの大掛かりな装置を用いずに解決するため、ユーザがCG上のロボットにマウスで簡単な指示を行うだけで実際のロボットを動かしたり、動作を修正したりできるソフトを提案する。「拳をすばやくこのあたりに」とか「重心を少し下げて」などのような簡単な指示をおこなうだけで、ロボットを制御できるのである。細かい関節角調整や転倒の防止はソフト側が自動で行うため、格闘技の演武などのような「長時間の複雑な動作」でも簡単に作ることができる。

なお今回は、ボールなどの道具を使わずに実現可能な"格闘技"に限定してソフトを作成し、今後のバージョンアップにより随時道具や環境(階段など)の変化に対応する。

8.採択理由

全てのロボットが全力をだして動ける開発環境というテーマは高く評価できるものの、当初は新規性の観点から、提案書の内容のみでは未踏プロジェクトでの採択には至らないと考えた。しかし、Interviewを経て、本提案から研究部門だけでないConsumer sideでのロボットプログラミングの普及とその裾野の拡大にその今後の可能性を感じ、採択することとなった。

R&D部門だけでない、Consumerに受け入れられる、CoolJapanを具現化するsoftwareとして、本提案が発展して行くことを望みたい。