デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(本体):2008年度下期採択プロジェクト概要(大山PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 加藤 和彦(筑波大学 大学院システム情報工学研究科 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ:大山 裕泰(武蔵工業大学 工学部 コンピュータメディア工学科)
    コクリエータ:なし

3.未踏ユースプロジェクト管理組織

  • 株式会社オープンテクノロジーズ

4.採択金額

  • 6,224,000円

5.テーマ名

  • グリーンOS onix OS の開発

6.関連Webサイト

  • なし

7.申請テーマ概要

近年、「オフィス環境をグリーン化する」という命題をITによって解く上でのキーワードとして「グリーンIT」という言葉が登場した。
本プロジェクトは、世界に先立ち省消費電力で駆動する事を主眼としたオペレーティングシステムの開発を行い、オペレーティングシステムのレベルでコンピュータ機器の省消費電力化を行う。
本プロジェクトが目指す取り組みは、従来のノートPC 等で見掛ける、システムを利用していない時にシステムの一部機能を落とす "スリープモード" や "省電力モード" といわれる機能の提供とは異なり、システムが運用している状態において、システムの省消費電力化を行うものでる。
これまでに、本プロジェクトの準備段階として、カーネルの開発をオープンソースプロジェクト "onix os" において、活動を行ってきた。今回、以下で提案する機能を組込み、グリーン化されたオペレーティングシステムとしての展望の第一歩を築く。
省消費電力対象として近年出荷台数が増加の一途を辿る、補助記憶装置の代名詞でもあるハードディスクに注目し、このデバイスが消費する電力を抑制する仕組みを提案する。具体的には、ハードディスクの 1/10 以下の消費電力で駆動するフラッシュメモリによって、ハードディスクに対する処理をサポートする。その間、ハードディスクは省電力モードの状態で駆動させ、システム全体の消費電力を抑える。
この仕組みによって、特別なハードウェアを用いる事無く、ソフトウェアによってマシンの省消費電力を実現する。又、ハードディスクが省電力モードで稼働中に障害が発生した場合においても、その間に更新されたデータを損なう事無く復旧させる設計になっており、本プロジェクトで作成する onix は実用的な場面で活躍する次世代カーネルとなれる。
本プロジェクトでは、汎用オペレーティングシステムをフルスクラッチで作成し、既存のカーネルとは違ったコンセプトを持つ、新たな価値を持ったオペレーティングシステムを開発する。

8.採択理由

ストレージ階層を用いたデータステージングは,通常は,データアクセスの高速化に用いられることが多いが,OSレベルの技術で積極的に省電力化を図ろうとする試みは興味深い.ステージングアルゴリズムの詳細等,検討すべき課題はあるが,学部3年生で,OSカーネル開発技術を独学で学び,これまでにある程度の開発を進めていることは評価できる.本事業が目的とするIT分野の人材発掘・育成の対象としてふさわしい人材であると考えられ,採択と判定した.