2024年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」
SUPER CREATOR

西村 陽向 にしむら ひなた
所属:東京電機大学 未来科学部 ロボット・メカトロニクス学科
-
略歴
2003年12月 茨城県生まれ
2022年4月 東京電機大学 未来科学部 ロボット・メカトロニクス学科 入学 -
受賞歴
2018年12月 第62回日本学生科学賞 中学の部 文部科学大臣賞受賞
2021年3月 第2回IBARAKI ドリーム・パス事業 銀賞
-
担当プロジェクトマネージャー
竹迫 良範

開発テーマ名
トラックボール型3Dマウスの開発
概要
近年、3DCADの一般化やVR・AR市場の拡大、低価格3Dプリンタの普及により、個人でも3Dモデリングに手を伸ばす機会が広がっている。その中でモデリング時の視点操作を担う左手デバイスである3Dマウスにも注目が集まっている。しかし、現状の3Dマウスは高価で、製品の選択肢がほとんどなく、ジョイスティック型特有の習熟負荷も高いため、初心者や教育現場では導入が難しい。
本プロジェクトでは上記の問題を解決するため、トラックボールを用いて直感的に操作できる3Dマウス「ParRot」を開発した。トラックボールの3軸回転を画面上の視点回転へ直接対応させることで、高い直感性を実現した。また各種モデリングソフトに対応するためのアドインや、デバイスの設定をブラウザから編集・共有できるWebアプリ「ParRotNest」を開発した。ハードウェア、ファームウェア、アドインはGitHubでオープンソースとして公開している。また、ユーザコミュニティとしてDiscordサーバを立ち上げ、2025年5月時点で180名以上が参加している。低価格・直感的操作というParRotの利点に、デバイス・設定アプリ・コミュニティが相互連携するエコシステムを組み合わせることで、誰もが手軽に3Dモデリングへ参入でき、互いにノウハウを共有しながらデバイス自体を進化させていける3Dモデリング環境を実現した。

図1: トラックボール型3Dマウス「ParRot」

図2: 開発したエコシステムの概要
-
2024年度 未踏IT人材発掘育成事業 成果報告会(MITOU2024 Demo Day)動画
PMの評価
3Dマウスのハードウェアの基板と回路、メカトロニクスの設計を担当し、検証用のトイプログラムで終わらないように、試作と改良のフィードバックを高速に繰り返し、10号機までのプロトタイプ開発を主導して進めた。途中で採用するマイコンやセンサーを再選定する場面になっても、今まで自分が使ったことがない新しいデバイスを積極的に採用し、その結果、動くまで道のりが見えず大変だったが、執念深くインテグレーションする諦めない情熱と技術が大変素晴らしかった。最終成果物はそのままクラウドファンディングしても反響がある商用レベルのプロダクトを完成させた。
クリエータからひとこと

個人的に3DCADを触る際には「ParRot」を使用しています。長期間使用して問題点や改善点が見えてきたのでそれをもとに引き続きParRotの改良を進めています。また、未踏期間中に試すことのできなかった入力の手法がいくつかあるので、それらの手法を用いたデバイスの試作・検証を進めて行きたいと考えています。