2025年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」

SUPER CREATOR

横井 総太朗 よこい そうたろう

所属:東京大学 大学院学際情報学府 学際情報学専攻

  • 略歴

    2001年6月 東京都生まれ
    2020年4月 東京大学 教養学部 理科一類 入学
    2022年4月 東京大学 工学部 機械情報工学科 進学
    2024年3月 東京大学 工学部 機械情報工学科 卒業
    2024年4月 東京大学 大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 入学
    2026年3月 東京大学 大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 卒業
    2026年4月 東京大学 大学院学際情報学府 学際情報学専攻 入学

  • 受賞歴

    2025年 IEEE VR VR-HSA 最優秀プレゼンテーション賞

  • 担当プロジェクトマネージャー

    稲見 昌彦

開発テーマ名

自己表現のためのモジュール型ソーシャルロボットの開発基盤の構築

概要

本プロジェクトでは、ユーザーが自身の好みに応じて自由に構成・組み立てでき、自らの身体動作で直感的に操作可能なモジュール型ソーシャルロボットの開発基盤である「Katakko」を構築した。従来のレディメイド中心のロボットでは個性の反映が困難であるという課題に対し、専門知識を必要としない形態設計および動作制御を実現するため、ブロック状モジュールとツメ型接続機構からなるハードウェア、カメラによる身体動作認識と画像からのロボット構造推定および関節対応の自動マッピングを行う動作変換技術、さらにWebインタフェースとUnity環境による統合ソフトウェア基盤を開発した。これらは市販部品および3Dプリンタで造形可能な部品によって構成され、オープンソース化を前提として提供される。本システムにより、組み立て・設定・操作・再組み立ての一連のサイクルを統合的に支援し、オリジナルロボットの直感的な試行錯誤を可能にした。さらに、Maker Faire Tokyo 2025およびThe Lab.での展示を通じて、子供を含む幅広いユーザーが自由な形態設計と身体操作を楽しむ様子を確認し、本システムがロボットを自己表現の媒体として活用するための有効な基盤となることを示した。

図1: モジュール型ソーシャルロボット開発基盤「Katakko」を用いて構成された、多様な形態のロボット

Katakkoの成果物の画像。キューブ状のロボットが組み合わさり、5種類の多様な形状のロボットが構成されている。

図2:関節構造に基づいて自動生成されたロボットと人間の手と対応関係(左)、組み立てたロボットの写真からモジュール配置を推定する様子(右)

組み立てたロボットをさまざまな角度から撮影した画像から、ロボットを構成するモジュールの接続構造を推定する。はじめにSAM3を用いて画像の背景を削除し、VGGTによって点軍への再構成を行う。さらにユーザーが指定したモジュールの使用数と点群の色や座標をもとにk-meansでクラスタリングを行い、TRFを用いてモジュールに対応する立方体の中心座標や向きといったパラメータを推定する。最後に、推定されたモジュール構造を微調整することで、モジュール同士を整列させる。

PMの評価

横井氏は、東京大学情報理工学系研究科知能機械情報学専攻の大学院生であり、HCI(Human-Computer Interaction)を専門としている。本プロジェクトでは、ユーザーインターフェースの設計・実装とプロジェクト全体のマネジメントを担当した。
横井氏は以下の3つの能力を高い水準で備えている。
構想力:「モジュールロボットを自分の身体で操作する」というコンセプト自体が独創的であり、VRChatのアバターのように自由に姿を変えられる文化は、デジタル空間では当たり前になったが、物理的なロボットでは誰も実現できていなかった。この隙間に着目した横井氏の目の付けどころは鋭い。分身ロボット用途から汎用ロボット制作基盤へという方針転換も、横井氏のリーダーシップのもとで適切に行われた。
実装力:Web操作インタフェース、展示用アプリ2種、Unityシミュレーション環境と、複数のフロントエンドを一人で開発した。特に展示環境の制約を考慮したふりがな対応、アイドルタイマー、音声案内などの細やかな実装は、ユーザーの立場に立てる力の表れである。
展開力:Maker Faire Tokyo 2025への出展ではSLB賞を受賞し、The Lab.では400名超の来場者に体験を届けた。展示を通じてユーザの反応をリアルタイムにコードに反映するという、高速なフィードバックループを回す力も発揮した。特許戦略とオープンソース公開の両立を構想し、コミュニティ形成まで見据えている点にも展開力の高さが表れている。
横井氏のリーダーシップは、序盤にメンバー間で方向性が揃わなかった時期に、展示でユーザーに触れてもらうことで突破口を開いた判断に端的に表れている。机上の議論で行き詰まったときに外に出る決断ができること、そして多様な意見を取捨選択しながらプロジェクトを前に進められることは、リーダーとしての地力である。
以上のことから横井氏は「スーパークリエータ」の基準を十分に満たしていると判断する。

クリエータからひとこと

最近は「Katakko」を誰もが使える状況にするために準備を進めています。具体的には,スマートフォンで利用ができる操作のためのプログラムを書くほか、特許の取得を進めています。
SIGGRAPH 2026(CG/インタラクション系の学会)にKatakkoを採択いただいたため,7月にロサンジェルスで展示をしてくる予定です。もっと広くの人にKatakkoを使っていただけるよう、環境整備を進めていきたいです。 また、私はデンマークで留学をしており、デザインに関する理論を勉強しています。

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