2025年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」

SUPER CREATOR

蒋 理嘉 しょう りか

所属:慶應義塾大学 環境情報学部

  • 略歴

    2003年8月 中国・上海市生まれ
    2023年4月 慶應義塾大学 環境情報学部 入学

  • 担当プロジェクトマネージャー

    五十嵐 悠紀

開発テーマ名

アニメやドラマの字幕を活用した外国語学習アプリケーション

概要

近年、動画コンテンツを通じて外国語に触れる学習者が増えている。特に若年層では、学校教材よりも日常的に視聴する映像コンテンツをきっかけに語学へ興味を持つケースが多い。しかし、実際の学習では「視聴して終わる」ことが多く、わからない単語をその場で調べても継続的な復習につながりにくい。
本プロジェクトでは、動画視聴を単なる娯楽ではなく、「見る・保存する・復習する・発話する」という学習サイクルへ変換する外国語学習アプリケーション「ViewLLA」を開発した。ユーザーはアニメやドラマなどの字幕付き動画を視聴しながら、字幕中の単語やセリフをタップして保存できる。保存した内容は単語帳やクイズ機能に自動的に反映され、空欄補完問題や発話練習などを通じて継続的に復習できる。また、字幕のない動画に対しても、音声認識技術を利用して字幕生成を行い、学習に活用できる仕組みを実装した。
さらに、本システムでは翻訳APIや音声認識AIを活用し、字幕生成や学習支援を行っている。動画を受動的に視聴するだけでなく、学習行動そのものへ自然につなげることで、日常生活の中で継続しやすい新しい外国語学習体験の実現を目指している。

図1: アプリにおける「強制学習モード」の学習フローを示した画面

図2: アプリにおける字幕学習モードの画面

PMの評価

蒋氏は、自身の語学学習の実体験に根ざした課題意識を出発点として、語学学習の在り方そのものを再設計する視点を持ち、それを高い実装力によって具体化した。提案・開発した「ViewLLA」は、従来の動画視聴中心の語学学習に対し、「視聴→保存→復習→発話→再定着」という学習循環を一貫して支援する仕組みを提示している。これは単なる機能追加ではなく、学習体験の構造そのものを捉え直した設計であり、世の中の語学学習の常識を変え得る可能性を持つものである。このように、技術と体験設計の両面から新しい価値を構想し、それを実装まで落とし込んだ点を高く評価する。
また、母語が日本語ではないにもかかわらず、それを全く感じさせない高度な語学力とコミュニケーション能力を有し、ユーザーや関係者との対話を通じて開発を前進させる力も際立っていた。積極的にユーザーテストを実施し、その結果を踏まえて改善を繰り返す姿勢も高く評価する。
さらに、企画力・プログラミング能力・プレゼンテーション能力のいずれにおいても高い水準にあり、周囲のクリエータにとって良い刺激となる存在であった。自らのビジョンを明確に言語化し、実装し、他者に伝えるという一連のプロセスを高いレベルで遂行できる点において、将来的に分野を牽引するリーダーとなる資質があると考える。
以上の理由から、「世の中の常識を変え得る技術・仕組みを提案・実装できる者」および「高い総合力を持ち周囲の模範・リーダーとなる者」の双方に該当すると判断し、スーパークリエータとして認めるに値する。
なお、本システムの社会実装にあたっては、動画のコンテンツホルダー・配信プラットフォーマーとの権利関係の調整が不可欠であり、この点は技術的課題とは異なる重要な論点である。外国語学習という性質を踏まえると、サービスで利用する動画のコンテンツホルダーと配信プラットフォーマーが国を跨る可能性もあり、その場合、調整はより複雑になるだろう。蒋氏は本プロジェクトでは主に技術的実現性の検証に注力したが、今後の展開においては、こうした法的・制度的側面も含めた検討・解決にも注力することを期待したい。

クリエータからひとこと

現在は、未踏期間中に実装した日英対応機能を基盤として、さらに多言語対応へ向けた開発を進めている。特に、アニメやドラマなどの映像コンテンツを活用し、日本で生活する外国人がより自然に日本語へ触れ、継続的に学習できる環境づくりを目指している。また、字幕生成や発話練習などの機能改善にも取り組み、日常的な動画視聴を語学学習へ自然につなげる体験の実現を目指している。未踏を通じて、多くの方々からフィードバックや助言をいただき、自分自身の視野や開発に対する考え方も大きく変化した。今後も「好きなコンテンツを通じて自然に学べる体験」をテーマに、継続的に開発を続けていきたい。

PAGE TOP