2026年3月7日に、東京ミッドタウン・ホールにて「未踏会議 2026」を開催しました。
未踏会議とは?
「未踏会議」は未踏事業の魅力を広く伝える、年に1度のフラッグシップイベントです。毎年、「3月10日(みとうのひ)」にあわせ、3月上旬に開催しています。今年の会場は、昨年に引き続き、東京ミッドタウン・ホール。YouTubeLiveとニコニコ生放送でも、約7時間にわたりイベントの様子を生配信でお届けしました。
未踏事業修了生による展示やステージプログラム、ワークショップなど、多彩な企画が繰り広げられました。本レポートでは、当日のMITOU WONDER=未踏の驚きと感動の模様をお届けします!
刺繍、太陽光発電、組子、ドローンまで。未踏の技術、ここに集結!
ホールAには、最先端技術と独創的なアイデアが息づく未踏修了生たちのプロダクトやサービスが勢ぞろい。本年も多様な分野から次世代を担う開発者たちが集い、来場者との活発な交流が行われました。
多彩な展示の中から、一部をご紹介!
株式会社nuimie(2025年度上期未踏アドバンスト事業修了生 篠田 和宏さん、平林 晴馬さん、欄木 達也さん、宮崎 翔さん)
刺繍データをwebブラウザで「プレビュー」「設計」「共有」できる刺繍デザインプラットフォーム「nuimie」。刺繍には様々な縫い方・パラメータがあるため、これまでは経験のある熟練者が時間をかけて刺繍データを設計するしか方法がなかったそうです。このプラットフォームを使えば誰でもオリジナルデザインの刺繍の設計が可能になります。
株式会社ドクターズサミット(2025年度上期未踏アドバンスト事業修了生 澤野 晋之介さん)
医療の高度化により、専門外の症例の判断は医師一人では困難になってきています。澤野さんは、そんな課題を解決するため、医師向けAIと専門医ネットワークを統合した、臨床判断を支えるチャット型医療支援システムを開発。実際に20施設40名の医師と試験運用を実施し、医師からの相談の約9割は、遠隔支援のみで対応を完了できたそうです。
株式会社ビルオプト(2025年度上期未踏アドバンスト事業修了生 薄井 光生さん)
地図上で気になる場所を選ぶだけで、太陽光発電にその場所がどれくらい向いているかを診断できる体験型デモ展示を実施。診断に必要なのは住所だけで、事前の現地調査や建築図面も不要だそうです。高解像度の衛星データを活用することで、対象の建物を正確にモデリングし、設置可能なパネル枚数や発電量、そしてその経済効果までを自動でシミュレーションすることができます。
山名 琢翔さん(2018年度未踏IT人材発掘・育成事業修了生)
ただ強いだけではなく、人間にオセロを教えてくれるAIを搭載した、指導対局ロボット「Minoth(ミノス)」。オセロAIとオセロ解説システム、盤上を指示しコマを動かすロボットまですべて自作し、高級感あふれる木製筐体にひとつのシステムとして収めました。会場では大人から子供まで、多くの来場者が「Minoth」とオセロを楽しんでいました。
未来工藝研究所(2025年度上期未踏アドバンスト事業修了生 石本 大歩さん、前 成美さん、山岸 将大さん)
飛鳥時代から受け継がれてきた木工装飾「組子」を現代のテクノロジーと結びつけることで、伝統を"保存"するだけではなく、"拡張"するプロジェクト。この「kumiko AI」を用いるとテキスト入力や画像、手書きのイラストから自動で組子設計図を生成することができます。大阪・関西万博会場内で開催されたGSEでは、kumiko AIを用いて設計した、大阪・関西万博公式キャラクター・ミャクミャクを利用した組子作品を展示して話題に。未踏会議では、新作もお披露目されました。
株式会社Leacron(2023年度未踏IT人材発掘・育成事業、2024年度未踏アドバンスト事業修了生 能﨑 直紀さん、高安 優多さん)
「夜を昼に変える」をコンセプトに開発された超高照度パネルライト、「midnight sun」。家庭用照明を遙かにしのぐ圧倒的な光量で深夜の部屋を真昼のような明るさへと一変させます。もちろん調光も可能です。
EntangleTune(2018年度未踏ターゲット事業修了生 相馬 聡文さん)
相馬さんは、量子コンピューティングを支える重要な概念である「量子もつれ」を応用した、2人参加型の即興演奏システムを開発しました。2人の操作が相関構造を持って反映され、音の振る舞いが動的に決定されるそうです。来場者も鍵盤に触れて、量子が奏でる音の世界を体感していました。
Tobas(2024年度未踏アドバンスト事業修了生 土肥 正義さん)
モデルベースの新しいフライトコントローラー、「Tobas」。ロボット記述言語で定義した正確な機体構造を制御系に反映させるため、従来のフライトコントローラーでは操作が難しい複雑な機体でも精度良く飛ばすことができるそうです。会場では、ドローン専用の飛行エリアが設けられ、このコントローラーによるドローンの飛行デモが実施されました。
出展者の感想は……?
未踏修了生の皆さん、出展してみていかがでしたか?
Additive Manufacturing(積層造形)のための設計プラットフォームである「Nodi」で出展。
「一般の方に向けてわかりやすく説明する力がとてもつき、これからLTなどへの参加も予定しているため、いい練習になりました。出展者同士で助成金や他のイベントの話などの情報交換がフラットにできたのもよかったです!」
AIに丸投げせず、処理の流れや分岐、例外時の対応を明示的なワークフローとして設計・実行できるOSSのAIエージェント基盤「Graflow」で出展。
「最高です!これまでフィードバックをもらう機会があまりなかったのですが、短い時間でユーザーになりそうな方たちに見てもらい、意見をもらうことができました。」
モバイル開発者のためのオープンソース統一地図SDK「MapConductor」で出展。「興味を持ってくれる方が多く、帰ったらやってみますという嬉しいお声がけもいただきました。出展した価値がありました!」
アニーリングマシンを活用した電子基板の自動配線ソフトで出展。「量子のことは何も知らない方が興味をもって話を聞いてくれたり、基板設計に詳しい方からフィードバックがもらえたり、出展してとてもよかったです。」
子供から大人まで。未踏のアイデアをワークショップで体験!
展示ブース会場では、未踏修了生による4つのワークショップを開催。楽しく学べるプログラムをたくさんの人が体験していました。
ChoQan(2024年度未踏ターゲット事業修了生 FERREIRA GUIMARAES FILHO NILTONさん、小路 真矢さん、AZEVEDO BUCEK RODRIGOさん)
ゲームコントローラーを使って量子コンピュータの原理を学ぶワークショップ。司会は芸人のランパンプスさんが務めました。量子コンピュータの根幹となる「量子」の特徴について、キャラクターを使い子供でもわかるように解説。その後、ゲームコントローラーを使って量子の動きを操作し、アルゴリズムや通信、符号などの量子技術をゲーム感覚で体験しました。
一般社団法人 CoderDojo Japan(一般社団法人 CoderDojo Japan 代表理事/2012年度未踏IT人材発掘・育成事業修了生 安川 要平さん)
全国に200ヶ所以上ある子どものためのプログラミング道場「CoderDojo」が実施している、プログラミング初心者向けのワークショップを未踏会議内でも開催。ビジュアルプログラミングでポケモンを操作していく過程で、自然とプログラミングの基礎を学ぶことができます。
株式会社ズカンドットコム(2012年度未踏IT人材発掘・育成事業修了生 直江 憲一さん)
どんなぬりえがいいかを伝えると、生成AIがオリジナルのぬりえを作ってくれるアプリを体験できるワークショップです。塗ったぬりえはひとつの画面に集められ、参加者みんなで楽しみを共有することができます。司会はタケトさんが務めました。小さな子供の参加者が特に多く、みんな夢中になってぬりえに取り組んでいました。
ISHI会&松浦知也(2006年度上期未踏本体修了生/2019年度・2020年度未踏ターゲット修了生 今村 謙之さん、2019年度未踏IT人材発掘・育成事業修了生 松浦 知也さん)
最近話題のペロブスカイト太陽光電池と同じ原理である有機分子と無機材料を使った「色素増感太陽電池」を作るワークショップ。導電性ガラスを電極と張り合わせ、電解液を注入して封入するまでの一連の作業を行って、太陽電池を作成しました。司会はランパンプスさん。
ロボットパーク 多彩な最先端ロボットが勢揃い
ホールAとホールBをつなぐスペースに設けられたロボットパークでは、吉崎 航さん(2009年度上期未踏本体修了生/アスラテック株式会社 取締役&チーフロボットクリエイター)が開発したロボット制御システム「V-Sido(ブシドー)」を搭載した4体のロボットが展示されました。「V-Sido」はあらゆる分野、サイズ、形状のロボットに対応することができ、産業用からアミューズメント分野まで多様なロボットのOSとして採用されています。
入口正面に展示された「にゅーすけ」は、ピアニジュウイチとアスラテックの2社によるニューマティックロボット試作機。関節の駆動にアスラテックの制御技術、外装にはピアニジュウイチのエア着ぐるみの技術を活用することで、人とロボットが安全に触れ合えるロボットを実現しました。外装のキャラクターをアレンジすることで、様々な場所での活用を検討しているそうです。会場前のセッティングから吉崎さんが自ら行っていました。
2025年度上期未踏アドバンスト事業修了生 大嶋 友香子さん・大嶋 悠司さんのプロダクト、大型6脚ロボット「ハルモニア・コンパス」。大阪・関西万博「未来のロボット展Geared by V-Sido」でも展示されました。外形はサメをイメージしており、砂浜など過酷な場所での歩行が可能だそうです。
大阪・関西万博で大活躍!未踏人材の活躍に迫る
2025年4月13日から大阪夢洲で開催された大阪・関西万博。その舞台の裏側には未踏人材の大活躍があったことをご存知でしょうか。シグネチャーパビリオン「null2」で話題になった落合 陽一PM(未踏IT人材発掘・育成事業PM、2009年度上期未踏発掘・育成事業(ユース))、「いのちの未来」をプロデュースした石黒 浩PM(未踏アドバンスト事業PM)を始め、数多くの未踏人材が卓越した技術力と創造性を発揮しました。ホールBの展示エリアではそんな未踏人材の活躍ぶりをご紹介しました。
万博に関する未踏修了生の作品も展示しました。万博の閉会式で着用された衣装には、2024年度未踏IT人材発掘・育成事業修了生の上條 陽斗さんが作成した4Dファブリケーションテキスタイルが使用されています。
2025年度上期未踏アドバンスト事業修了生 石本 大歩さん、前 成美さん、山岸 将大さんが製作した「ミャクミャク組子」は、「Global Startup EXPO 2025」に展示されました。(右)「甘噛みハムハム ミャクミャク」は、青木 俊介さんが代表を務めるユカイ工業株式会社が制作(左)。大阪・関西万博公式キャラクター、ミャクミャクとのコラボ商品です。
石黒 PM にそっくり!?「 アンドロイドとの交流体験!
ひときわ来場者の注目を集めていたのが、石黒PMによる特別展示。代表作「ジェミノイドHI-6」は、見た目が石黒PMとそっくりなだけでなく、本人の思考や知識も備えていて、会話ができます。来場者はジェミノイドとの交流や対話を楽しんでいました(写真左)。ほかにも二足歩行ロボットやAIアバターの展示も行いました(写真右)。
約800名の方々にご来場いただき、未踏ならではの創造力と革新があふれる特別な一日となりました。
ご来場いただいた皆様、ご協力いただいた未踏修了生の皆様、ありがとうございました。
出展ブース一覧とステージプログラムの概要は、Webサイトからご覧いただけます。
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当日配信したステージプログラムと展示会場レポートのアーカイブをYouTubeで公開しています。ぜひご覧ください!
未踏会議2026 MEET DAY