2025年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」

SUPER CREATOR

戸田 朋花 とだ ほのか

所属:株式会社サイバーエージェント

  • 略歴

    2001年1月 埼玉県生まれ
    2020年4月 東京大学 理科一類 入学
    2024年3月 東京大学 工学部 精密工学科 卒業
    2024年4月 アクセンチュア株式会社 入社
    2025年1月 アクセンチュア株式会社 退職
    2025年2月 株式会社サイバーエージェント 入社

  • 担当プロジェクトマネージャー

    曾川 景介

開発テーマ名

ソフトウェア設計のコード化と数学的検証を実現するGoフレームワークの開発

概要

本プロジェクトでは、設計をコードとして記述・検証できるフレームワークである「goat」と、AIとの対話によりコード化された設計を生成できるエージェントアプリケーションである「YAGI」を開発した。goatでは、設計をGoのコードとして記述でき、その内容をモデル検査により機械的に検証できる。これにより、設計の正しさを実装前に確認でき、設計ミスによる手戻りや障害の発生を抑制できる。さらに、設計からインターフェースやE2Eテストなどのコードを生成できるため、設計と実装の分断を防ぎ一貫性のある開発が可能となる。また、現在のAIを用いた開発では、自然言語による曖昧な指示に依存するため、生成されるコードが意図とずれる問題がある。YAGIにより、AIとの対話を通じてコードとして扱える設計を生成し、それをコーディングエージェントに渡すことで、検証可能な形で意図を伝えられるようになる。これにより、仕様の解釈の揺れを抑えてより正確で再現性のある仕様駆動開発が可能となる。

図1: 「goat」を用いて設計をGoコードとして記述する例

goatでソフトウェア設計をGoコードとして記述している例。画像では、システムの振る舞いや満たすべき条件をコードとして定義し、検証処理を呼び出すコードも含めて記述している。

図2: 「YAGI」を用いた対話的な設計作成の例

YAGIとの対話の途中画面を示している。ユーザーが自然言語でシステムの要件を入力すると、YAGIがその内容を整理してドキュメントに記述している。このようにAIとの対話を通じて自然言語やコードによる仕様を対話的に作成できる。

PMの評価

戸田氏は、プロジェクト期間を通じて最も著しい成長を遂げたクリエータである。日本のソフトウェア産業におけるITゼネコン構造の弊害や論理設計の軽視という課題に対して、「Design as Code」という概念を掲げ、Go言語でソフトウェア設計をコードとして記述し数学的に検証できるライブラリ「goat」を開発した。さらに、当初計画になかったSDD(Spec Driven Development)を支援するAIエージェント「YAGI」の開発に挑戦してやり遂げた。
戸田氏の素晴らしさは、本プロジェクトが過去のプロダクト開発におけるネガティブな経験から始まったものでありながら、過去の自分を救うようなプロダクトを作るプロジェクトを完遂することでその経験を乗り越えたことにある。生成AIの勃興著しい2025年という時代の断面において、計画や前例にとらわれず、その時代を切り取るテーマに柔軟に取り組んだ姿勢は見事であった。goatの基本的な実装がほぼ完成した時点で、さらにDesign as CodeをAI時代の開発プロセスにどのように適用できるかを検証するという新しい価値があると判断し、YAGIの開発を優先した決断力は特筆に値する。
自分の中で曖昧な考えを積極的に相談できるようになった点、専門外の形式手法という分野を独学で習得してgoatという形にまとめ上げた点、そして「好きなことをやることが大事だ」という言葉の本当の意味を体感し、自分が最も好きなことを信じてやり切ることが最大の成果につながると実感できた点など、技術面にとどまらない総合的な成長を遂げた。

クリエータからひとこと

「goat」および「YAGI」は現在、v1リリースに向けて開発を進めています。goatはすでにOSSとして公開しており、YAGIについても実際に利用できる形での公開を目指しています。今後は、これらのツールを通じてDesign as Codeの実用化を進め、より多くの開発者に価値を提供したいと考えています。現在はソフトウェアエンジニアとして働いており、今後も継続的にものづくりに取り組んでいきたいと考えています。

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