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エンタプライズ系事業/見積もり手法

本事業は、2004~2008年度に実施しました。

勘と度胸からの脱却、実証された方法でより正確な見積り

開発プロジェクトの見積り時期によって、リスクは異なります。また、プロジェクトの特性によっても見積りは変わります。既に多くの見積り手法が提案されていますが、それぞれの適用条件が異なり、自分の組織にあった方法を選ぶことが重要です。
IPA/SECでは、国内外のベストプラクティスや先進的な見積り手法を調査研究し、その導入に関する指針の提供を通して、定量的でかつ実証された見積り手法の普及に努めています。

ソフトウェア開発における見積りの課題

部分的な情報からの見積り

細部が決まっていない状況で、見積りを行う場合が多い(予算決めなど早い段階)。
⇒ 部分的な情報から、推測するしかない
⇒ 実際とぶれがでることは避けられない


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決めた仕様が変わっていく

開発当初の想定機能は、工程が進むにしたがって膨張する。
⇒ 見えていなかった要件が見えてくる
⇒ 最初の見積りと当然ぶれがでる


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見積り手法の確立が必要


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ソフトウェア開発における見積り手法

ソフトウェア開発における見積り手法には、次のようなものがあります:
  • 類推法
    過去の類似プロジェクトの実績を基礎に見積る方法
     
  • 専門家による判断
    一人ないし複数専門家による協議
     
  • トップダウン見積り
    全体システムを見積り可能なサイズのソフトウェアコンポーネントに細分化
     
  • ボトムアップ見積り(工数積上げ)
    プロジェクトの成果物の構成要素を洗い出し、それぞれに必要な工数などを見積って積み上げる方法
     
  • パラメトリック法
    工数などを目的変数として、説明変数に規模や要因などを設定し、数学的な関数として表す方法
     
  • プライスツーウィン
    顧客予算に合わせた見積り(→不適切な見積り方法)

見積りに必要なデータ(入力情報)

  • 規模
    ・ファンクションポイント
      ・コード行数
      ・機能数、画面数、テーブル数
  • その他見積りに影響を与えるもの(工数の変動要因)
    ・プラットフォーム/環境
     ・ハードウェア、オペレーティングシステム
     ・言語、ツール、ユーティリティ
     ・開発環境
  • プロダクト
    ・アプリケーション種別
    ・複雑度、要求される信頼性
    ・ライフサイクル
  • 人材
    ・能力と経験
    ・総労働時間

パラメトリック法のベースとなる考え方

規模と工数は比例する。


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COCOMO法(パラメトリック法)

  • Barry Boehm(米) 1981年
    ・1997年 第2バージョン COCOMOII
    ・様々なソフトウェア開発の局面で活用可能なモデルを構築
      ・基本COCOMO、中間COCOMO、詳細COCOMO
      ・組織モード、組込みモード、半組込みモード
  • 基本COCOMO(単純な回帰式)
    ・規模から単純に工数を導出:Effort=α×Sizeb
  • 中間COCOMO(工数変動要因を考慮、重回帰式)
    ・システムの開発特性を考慮:Effort=α×Sizeb×Πβ
  • 詳細COCOMO
    ・中間COCOMOからさらにモジュールレベルでの見積りが可能(工程ごとの見積り算出が可能である。)
  • 組織モード:自社開発のような熟練度の高い開発形態を指し、少人数の開発チームで在庫管理システムや科学技術計算用パッケージなどの業務アプリケーションを開発する場合
  • 組込モード:開発チームが大規模であり、種々の厳しい制約条件のもとでハードウェア、ソフトウェア、運用手順などの複雑さがからみ合っている場合
  • 半組込みモード:組織モードと組込みモードの中間

CoBRA法

IPA/SECでは、ツールを提供するなど、CoBRA法の普及展開を行っています。
CoBRA: A Hybrid Method for Cost Estimation, Benchmarking, and Risk Assessment
ソフトウェア開発の見積モデル構築とリスク評価のための技法
ドイツ、フラウンホーファー協会IESEにて開発
Hybridとは?
  • 熟練者(専門家)の経験と(ソフトウェア開発の)定量データとの組み合わせにより見積もりを実現する方法です。
前提(仮説)
  • ソフトウェア開発の熟練者はソフトウェア開発におけるリスクを経験から定量的に把握することができる。
  • 工数と規模は比例する。(工数と規模は線形関係)
  • ソフトウェア開発におけるリスクは工数と規模の線形関係をブレさせる原因となる。(工数変動要因)
見積り式


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見積り手順


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CoBRAツール
統合ツール
利用シーン


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