2025年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」

SUPER CREATOR

永田 莉紗 ながた りさ

所属:東京大学 大学院学際情報学府

  • 略歴

    2001年1月 東京都生まれ
    2019年4月 東京大学 理科一類 入学
    2023年3月 東京大学 工学部 電気電子工学科 卒業
    2023年4月 東京大学 大学院学際情報学府 入学
    2024年4月 バンタンデザイン研究所 入学
    2026年3月 バンタンデザイン研究所 卒業

  • 受賞歴

    2025年3月 Next Fashion Designer of Tokyo 2025 フリー部門 東京都知事賞・優秀賞
    2025年3月 Next Fashion Designer of Tokyo 2025 インクルーシブデザイン部門 特別選抜賞

  • 担当プロジェクトマネージャー

    落合 陽一

開発テーマ名

布状・板状3Dプリント構造物と一体造形可能な、自由曲線に沿うインターロック構造の開発

概要

3Dプリントによって造形されたパーツの接合には、一般的に熱溶着や接着剤、簡単な凹凸のはめ込みなどが用いられる。これらの手法は作業に要する時間や労力、強度の観点で問題があり、とりわけ3Dプリントで多用される薄い布状・板状構造には適用が難しいものであった。
そこで本プロジェクトでは、衣服などにみられるジッパーを着想源にしたインターロック構造を、任意の目標形状に対して生成する手法を開発した。開発したインターロック構造はパーツと一体造形されるため、追加の部品や接着剤等を用いずに強固な組み立てが可能である。また、基本となる構造を適切に歪めることで、複雑な曲線に適用できるほか、「組み立てによって変形する」新しいテキスタイル表現も可能になる。
ファッションデザイン分野でのアプリケーションを提案するべく、洋服の3Dモデルを細かいパーツに分割・展開するツールの制作、接合部分のうねりが目立ちやすいテキスタイルの探求、などにも精力的に取り組んだ。成果報告会では5体の服からなるファッションショー形式で発表を行った。

図1: 開発したインターロック構造を用いて制作した服

PMの評価

永田氏の能力評価
技術的側面と専門知識の獲得
永田氏はバンタンデザイン研究所と東京大学大学院学際情報学府の二足のわらじを履きながら、ファッションデザインの文脈から本プロジェクトに参画した。ファッションの専門的知見を持ちながらテクノロジーの世界にも軸足を置くという、分野横断的なポジションは本プロジェクトにおいて不可欠であった。
5体のルック構成のデザインにおいて、技術的制約を理解した上でファッション表現として成立する完成度を形にした点は、技術とデザインの橋渡しをする能力の表れである。スタジオ撮影の実施やファッションショーの構成においても中心的な役割を果たした。
創造性と表現力
永田氏の最も重要な貢献は、本プロジェクトの成果を「技術のデモンストレーション」ではなく「ファッション表現」として位置づけた点にある。従来、ファッションに応用可能な技術系プロジェクトでは技術開発に重点が置かれる一方、美観や表現形式の面でファッション産業に受け入れられにくい場合も少なくなかった。永田氏のファッション的視点は、技術的成果をより広い社会的文脈に接続する上で決定的な役割を果たした。
未踏性と時代の技術的背景理解
永田氏はファッションデザインとデジタルファブリケーションの交差点という、まさに計算と物質の境界が溶解する領域で活動している。3Dプリント技術がファッション産業にどのようなインパクトをもたらすかという時代的課題に対する明確な認識を持ち、それを実践に移している。
総合評価
永田莉紗氏はファッションデザインの専門的知見を持ちながら、テクノロジーとの融合を示すクリエータである。本プロジェクトにおけるファッション表現の質的向上と、技術的成果のファッション業界への接続において不可欠な役割を果たした。ファッションと技術の境界を溶解させる実践的能力を持ち、スーパークリエータとして推薦する。

クリエータからひとこと

MITOU2025 Demo Dayで発表後、原宿で展示会を開催し、Instagramで発信しています。今後は、着用を前提とした技術のブラッシュアップと、世界観を深めるようなデザインを展開していく予定です。個人では、テキスタイルを用いた研究とファッション制作を継続しています。

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