デジタル人材の育成
情報が氾濫しているといわれる現在,情報を検索する手段はいくつかあるが,主要なのはウェブ検索である.しかしウェブ検索では情報収集に対してユーザ側の努力を要求する.つまり,良い情報を得るためには良い検索を行う必要があり,それは検索クエリの設定という経験に基づいた能力を要求する.
さらに,得られた情報が最良のものであるかは判断できない.もっと良い検索が行えるときに,過剰な検索クエリによって得られるはずの情報が失われていることがある.
それに対し,ここで提案する自動情報収集システムは,ユーザの要求する情報についてユーザの想定以上に網羅的に収集し,ユーザの必要な情報だけを選別して提示するシステムである.さらにユーザ特化を適用することで,ユーザがどのような情報を日常的に要求しているかを判定し,必要な情報のみを積極的に絞り込む.これらの機能を対話型インタフェースで提供することで,計算機に不慣れなユーザでも容易に情報を入手することを実現する.
また,対話型インターフェースは対話履歴を得ることができ,その履歴を活用することで,よりユーザの要求に適合した検索が行えると考えている.
対話によって高精度な情報検索が行えるとなれば,ユーザは積極的に対話を行うようになるだろう.そしてその対話は情報検索をさらに高精度化する.情報検索と対話という二つの要素を組み合わせることで,優れた情報検索が行える対話システムを構築する.
本提案プロジェクトである情報検索のための学習成長型対話システムの開発のベースとなる技術は自然言語処理である。一般的に自然言語処理を対話システムに適応するのは難しいとされているが、未踏のテーマとしては技術面そしてビジネスモデルを構築する面において挑戦的であるが試みる価値はあると考えられる。未だ競合しそうな対象はなく、未踏のテーマとしても良いと考えられる。