2025年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」

SUPER CREATOR

金田 昌也 かねだ まさや

所属:(非公開)

  • 略歴

    2000年9月 神奈川県生まれ
    2023年3月 東京大学 工学部 電気電子工学科卒業
    2025年3月 東京大学 工学系研究科電気系工学専攻 修士課程修了

  • 受賞歴

    2025年3月 Next Fashion Designer of Tokyo 2025 フリー部門 東京都知事賞・優秀賞
    2025年3月 Next Fashion Designer of Tokyo 2025 インクルーシブデザイン部門 特別選抜賞

  • 担当プロジェクトマネージャー

    落合 陽一

開発テーマ名

布状・板状3Dプリント構造物と一体造形可能な、自由曲線に沿うインターロック構造の開発

概要

3Dプリントによって造形されたパーツの接合には、一般的に熱溶着や接着剤、簡単な凹凸のはめ込みなどが用いられる。これらの手法は作業に要する時間や労力、強度の観点で問題があり、とりわけ3Dプリントで多用される薄い布状・板状構造には適用が難しいものであった。
そこで本プロジェクトでは、衣服などにみられるジッパーを着想源にしたインターロック構造を、任意の目標形状に対して生成する手法を開発した。開発したインターロック構造はパーツと一体造形されるため、追加の部品や接着剤等を用いずに強固な組み立てが可能である。また、基本となる構造を適切に歪めることで、複雑な曲線に適用できるほか、「組み立てによって変形する」新しいテキスタイル表現も可能になる。
ファッションデザイン分野でのアプリケーションを提案するべく、洋服の3Dモデルを細かいパーツに分割・展開するツールの制作、接合部分のうねりが目立ちやすいテキスタイルの探求、などにも精力的に取り組んだ。成果報告会では5体の服からなるファッションショー形式で発表を行った。

図1: 開発したインターロック構造によって生じる立体的なテキスタイル表現

図2: 開発したインターロック構造を用いて制作した服

PMの評価

金田氏の能力評価
技術的側面と専門知識の獲得
金田氏はチームの技術的協働を支え、プロジェクトの完遂に重要な貢献を果たした。ジッパー構造の設計開発において、増田氏と協働しながらユニットの比較検討、造形条件の最適化、設計ツールの開発に取り組んだ。特に、大型3Dプリンタでの造形条件の検討や素材の探求において、実験的な試行を重ねて知見を蓄積した点は技術的成長として評価できる。
3Dプリンティングとコンピュテーショナルデザインの技術的基盤を確立し、ファブリケーションの実践的なノウハウを獲得した。この知見は、今後のキャリアにおいてデジタルファブリケーションの分野で活用できる価値あるスキルセットとなっている。
創造性と表現力
金田氏はプロジェクトにおける実験的試行の推進者として、様々な造形条件やパラメータの組み合わせを検証し、チームの技術的判断の基盤を提供した。この地道な実験と検証のプロセスは、創造的な成果を支える欠かせない基盤である。
また、ファッションショーの実施に向けた衣服制作においても、造形と組み立ての実作業を担い、設計と実物の間にあるギャップを現場で解決する実践力を発揮した。
未踏性と時代の技術的背景理解
金田氏は3Dプリント技術とジッパー構造の融合という本プロジェクトの技術的ビジョンを共有し、チームとしての成果に貢献した。デジタルファブリケーションが衣服制作のプロセスを変革する可能性について、実践を通じた理解を深めた。
プロジェクト期間中に、単なる技術的協力者から、プロジェクトのビジョンを内面化し自らの言葉で語れるクリエータへと成長した過程は、世界観の構築という観点からも意味がある。
総合評価
金田昌也氏はチームの技術的協働を支え、実験的試行と造形実践を通じてプロジェクトの完遂に重要な貢献を果たした。ジッパー構造の設計開発から衣服制作、ファッションショーまでのプロセスにおいて、計算と物質の境界面での実践的知見を蓄積し、デジタルファブリケーションの領域で今後の発展が見込まれる。チームとしての一体的な成果を踏まえ、スーパークリエータとして推薦する。

クリエータからひとこと

未踏で開発したインターロック構造を軸に、3Dプリントによる衣服制作とテキスタイル表現の可能性を引き続き探っています。2027年春には、これらの成果を発展させたランウェイ発表を行う予定です。まずは被服を軸足にしつつ、将来的にはプロダクトや空間など、他領域への展開も見据えて活動していきたいと考えています。

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