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「締切直前 未踏オフィスアワー 応募期間中、何してた?」開催レポート

2025年2月8日、オンラインで「未踏オフィスアワー」を開催しました。
このイベントは、未踏事業に女性の仲間を増やしたい!というOGの想いから企画がスタート。
2025年度未踏事業に応募を目指す方々に向けて、以下の4回を開催しました。

  • 未踏オフィスアワー「HelloWorldから未踏まで」
    2024年8月31日(土曜日)16時30分〜18時30分
  • 未踏オフィスアワーLight 女性限定版
    2024年12月22日(日曜日)13時00分~14時10分
  • 未踏オフィスアワーLight 地域展開版
    2025年1月19日(日曜日)13時00分~14時10分
  • 締切直前 未踏オフィスアワー
    2025年2月8日(土曜日)13時00分~16時00分

2024年8月31日開催の「HelloWorldから未踏まで」の様子はこちらからご覧ください。
未踏OGが勢ぞろい!「未踏オフィスアワー エンジニア女子座談会」開催レポート

今回は「締切直前 未踏オフィスアワー」と題し、未踏事業に応募を検討している方々を対象に、応募プロセスの解説や未踏修了生による座談会、個別相談会を行いました。 本レポートでは、座談会の様子をお届けします。
プログラムや登壇者一覧は募集時のご案内ページからご覧ください。
未踏オフィスアワー開催のご案内

登壇者紹介

  • 山本 愛優美 氏
    (2022年度未踏アドバンスト事業修了生)
  • 久野 文菜 氏
    (2019年度未踏IT人材発掘・育成事業修了生)
  • 横浜 希 氏
    (2019年度未踏IT人材発掘・育成事業修了生)
  • 丸山 礼華 氏
    (2023年度未踏IT人材発掘・育成事業修了生)

左から、丸山さん、横浜さん、久野さん、山本さん

自己紹介

まずは登壇者のみなさんの自己紹介から。ものづくりへの関わりや、未踏に応募したきっかけは……?

山本さん

現在、慶應義塾大学大学院のメディアデザイン研究科修士課程に在籍しながら、未踏アドバンスト事業でのプロジェクトをもとに創業した株式会社e-lamp.の経営も行っています。
父がプログラマーで私をスーパーエンジニアにしようとしていたのですが、難しいコーディングから入ったのでプログラミングが嫌いでした。
大学では環境情報学部に進学してプログラミングが必須となり、授業でHTML、CSS、Java、そこからPythonを始め、初めてのものづくりとしてLINE BOTを使った恋愛ゲームを作りました。
作ったゲームで起業しようと思いましたがうまくいかなかったので、まずは研究をしようと思い、ハードウェアのものづくりを始めました。それで開発を始めたのが、脈拍に合わせて光るイヤリング型のデバイスe-lamp.でした。起業した会社e-lamp.は現在3期目を迎え、脈拍を使ったいろいろな事業に取り組んでいます。

脈拍に合わせて光るイヤリングで企業しました!と語る山本さん

久野さん

2019年度の未踏IT人材発掘・育成事業で採択された時は、大学院1年生でした。未踏修了後に新卒で株式会社MIXIに入って、今話題のmixi2の立ち上げと開発をしています。
ドラえもんが好きで昔からプログラミングに興味はありましたが、実際にプログラミングを学びだしたのは大学1年生になってからです。2年生で初めてゲームを作ったんですが、研究室の配属がゲームの出来によって決まるので必死でしたね。そこからいろいろなものを作り、みんなに使ってもらうのが楽しいと思うようになりました。
その頃、研究室で機械学習の研究をしていました。ピアノが好きなので、ピアノの耳コピなどに使える研究がないかなと思い、音源分離の研究を始めました。研究とものづくりを合わせて何かできないかなと思っていた時に、教授から未踏事業へのチャレンジを勧められたことがきっかけで応募し、採択されて今に至ります。

横浜さん

現在は大手事業会社に新卒で入って2年目を迎え、SaaS事業のセールスに配属されています。
もともと高専では物質工学科という化学系の学科に所属し、白衣を着て測定や科学者みたいなことをやっていました。その後は東北大学大学院に進学して、作業服を着て材料系の研究をしていたので、ずっと情報分野とは関係のないところにいました。 未踏に採択されたきっかけは、ビジネスプランコンテストへの出場です。学生の頃よくビジネスプランコンテストに出ていたのですが、3日間くらいの短期間のコンテストに出たときに、ランダムに編成されたチームで負けちゃったことがあったんです。すごく悔しくて、未踏事業の申込締切まで2週間くらいしかなかったんですけど、チームの4人みんなでビジコンで作ったプランをもとに、爆速で提案書を作って応募しました。
プロダクト開発に携わったのは未踏が初めてです。UIデザイン担当になり、figmaを初めて触りました。

丸山さん

現在、津田塾大学理学研究科の情報科学専攻、修士2年生です。
大学に入って初めてプログラミングを学び始めて、授業でアプリケーションを作りました。
3年生の時に授業でかるたのアプリを作ったのが、初めて自分で作りたいものを作った経験です。高校・大学とずっと競技かるたをやっており、競技かるたの札が必要だとか、広いところでなければできないというのが嫌で、ARかるたにしようと思って作りました。その時にSwiftを初めて学びました。ネットを探せば情報がたくさんあるので、私でも作れるんだっていうことに気づいたんですね。
4年生ではVRにチャレンジし、それを元にしたものが未踏で作ったプロダクトです。かるたが初めての人、句を覚えていない人、たくさん練習してきた人が一緒に戦えるような世の中になってほしいということで、多様な人が一緒に遊べるVRの競技かるたアプリを作りました。

座談会「未踏OGが語る未踏の世界への踏み出し方」

座談会では、未踏事業に応募したきっかけや応募時にどんなことを考えてどんなふうに応募したのかなどをパネリストたちがトーク。参加者のみなさんからの質問にもお答えしました。

未踏、いつどこで知りましたか?

丸山さん

研究室の先生が未踏出身で、大学院に上がる前の春休みに何かやりたいと相談したら、未踏に応募してみたら? と紹介してくれました。

山本さん

大学の先輩や知り合いが未踏に通っていたので知りました。 “強いエンジニア”が未踏に通るみたいなイメージがあって、その頃はまさか自分が応募するとは思っていませんでした。

久野さん

教授から教えてもらって、応募直前に知りました。名古屋、特に自分が通っていた中京大学には未踏に採択された先輩もいないし、周りにも未踏を知っている人もいないしで、話題も上がらなかったので、教授が教えてくれなかったら本当に無縁のまま生きていたかもしれません。

横浜さん

チームメンバーになった友達が未踏ジュニアに採択されていたので、そこから知りました。

未踏の応募まで何をして過ごしましたか?

横浜さん

応募を決めてから締切まで2週間しかなく、とにかく提案書を書かないといけないので、まずは誰がどこを担当するか決めました。チームで公募要領とPM陣のコメントをよく読み込んで、こういう観点のほうが良さそうだからちょっと表現を変えよう、という感じでブラッシュアップしていきましたね。

山本さん

私は、採択者の成果報告書を読み込みました。あ、こういうのが通るんだ、というのを分析していました。

丸山さん

過去の成果報告会の動画がYouTubeにあるので、それを見たり、PMメッセージも読み込みました。

ポイント:成果報告会の動画

成果報告会は毎年2月頃に開催し、ライブ配信も行います。 後日、IPAのYouTubeチャンネルでも公開しますので、応募を考えている人はぜひ視聴してみてください。

提案書はどう書く?

山本さん

提案書に書かないといけない項目があるじゃないですか。あの項目を本当にきちんと全部書くのが大事ですよね。

久野さん

趣味などもちゃんと書いたのが良かったと思います。

ポイント:提案書に書くべき項目

公募要領には、提案書に書かないといけない項目が記載されています。
2025年度未踏IT人材発掘・育成事業の公募要領では、6(6)「提案プロジェクト詳細資料の作成方法」に書かれています。「ソフトウェア作成以外の勉強、特技、生活、趣味など」も必須なのです。

山本さん

書いた提案書は、いろいろな人に相談して、レビューを受けたほうがいいですね。

久野さん

私は教授に論文のような形でレビューしてもらいました。

丸山さん

私も指導教員に何度もレビューをお願いしました。1人だと、抜け漏れが発生しそうで怖いからこそ。ほかにも、レビューを頼めるいろんなコミュニティがあると思います。

久野さん

私のところにも、応募したいという人からSNSのDMで相談がきたことがあります。未踏の人は優しいから応援してくれますよ!

未踏に応募しようと思ったらいろいろな人に相談してみるのがおすすめ!

プロダクトがどのようなフェーズの時に応募するといい?

丸山さん

プロトタイプを作って、ぐっと作りたい気持ちが上がった時に応募するのがいいかなと思います。
何かができていると、「こういうのを作りたい」とか、「本気です」というのを伝えやすいので、プロトタイプはあったほうがいいかなと思います。

久野さん

私は未踏でもらったお金で電子ピアノを買って、そこから作るみたいな感じでした。プロトタイプくらいはあったほうが、説明しやすいです。完成はしていなくていいと思います。

山本さん

私は、提案時にはデバイスができていて、これにBluetoothを載せたり追加機能のアプリを作るという提案でした。8か月の開発スケジュールを提案する中で、実現可能なものに落とし込んでいくのも大事なのかなと思いました。

チームで申し込む? 1人でがんばる?

久野さん

わたしは1人プロジェクトだったんですけど、採択されてからは同期と仲良くなって、よく交流して助けてもらいました。1人だと寂しいんですよね……。でも仲間ができたので乗り越えられました!

丸山さん

1人でよかったことは、自分がやりたいことと向き合えることですね。
チームで得意なところを補い合うプロジェクトも素敵だなと思うし、1人プロジェクトは自分の好きを極めたものが多くなりますね。

横浜さん

チームのメンバーとはよくぶつかりました。一時期私とチームリーダーが完全に対立して、誰かもう一人挟まないと話しもできないぐらいのガチ喧嘩をしてました(笑)。
でも一緒に真剣に取り組んだ経験をしたおかげで、いまはすごく仲良くなって、よい相談相手になっています。

本気でぶつかったチームメンバーとはよい仲間になれましたと語る横浜さん

山本さん

未踏応募を期にチームを組む、みたいなことも結構あるらしいというのは聞きますよね。チームだと、この領域はこの人、のような分担ができます。

横浜さん

チームだとメンバー探しが必要ですけど、私だったら高専のコミュニティで探します。この人この辺りが得意そう、手伝ってくれそう、とあたりをつけて、自分から声をかけて人を集めますね。

山本さん

私の会社のメンバーが未踏ターゲット事業に採択されたのですが、応募を検討している時に、その場で「じゃあ俺とお前でやるか」という感じで申し込んでいたので、結構気軽なノリでチームを組んでいる人も多いという印象はあります。

久野さん

Xで声をかけたらオッケーしてくれた、というのも聞いたことがありますね。勇気を持って声をかけてメンバーを探してみるのもいいかもしれないです。

自分が未踏に採択された理由は何だと思いますか?

久野さん

特定のPMに刺さったと思っています。
ジャズの好きなPMの先生がいたのですが、二次審査の時にずっと目が合っていて、思いが通じた気がしました。

丸山さん

私は二次審査のときに楽しそうに話したことが良かったんじゃないかなと思います。

久野さん

それって大事ですよね。
緊張して何も語れないと伝わらないので、ニコニコ楽しく「この領域が好きなんだ」と話す。やりたいことをやってほしいとか、自分のプロジェクトを作ってほしいってPMの方々はおそらく思っています。

山本さん

書類審査後にPMからもらったメッセージに、社会実装がとても大事だと書いてあったので、二次審査ではそこを頑張ることをアピールしました。

横浜さん

私たちはプロトタイプが一切できてない状態での応募だったのですが、審査の最後に「未踏への意気込み」を語る時間があり、そこでこの人たちならやれそうだとか、コミット力を感じてもらえたのかなと思っていますね。
未踏は、まだ今はできてなかったとしても採択して、育てていくプロジェクトなんだと思います。

大学の研究や仕事との両立は?

山本さん 久野さん丸山さん
未踏と研究のテーマが一緒でした。
横浜さん

私は、研究とは別でした。 平日8時間研究をやって、未踏はその残った何時間と土日で進めて、大変でした。
ちょっとどっちも半端になってしまったかなという反省があって、もっとコミットしていればもっと成長できたかなという気はしています。でも、並行してやるのもいい経験で。どっちも捨てられなかったです。

久野さん

同期で社会人もいたんですけど、たいへんそうでしたね。でも同じチームに大学を休学中の人がいて、その人が平日に開発を進めていたので、うまく回っていました。社会人だけのチームだったらもっと大変だったんじゃないかと思います。

採択期間中、後悔やこうしておけばよかった、ということはありますか?

久野さん

音源分離の研究でいこうと思っていたけど、ライバル研究がいっぱい出てきて、途中からピボットしました。機械学習を組み込んだアプリを作って、みんなにも使ってもらおうということで、社会実装寄りに変えました。
採択期間中に、研究一本で行くか、社会実装に持っていくかというのを早めに決めていたら、もうちょっとブラッシュアップしたものが作りきれたかなって思っています。 もっと早い決断ができたかもしれないっていう反省はあります。でも、やりきった感はあるから、あんまり後悔はしていないです。

丸山さん

自分が作ったものを触ってもらうという機会が未踏採択の前にはありませんでした。最終的にはいろんな人に体験してもらって、開発にも生かすことができたんですけど、もうちょっと早く勇気を出してもよかったなと思いました

横浜さん

私もプロトタイプができてから触ってもらったけど、振り返ってみると、別の形式でも触ってもらってもっと早い時期からブラッシュアップができたんじゃないかとは思いますね。

早いうちに他の人に試してもらってもよかったかなーと思いますと語る丸山さん

未踏修了後、今どんな感じで未踏コミュニティと関わっていますか?

久野さん

八合目会議(未踏事業の合同会議)に呼んでもらったり、名古屋のイベントに呼んでもらったりしています。

横浜さん

社内に未踏の人が多くて、未踏会があります。ほかに私はバイクが趣味なんですけど、同期の子とツーリングに行ったりもしています。

丸山さん

現役の未踏採択者の子と話す機会があったり、未踏の同期と遊びに行ったりしています。

山本さん

未踏アドバンスト事業は現役年度の人たちが一番活発に交流しているので、そこの飲み会に混ぜてもらうというのが結構あります。
年度毎の交流会でゆるく繋がったりとか。OGでも未踏オフィスアワーの企画をする中で交流のタイミングが結構あって嬉しいです。

未踏後のキャリアはどうですか?

久野さん

未踏でアプリを初めて作って、アプリを作る楽しさと使ってもらう楽しさを未踏で知りました。そして、そこからアプリ作る会社にそのまま入りました。今も新しいアプリ作って使ってもらって嬉しい、というのをやっています。
今後もずっとこんな感じでアプリ作って、日本や世界のみんなが使うアプリを作れるような人になりたいなと思いながら生きています。

横浜さん

最初大学院に入った時は、博士課程に行きたいということは思っていたんですけど、未踏を通じて研究以外の自分の面が初めて見えました。
未踏のスーパークリエータを見ていると、すごいなってシンプルに尊敬します。将来こんな人たちと肩を並べたいということで、この人たちにできないことはなんだろうと思って。営業の会社で一人前に売るとかヒアリングに特化した人になりたいと思って今の会社に入りました。
もう完全に未踏でキャリアがガラッと変わりました。

丸山さん

私は今大学院の修士2年で、博士課程に行きたいなと思っています。
未踏で自分が好きなことってなんだろうとか、やりたいことってなんだろうっていうのを、1年間やってきて、周りにも好きなことを極めている人とか、自由に生きている人がいて、やりたいことで選んでいいんだということをすごく思いました。それが進路選択につながっていると思います。

山本さん

ちょっと生々しい話なんですけど、未踏期間中に会社を立ててそのまま続けている中で、未踏であることが資金調達に役立っています。出資を受ける時にも、未踏出身ということを評価の土台にしてもらえることが結構あって、その後のキャリアパスが開きました。

久野さん

起業だけでなく、就活の場合でも、そういった未踏エコシステムみたいなものがありますよね。未踏出身の人が未踏の人を採用する、みたいな。

最後に、これから未踏に応募するみなさんにメッセージをお願いします。

久野さん

迷ってる暇はないです!
落ちてもアドバイスがもらえるし、通ったらもうめちゃめちゃありがたい。PM、先輩方、同期と巡り合えるので、とりあえず出すのが大事だと思います。

横浜さん

私も、やっぱりまずは応募することがすごく大事だと思っています。
提案書を書いていると、考えを整理できて、こうしたいということが明らかになってきます。まず提案書を出すことをゴールにして、頑張ってください。

丸山さん

私は未踏で人生の考え方が変わったと思うし、素敵な人にたくさん出会えたので、ぜひチャレンジしてほしいなと思います。
完璧に提案書を書ききれることはないので、とりあえず出してみるといいと思います。
ぜひ応募してみてください!

山本さん

締め切りはお昼の12時です! 遅れると受け取ってもらえません! みなさん締め切りの時間をきちんと意識して、出し遅れることがないようにしてくださいね!

まずはチャレンジ!とりあえず提案書を書いて出してみましょう!

続いて応募希望者との個別相談会を行い、イベントが終了しました。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。

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