2025年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」

SUPER CREATOR

関口 祐豊 せきぐち ゆうと

所属:明治大学 大学院先端数理科学研究科

  • 略歴

    2000年11月 千葉県生まれ
    2019年3月 千葉県立佐倉高等学校 卒業
    2023年3月 明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 卒業
    2025年3月 明治大学 大学院先端数理科学研究科 先端メディアサイエンス専攻 博士前期課程 修了
    2025年4月 明治大学 大学院先端数理科学研究科 先端メディアサイエンス専攻 博士後期課程 入学

  • 受賞歴

    2023年1月 第201回 HCI研究会 学生奨励賞受賞
    2023年6月 第10回 学生スマートフォンアプリコンテスト 奨励賞受賞
    2025年3月 明治大学校友会卒業生表彰 特別表彰受賞

  • 担当プロジェクトマネージャー

    竹迫 良範

開発テーマ名

AIと学習者と教育者の協調によるプログラミング課題の採点システム

概要

本プロジェクトでは、プログラミング課題に対するLLMによるコードの自動評価と、学習者同士のクラウドソーシング型の相互評価を組み合わせた新しい採点システムを開発した。従来の自動採点システムは、標準出力を基にした正誤判定が主流であり、視覚的・動的なプログラムの採点には対応しきれていなかった。また、手作業での採点では、受講者数の増加に伴い、教育者やTAの負担が増大し、迅速なフィードバックが困難になるという課題があった。本システムでは、学習者が課題を提出する際、まずLLMによるコードの自動評価を受ける。さらに、他の受講者の提出物の実行結果を操作しながら評価するプロセスを組み込むことで、採点作業を分散し、教育者の負担を軽減する。このアプローチにより、学習者は他者の提出物を評価する過程で仕様の不備に気づき、自ら修正する機会を得る。また、採点を事前に分散させることで、フィードバックの待ち時間を短縮し、学習のサイクルをよりスムーズに回すことができる。
本プロジェクトを通じて、動的なプログラムの評価を効率化し、教育現場での採点業務の負担を軽減するとともに、学習者自身が主体的に学べる環境を整備した。

図1: 「PP-Checker」の概要

PP-Checkerは、プログラミング教育における課題採点業務の効率化を目的としたWebシステムである。学習者が提出したプログラムに対して、LLMによる自動採点、学生同士による相互評価、教員による最終確認を組み合わせることで、標準出力だけでは評価が難しい視覚的・動的なプログラムの採点を支援する。画面中央では提出されたプログラムの実行結果とソースコードを確認でき、右側のチャット欄ではAIによる評価結果やフィードバックを参照できる。

図2: 「PP-Checker」の運用成果

PP-Checkerの運用により、LLMによるコード評価と学生同士の実行結果評価を組み合わせた採点フローが実現され、教員・TAの採点負担軽減につながった。特に、Processingで作成された視覚的・動的なプログラムをWebブラウザ上で直接実行・確認できるため、従来の標準出力中心の採点では扱いにくかった創造性の高い課題を導入しやすくなった。また、学習者が他者の成果物を評価することで、自身の仕様理解のずれや実装上の見落としに気づき、修正へつなげる学習機会が生まれた。実際の運用では、再提出までの時間や課題達成までの時間が短縮され、採点待ち時間の大幅な減少が確認された。さらに、教員やTAからは、採点作業の効率化や業務分担のしやすさに関する肯定的な意見が得られた。

PMの評価

プログラミング採点システムを開発し、今までの400名以上の利用を重ね、実際の教育現場で利用可能な状態までに完成度を高めた。学生・教員・TAなど複数のステークホルダーが関わる複雑なシステムで、さらにLLMによる自動採点も組み合わせると登場人物が多く、仕様が複雑になりがちだが、設計と開発を同時並行で進めながら完成度を高めていった。作ってみて終わりではなく、プロジェクト途中で利用者からのフィードバックを受けてプロダクトの改善サイクルを回していることも大きく評価した。

クリエータからひとこと

現在もプログラミング課題に対するLLMによる自動評価と、学習者同士の相互評価を組み合わせた採点システムの運用を継続しつつも、論文化を視野に入れた学習効果の検証や多くの教育機関への普及活動を進めていく予定である。こうした取り組みにより、視覚的・動的なプログラムを含む多様な課題に対応可能な評価基盤として発展させ、プログラミング教育における迅速かつ質の高いフィードバックの提供に貢献していきたい。

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