2024年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」

SUPER CREATOR

スーパークリエータ

髙𣘺 伊織 たかはし いおり

所属:筑波大学 情報学群情報メディア創成学類

  • 略歴

    2003年7月 千葉県生まれ
    2022年3月 茨城県立並木中等教育学校 卒業
    2022年4月 筑波大学 情報学群情報メディア創成学類 入学

  • 受賞歴

    2018年12月 第62回日本学生科学賞 中学の部 文部科学大臣賞
    2021年3月 第2回IBARAKI ドリーム・パス事業 銀賞
    2024年2月 Open Hack U 2024 TOKYO 優秀賞

  • 担当プロジェクトマネージャー

    竹迫 良範

髙𣘺 伊織

開発テーマ名

トラックボール型3Dマウスの開発

概要

近年、3DCADの一般化やVR・AR市場の拡大、低価格3Dプリンタの普及により、個人でも3Dモデリングに手を伸ばす機会が広がっている。その中でモデリング時の視点操作を担う左手デバイスである3Dマウスにも注目が集まっている。しかし、現状の3Dマウスは高価で、製品の選択肢がほとんどなく、ジョイスティック型特有の習熟負荷も高いため、初心者や教育現場では導入が難しい。
本プロジェクトでは上記の問題を解決するため、トラックボールを用いて直感的に操作できる3Dマウス「ParRot」を開発した。トラックボールの3軸回転を画面上の視点回転へ直接対応させることで、高い直感性を実現した。また各種モデリングソフトに対応するためのアドインや、デバイスの設定をブラウザから編集・共有できるWebアプリ「ParRotNest」を開発した。ハードウェア、ファームウェア、アドインはGitHubでオープンソースとして公開している。また、ユーザコミュニティとしてDiscordサーバを立ち上げ、2025年5月時点で180名以上が参加している。低価格・直感的操作というParRotの利点に、デバイス・設定アプリ・コミュニティが相互連携するエコシステムを組み合わせることで、誰もが手軽に3Dモデリングへ参入でき、互いにノウハウを共有しながらデバイス自体を進化させていける3Dモデリング環境を実現した。

本プロジェクトで開発したトラックボール型3Dマウス「ParRot」

図1: 本プロジェクトで開発したトラックボール型3Dマウス「ParRot」

「ParRot」・「ParRotNest」・ユーザコミュニティが、どのようにエコシステムを形作るかの図

図2: 「ParRot」・「ParRotNest」・ユーザコミュニティが、どのようにエコシステムを形作るかの図

PMの評価

プロジェクト全体の課題設定から解決策の検討まで一連のプロセスを主体的に動かした。開発したプロダクトの成果物をどのように世の中に発信していくかといったコミュニケーションプランにおいて、明確なビジョンと方向性を打ち出し、チーム内で一番こだわりを持って理想を形にしていく作業をリードした。3人の中でWeb技術に一番詳しく、HonoやD1、React DnD、NextAuth.jpなどモダンなフレームワークをいち早く取り入れ、最新技術の適用とUXを考慮した開発を進めた。開発成果物をオープンソースで公開していくときに、どのようなドキュメントや設計図を公開してコミュニティを作っていくかという部分も積極的に提案し、エコシステムの形成・発展に寄与した。

クリエータからひとこと

髙𣘺 伊織

「ParRot」の作り方やソースコードがすべて公開されているとはいえ、注文や組み立てを1から行うのは機材や時間の制約的に難しい方がいるだろうと考えています。現在は、そのような方に向けて基板の頒布計画を進めています。また、「Maker Faire Tokyo 2025」の未踏ブースにも参加する予定です。仕事や卒業研究、大学院入試も同時並行で進めているので忙しいですが、バランスよくコミットできればと考えている次第です。

トップへ戻る