
未踏事業の魅力を発信するイベント「未踏MEET UP! in 大阪」を2025年9月17日に開催しました。今回の開催は、前回の「未踏MEET UP! in 愛知」に引き続き2回目となります。会場は、大阪うめきた地区のカフェ、THE PUBLIC PLUM UMEDA。大阪・関西地域にゆかりのある未踏事業プロジェクトマネージャー(PM)や未踏修了生が集まり、未踏事業や未踏コミュニティの魅力を発信しました。

イベント全体の進行も未踏人材が担当。山縣 帆高さん(2021年度未踏IT人材発掘・育成事業修了生)が務めました。

関西を拠点に活躍する未踏修了生たちが語る「未踏×関西テックシーン」
最初のセッションには、関西と関東の2拠点で活躍する未踏修了生の皆さんが登場。テーマは、「未踏×関西テックシーン」です。
曾川 景介さん(未踏IT人材発掘・育成事業PM/2010年度未踏ユース修了生/newmo株式会社CTO)、久池井 淳さん(未踏アドバンスト事業ビジネスアドバイザー/2007年度未踏ユース修了生/株式会社マクニカ参与/フェアリーデバイセズ株式会社 執行役員COO/フューチャリスト)、洛西 一周さん(2002年度、2003年度未踏本体修了生/株式会社Helpfeel 代表取締役 CEO)による「ご自身の経験を踏まえた本音トーク」で盛り上がりました。

左から、曽川PM、久池井BA、洛西さん

自らが起業したHelpfeelの本社を京都に構える洛西さん。注目のスタートアップとなったHelpfeelには関西出身のエンジニアが多く在籍しています。
「関西を出て一旗揚げようとするなら、東京もアメリカも同じ。実際にアメリカに行ってみてわかったことは、シリコンバレーは『田舎』で、何もないからこそソフトウェア産業が生まれ発展したということ。関西にはエコシステムがない、投資家がいない、お金がない、顧客がいないと言われるが、シリコンバレーと同様にその足りなさが発展の源になり得ると思います」

久池井BAは実家が天満橋にあり、仕事では大阪とのつながりが多く、顧客の半数は大阪の企業だとのこと。
「多様な技術を持つ製造業が多く判断も早いので、ビジネスの場として関西はかなりアリだと思います。東京には似たようなスタートアップが多くあるので、その中で勝負しようとすると埋もれてしまう」

実家が神戸で京都大学大学院を修了した生粋の関西人の曾川PM。
「ノイズが少なく東京に比べて開発に集中できる。同じような場所に住んでいる人が同じような課題に取り組んでも、同じアイデアしか出てこない。大阪、関西地域が持つ強みを別の視点で捉えることで新しいものが生まれるし、実際に規模の大きなスタートアップも生まれてきています」
貴重な話の連続に、メモをとりながら熱心に聞き入る参加者の姿も。観客席との交流も盛んに行われ、充実したセッションが展開されました。
「未踏から広がるキャリアパスとコミュニティ」
続いてのトークセッションのテーマは、「未踏から広がるキャリアパスとコミュニティ」。様々な分野で活躍する未踏修了生が登場し、未踏がキャリアパスに与えた影響について語りました。このセッションは髙瀨 章充さん(2011年度未踏IT人材発掘・育成事業修了生)が進行を行いました。

左から洛西さん、朝倉さん、松井さん。

先ほどのトークセッションに引き続き、洛西さんが登場。
「趣味で孤独にソフトを作っていましたが、未踏の採択がきっかけで人生が変わりました。開発したソフトが当時のシェアウェアマーケット3位に入る大ヒットを記録し、文系からコンピュータサイエンスの道へと進路も変更。シリコンバレーに渡って起業し、いまのキャリアにつながっています」

子供の創造性を伸ばすソフト「ピッケシリーズ」を開発し、ワークショップの開催を続けている朝倉 民枝さん(2004年度未踏本体修了生/株式会社グッド・グリーフ 代表取締役)。
「未踏のおかげでコンテンツを拡充できたため、子供向けのコンテンツとして高く評価してもらうことができ、その後の発展につながりました。未踏に採択されていなければ、身近な人しか使っていなかったと思います」

松井 菜摘さん(2020年度未踏IT人材発掘・育成事業修了生/神戸大学大学院)は、未踏への採択をきっかけに美容×情報技術に興味をもち、ヘアアイロンを用いたヘアアレンジやスキンケアにウェアラブルセンサーを活用した新たな美容方法の研究を続けています。
「未踏期間はコロナ禍真っただ中でしたが、お金のことを考えずに、研究、モノづくりに集中できたのがありがたかったです。研究者目線でプロジェクトを進めていたのですが、未踏にはビジネスに深く携わっている人が多く、ビジネスと研究の違いについて考えはじめるきっかけになりました」
未踏への応募を考えている方に向けてメッセージを寄せてもらいました。
洛西さん
未踏は日本中から普通ではない人たちが集まる“濃縮装置”のようなもので、それが一番の価値だと思います。ぜひ応募してみてください。たとえ採択されなかったとしても、提案の内容を考えてまとめるというプロセスを経ること自体にとても意義がありますから。
朝倉さん
未踏の採択期間中は開発に集中することができます。そしてなにより人とのつながりが広がり、刺激をもらえるのが魅力です。未踏の経験は一生の財産になりますよ。
松井さん
私が応募した時点ではシステム開発の経験もありませんでしたが、人に負けない熱意はありました。未踏のPMは作りたいものへの熱意、解決したい問題への熱意をくみ取ってくれます。ぜひそのパッションをぶつけてみてください。
LTと懇親会
続くLTには、未踏修了生4組が登場。未踏の経験と成果、現在の活動などを紹介しました。

横山 輝明さん(2004年未踏ユース修了生/国立研究開発法人情報通信研究機構)、松岡 航太郎さん(2019年未踏IT人材発掘・育成事業修了生/京都大学大学院)

山本 愛優美さん(2022年度未踏アドバンスト事業修了生/株式会社e-lamp. 代表取締役)、内海 忍さん(2024年度未踏アドバンスト事業修了生/九州大学大学院)
セッションの後は同会場内で交流会を開催。会場の至るところで、PM、修了生、参加者の垣根を超えた交流が盛んに行われました。

会場には「甘噛みハムハム」と一緒に青木 俊介さん(2008年度上期未踏本体修了生/ユカイ工学株式会社 代表)も駆けつけてくれました。突然の青木さんの登場に会場も大盛り上がり。

締めくくりの言葉は、未踏アドバンスト事業PM村上 明子さん(SOMPOホールディングス株式会社 執行役員常務 グループCDaO/損害保険ジャパン株式会社 執行役員CDaO/AIセーフティ・インスティテュート 所長)から。
「参加した人は気づいたかもしれませんが、未踏のコミュニティでは、みんな自分の好きなことしかしゃべらない。なのに、とても居心地がいいんです。未踏には没頭できる特別な空間があります。この雰囲気がいいなと思った人、あなたはもう未踏に足を踏み入れています。お待ちしています!」

大阪・関西万博で盛り上がる大阪、関西地域の勢いそのままに、未踏愛にあふれた熱い1日となりました。
PMと修了生の皆さんのご協力、たくさんの方のご参加ありがとうございました!
