2025年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」

SUPER CREATOR

宮﨑 祐介 みやざき ゆうすけ

所属:慶應義塾大学 大学院政策メディア研究科

  • 略歴

    2002年 群馬県生まれ
    2021年3月 群馬県立高崎高等学校 卒業
    2021年4月 慶應義塾大学 総合政策学部 入学
    2026年3月 慶應義塾大学 総合政策学部 卒業
    2026年4月 慶應義塾大学 大学院政策メディア研究科 入学

  • 担当プロジェクトマネージャー

    田中 邦裕

開発テーマ名

高性能で耐故障なMySQLの開発

概要

本プロジェクトでは、耐故障でMySQLよりも高性能なOSSデータベース管理システム、「Kamo」を開発した。MySQLのプラガブルストレージエンジン層に高性能なLineairDBを採用することで、MySQLとの互換性を保ちつつ性能を大きく向上させた。さらに、レプリケーション環境においてノード障害を自動検知し、レプリカを新しいプライマリへ昇格させる自動Failover機構を実装することで、障害発生時でもサービスを継続できる耐故障性を実現した。本プロジェクトにおいて開発したKamoは、TPC-Cワークロードにおいて、144スレッド時に18.7倍の性能向上を達成し、同時にOrchestrator/ProxySQLを統合した設計により障害時のダウンタイム実質0秒を実現した。

図1: 「Kamo」の概要

既存のMySQLは1990年代に設計された基盤を引き継いでおり、現代的なマルチコア/メニーコア環境の性能を十分に引き出しきれていない。Kamoは、メニーコア環境で高いスケーラビリティを持つLineairDBをMySQLのストレージエンジンとして統合し、MySQL互換のSQLインターフェースを維持したまま高性能化と耐故障性の向上を目指す次世代のMySQL互換DBMSである。

PMの評価

既存の大規模システムに対して、その前提を深く理解した上で内部構造に踏み込み、実装として成立させている点を高く評価している。
本プロジェクトでは、MySQLにLineairDBを統合するにあたり、InnoDB前提のコードが各所に存在するという制約に直面している。このような状況では、単にストレージエンジンを実装するだけでは不十分であり、MySQL本体の挙動を理解した上で、どの部分に手を入れるかを判断しながら整合性を保つ必要がある。
その中で、トランザクション処理や整合性の扱いについて、理論と実装を往復しながら調整を行い、最終的に性能と可用性を両立したシステムとして成立させている。また、OSSとして外部に反映されている点からも、実験的な試作ではなく、実用的な価値を持つ成果であることが確認できる。
さらに、コア部分の設計・実装を主導するだけでなく、他メンバーや他プロジェクトとの技術的な議論にも積極的に関与し、結果として全体の開発を前に進める役割を担っていた。このように、個人の実装力にとどまらず、プロジェクト全体を成立させる力を発揮している点も重要である。
以上より、既存の複雑なシステムの制約の中で設計と実装をやり切り、かつ周囲を巻き込みながらプロジェクトを前進させた点は、スーパークリエータとして大いに評価に値する。

クリエータからひとこと

性能向上・機能充実に向けた研究開発を継続して進めています。
未踏期間中は、工学・情報・服飾・芸術など幅広い分野の人たちとの出会い、自身のプロジェクトの発表、他プロジェクトへのモデルとしての参加など、さまざまな刺激や経験がありました。確実に、視野が広がったと思います。個人としては、こうした経験を踏まえ、腰を据えて興味の輪郭を広げていきたいです。

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