2025年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」
SUPER CREATOR
増田 凌 ますだ りょう
所属:(非公開)
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略歴
2001年2月 岐阜県生まれ
2023年3月 東京大学 工学部電子情報工学科 卒業
2026年3月 東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻 修士課程 修了 -
受賞歴
2025年3月 Next Fashion Designer of Tokyo 2025 フリー部門 東京都知事賞・優秀賞
2025年3月 Next Fashion Designer of Tokyo 2025 インクルーシブデザイン部門 特別選抜賞
2025年11月 第25回YKKファスニングアワード ファッショングッズ部門 審査員特別賞 -
担当プロジェクトマネージャー
落合 陽一
開発テーマ名
布状・板状3Dプリント構造物と一体造形可能な、自由曲線に沿うインターロック構造の開発
概要
3Dプリントによって造形されたパーツの接合には、一般的に熱溶着や接着剤、簡単な凹凸の嵌め込みなどが用いられる。これらの手法は作業に要する時間や労力、強度の観点で問題があり、とりわけ3Dプリントで多用される薄い布状・板状構造には適用が難しいものであった。そこで本プロジェクトでは、衣服などにみられるジッパーを着想源にしたインターロック構造を、任意の目標形状に対して生成する手法を開発した。開発したインターロック構造はパーツと一体造形されるため、追加の部品や接着剤等を用いずに強固な組み立てが可能である。また、基本となる構造を適切に歪めることで、複雑な曲線に適用できるほか、「組み立てによって変形する」新しいテキスタイル表現も可能になる。ファッションデザイン分野でのアプリケーションを提案するべく、洋服の3Dモデルを細かいパーツに分割・展開するツールの制作、接合部分のうねりが目立ちやすいテキスタイルの探求、などにも精力的に取り組んだ。成果報告会では5体の服からなるファッションショー形式で発表を行った。
図1: 開発したインターロック構造を用いて制作した服
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2025年度 未踏IT人材発掘・育成事業 成果報告会(MITOU2025 Demo Day)動画
PMの評価
増田氏の能力評価
技術的側面と専門知識の獲得
増田氏は本プロジェクトの技術的コアを担い、ジッパー構造の設計開発から自動化ツール、衣服制作まで主導した。ジッパーユニットの基本構造設計において、噛み合い、曲げ耐性、造形むら、サポートなし印刷の観点からの体系的な比較検討を行い、パラメトリックな設計展開が可能な構造を決定した技術的判断力は高く評価できる。
特に、直線的な座標系上の設計を任意の入力曲線が定める曲がった座標系へ連続的に変形して移す操作の実装と、ユニット形状の変形によって膜状部材に立体的な起伏を生じさせる構造の実現は、数学的理解とファブリケーション技術の両面を要する高度な達成である。さらに、7段階の自動化パイプラインの構築は、コンピュテーショナルデザインからファブリケーションまでの一貫したシステム設計力を示している。
創造性と表現力
増田氏はクマ財団第9期奨学生として「計算と造形の統合」を自身のライフワークとして追求している。Whole-ZipでNext Fashion Designer of Tokyo 2025 東京都知事賞・優秀賞を受賞した実績があり、技術開発と造形表現の両面で高い能力を持つ。
5体のルック構成の制作とファッションショーの実施は、技術的成果をファッション表現として昇華させる能力の表れである。ジッパーでの即興的な造形探求と素材探求を通じて、技術と美学の融合を実践している。
未踏性と時代の技術的背景理解
増田氏はジッパーという古典的構造を3Dプリントという現代的手法で再発明するという、既存技術の計算的再解釈という未踏的アプローチを取った。従来のジッパーが「開閉機構」であるのに対し、本プロジェクトのジッパーが「構造の生成」までを担うという概念の拡張は、物質と情報の関係性に対する深い洞察に基づいている。
2027年春のパリでのコレクション発表を計画しており、技術開発の成果をファッション業界という新しい文脈に持ち込む戦略的な視点を持っている。
総合評価
増田凌氏は計算と造形の統合をライフワークとして追求し、ジッパー構造の計算的再発明から衣服制作、ファッションショーまでを一貫して主導した。技術的完成度、造形表現の質、社会への発信力のいずれにおいても高い水準にあり、スーパークリエータとして推薦する。
クリエータからひとこと
未踏で開発したインターロック構造を自動で開閉する機構を開発・展示しました。
また、成果報告会で発表した服を次の展示に向けて改良中です。テキスタイルの立体感や布端の綺麗なおさまりなどを追求するほか、靴やヘッドドレスを制作するなど、全身ルックとしての完成度を上げようと考えています。
今後もデジタルファブリケーションを中心に面白いものづくりを続けていきます。