2025年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」
SUPER CREATOR
石田 天歩 いしだ てんぽ
所属:東京大学 工学部 計数工学科
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略歴
2004年11月 東京都生まれ
2023年4月 東京大学 理科一類 入学
2025年4月 東京大学 工学部 計数工学科 数理情報工学コース 進学 -
担当プロジェクトマネージャー
曾川 景介
開発テーマ名
簡単な操作で高度な組版を行える文書作成システム
概要
現在の文書作成システムは、直感的な操作に優れた「Microsoft Word」と、操作性は劣るが美しい組版に特化した「LaTeX」に二分されており、両者はトレードオフの関係にあった。本プロジェクトは両者の課題を解決し、Wordの操作性と、LaTeXの高度な組版を両立させた文書作成システム『Monk』を開発した。
Monkの最大の特徴は、独自言語を記述する「CUI」と、実際の見た目である「GUI」が画面上で双方向連動する点にある。CUIからソースコードを記述して高度な組版を行えることに加え、完成形であるGUIを直接触って直感的に編集でき、その変更は即座にCUIに反映される。
CUIでは、新たに設計したマークアップとプログラミングの性質を併せ持った静的型付けの言語を用い、エラーを防ぎやすく可読性が高い。GUIは、数式を含む文章が標準的な組版要件に準拠し、美しい配置計算が行われる。
本システムの最大の利点は、ユーザーが場面に合わせてCUIとGUIの使いやすい方を選択しながら文書作成が行える点にある。初心者は直感的なGUIから使い始めることで学習コストのハードルを大幅に下げられる。同時に上級者にとっても、状況に応じてやりやすい方を選ぶことで、執筆を高速化できる。手軽で快適な操作性を持ちながら、美しい組版を行えることが本システムの価値である。
図1: 「Monk」の操作イメージ(右側GUIから編集が行える)
図2: 標準的な組版要件に準拠
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2025年度 未踏IT人材発掘・育成事業 成果報告会(MITOU2025 Demo Day)動画
PMの評価
石田氏は、桁外れの実装力で本プロジェクトのバックエンド開発を支えた非凡な才能の持ち主である。独自マークアップ言語Monkの設計において、GUIからの操作を前提とした「マークアップ言語」と「プログラミング言語」の両方の特徴を持つ静的型付け言語を設計し、字句解析器、構文解析器、名前解決、型検査器、中間表現生成器に至るまで、言語処理系の全工程をフルスクラッチで実装し切った。特にHindley-Milner型推論アルゴリズムをベースにした型推論器の実装や、Union-Findによる型制約管理、パトリシア木を用いたメソッド・後置修飾の検索機構など、高度な計算機科学の知識を実装に落とし込む能力は、過去の未踏採択者と比較しても非凡と言える。
石田氏の素晴らしさは、単なる技術力の高さではなく、プロジェクト開始時点ではインタプリタの大まかな仕組みを知っている程度だったにもかかわらず、本プロジェクトを通じてインタプリタを一通りフルスクラッチで実装できるまでに急速に成長した点にある。Rust言語についてもプロジェクト開始時点では1年程度しか触っておらず、当初は高度な機能を活用できなかったところから、型システムやtraitなどの機能を実際に使いこなすレベルにまで到達した。この学習速度と実装への応用力は、今後さらに大きな成果を生み出す潜在力を示している。
クリエータからひとこと
現在は、未踏期間中に開発した「Monk」を基盤として、直感的な操作と高度な組版を両立する文書作成環境をさらに発展させています。将来的には、動的要素の埋め込みや共有機能を含めた新しい文書基盤へと展開することを目指しています。